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2008年6月29日 (日)

アシュケナージ 1960年代のピアノ協奏曲録音(マゼール、ジンマンとの共演)

Ashkenazy_tchaikovsky_chopin チャイコフスキー ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調

   指揮 ロリン・マゼール ロンドン交響楽団 〔1963年4月、ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール〕 20:55/6:45/6:36

ショパン ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調

   指揮 デイヴィッド・ジンマン ロンドン交響楽団〔1965年1月、キングズウェイ・ホール〕 13:38/9:09/8:21

   ピアノ ヴラジーミル・アシュケナージ

DECCA ADRM OVATION シリーズ 417 750-2(輸入盤)

今や巨匠のマゼール、そして現在CDのリリースが最も注目されている指揮者の一人ジンマンがオーケストラの指揮を務めた若き日のアシュケナージ(1937年生まれなので、当時20代後半)の協奏曲録音がブックオフで廉価で入手できたので聴いてみた。

1955年のショパンコンクールの2位で物議を醸し、1962年にはチャイコフスキーコンクールでオールソンと同位の1位となった直後の録音が、チャイコフスキーの録音。有名な曲だけあり、これまでもいろいろな録音を耳にしてきたが、この若き26歳のアシュケナージの録音はなかなか魅力的に感じた。

比較的近年の録音のチャイコフスキーの『四季』でも音楽との相性という点で(しつこいようだが)アシュケナージのピアノと音楽との齟齬のようなものを感じることがなかったのだが、このチャイコフスキーも結構抵抗なく聴きとおすことができた。ヴィルトゥオーゾというからこそ、細かい瑕釁が耳につくことがあるのだが、さすがにこれだけの演奏をしてくれれば文句のつけようがない感じだ。音質的にも古い録音なのだが、生理的に合わないと感じさせる滲みのあるピアノの音色ではなく、「標準的」だといわれるたびに疑問に思うリズムの重さや溜めは聞かれない。

マゼール(1930年生まれで、当時33歳の若手指揮者)のオーケストラの方も、当時バイロイトやザルツブルクに登場するなど多彩な挑戦を開始した新進指揮者のものだけに、リヒテルとカラヤンの名盤で聴きなれた耳には結構新鮮に聴こえる。特に終楽章のストレッタ気味に煽り立てるところなどは、スリリングだ。

参考タイミング
 ホロヴィッツ、トスカニーニ/NBC響 19:18/5:44/6:23〔1943年5月〕
 アシュケナージ、マゼール/LSO  20:55/6:45/6:36 〔1963年4月〕
 リヒテル、カラヤン/VSO  22:07/6:55/7:09 〔1962年9月〕
  ガブリーロフ、ムーティ/PO 22:25/8:05/6:39 〔1979年7月〕

一方、例のデヴィッド・ジンマン(1936年生まれ)は、当時29歳のやはり若手指揮者。近年のチューリヒ・トーンハレ・オーケストラとのユニークで清新な解釈で一躍有名指揮者の仲間入りをしている人だが、このショパンの2番というオーケストラ指揮的にはそれほど面白みがないだろうと思われる音楽でも、相当念の入った指揮ぶりをしているように聴こえる。単に全曲切れ目なく引き続けるピアニストを立てるだけでなく、オーケストラによるオブリガート旋律などもさりげなく目立たせたり、第2楽章の激情的なクライマックス部分ではピアノのレチタティーヴォ的な叫びを上手く支えたりと、結果論的な評価になるが「なかなかいい仕事」を当時からしていたようで驚いた。第3楽章では、コルレーニョ?的な弦の木の部分で弓をたたくような面白い音色も聞こえてくる。ショパンのピアノ協奏曲のオーケストラ部の重要性の見直しは、ショパンイヤー1999年にツィメルマン(ジメルマン、ツィマーマン)が自分のオケを組織して弾き振りにより、その雄弁さを明らかにしてくれたということはあったが、このジンマンの指揮するロンドン響もその意味で結構面白い。そして、ここでもアシュケナージのピアノは、美しく外連みのないピアノでショパンの若き日の慕情を切々と歌っている。

ショパンの協奏曲の場合、つい1番の方を聴いてしまうのだが、この録音により2番の魅力も以前より感じられるようになった。

参考タイミング
  アシュケナージ、ジンマン/LSO〔1965年1月〕 13:38/9:09/8:21
  キーシン(当時12歳)、キタエンコ/モスクワ・フィル〔1984年3月ライブ〕 13:03/7:40/7:53
 ツィメルマン, ポーランド祝祭管〔1999年8月〕 15:36/11:06/9:06

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