録画に失敗 名曲探偵アマデウス 事件ファイル#9 ベートーヴェン『月光』ソナタ
事件ファイル #9 ベートーベン 「ピアノ・ソナタ“月光”」 ~狙われた花嫁 ~ 依頼人 曽名田 ひかる(西尾まり) 職業 OL 6月15日(日)11時過ぎに放送されたのをビデオ録画しておいて、昨日水曜日の夕食の時に見たのだが、番組のちょうど中間あたりで、なぜか録画が終了してしまっており、いつものように探偵の推理の結論までを楽しむことが叶わなかった。
ピアニストのゲストは、仲道郁代さん。最近、ベートーヴェンの演奏にも力を入れているとのことで、解説の玉川大の野本准教授がレクチャーしながら弾いてくれた演奏とはやはり格段の差があるなと、野本氏には失礼ながら思った。
この仲道氏、妻が一緒に聴きに行ったことがあるというので、思い出してみると、ピアノのソロではなく、あのフルートの工藤重典氏、チェロの林峰男氏とのトリオで当時住んでいた長野の田舎に来演して、ハイドンやヴェーバーのトリオなど珍しい曲目や、フォーレの『夢のあとに』、サン・サーンスの『白鳥』などポピュラー名曲をやってくれたのだった。仲道氏のソロの演奏を聴けたわけではなく、ピアノとしての印象があまりなかったのですっかり忘れていたのだった。
ところで、今回のピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調『月光』のアナリーゼで、興味深かったのは、冒頭楽章の分散和音が、終楽章のやはり分散和音に使われているということ、また冒頭楽章の低音部の最初の三つの音が、第二楽章の主題にも使われているということで、素材の統一が図られているという点の指摘だった。また、第1楽章と第3楽章にナポリ和音が使われており、それが非常に効果的だということだった。
ちょうど、仲道氏が、第3楽章の猛烈なピアノでの上昇主題とスフォルツァンドでの2回の和音の実演をしてくれているところで、録画が切れてしまったので、このミステリーの結末がどうなったのかは分からず、残念だったが、これまでオーケストラ曲に興味を持っていた長男が聴いてみたいというので、先日感心したブレンデルの『月光』をステレオ装置でスピーカーから流してみたところ、「へー、すごい曲だねー」と素直に感心していたので、今後の楽しみが増えた。
今晩は、いつものステレオイアフォンで、シュナーベルの全集から『月光』を聴いているが、第1楽章のサーフェースノイズが盛大なのには改めて驚いた。それに比べて、第2楽章、第3楽章はまあ聴ける音になっている。第3楽章は、シュナーベルらしい挑戦的なテンポで、非常に迫力のある音楽になっている。フレーズの長さと推進力が素晴らしい高揚感を生み出してくれる。天邪鬼のようだが、このような演奏のどこが(いい意味でもそうではない意味でも)「精神的な」演奏なのだろうか?確かに精神の高揚を伴い、高尚で真摯な姿勢の音楽だということは感じられるが、それよりももっとダイナミックで生気に溢れた音楽という趣の方が強いように思うのだが。
追記:6/21(土)夏至の日 早朝3:40
「録画に失敗」と書いたが、同じ放送を録画した方のブログ(★My Tiny Little Piano World★ 征爾とユンディの再放送)によると、当日の放送時間の変更で最後の15分間が収録できなかったらしい。BShiでは再放送(BShi 6月21日(土) 午後0:45~)があるようなのだが、BS2でも再放送を望みたいものだ。
このところずっと寝つきはよいのだが、大体4時ごろに目が覚めてしまい、その後うとうとするような睡眠が続いている。今晩は、土日が休みなので、パソコンに向かい雑文を書き付けているが、夏至祭の夜(聖ヨハネの日)というのに、梅雨の本格的な雨が降り始めた。先日入手したストコフスキーの編曲集(Transcriptions for Orchestra by Leopld Stokowski カンゼル指揮シンシナティ・ポップスによるTELARC盤)を聴いている。この中に、何とベートーヴェンの『月光』の第一楽章がオーケストレーションされたものが収録されているのだ。原曲のピアノ演奏ほど印象に残るものではないが、それなりに工夫されている。この中では、ディズニーの初代『ファンタジア』本編に未収録となったドビュッシーの『月の光』が美しい音で聴くことができ、ぼんやりとした頭に心地よい。こちらの編曲もピアノ原曲に比べるとムード音楽的になっており、冴え渡った秋の月光というよりも、朧に霞んだ月の光の風情で、これはこれで面白い。前の記事ではドビュッシー的なオーケストレーションと書いたが、豪勢な鳴り方はストコ節だろうか。なお、このCDの最後には、ストコフスキー編曲版の『禿山の一夜』も収録されている。
ちょうど今晩は夏至のイブで、『夏の夜の夢』もこの『禿山の一夜』もこのイブ(正確には、6月24日が聖ヨハネ祭で、その前夜が聖ヨハネ祭のイブということらしい)が舞台になっているらしい。
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