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2008年6月13日 (金)

セル/CLO の ブラームス 交響曲第4番 

Br4_szell_lp

Szell_brahms_s4 ブラームス (1833-1897)

 交響曲第4番 ホ短調 作品98

 ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団

13:22/12:54/6:41/10:36 (録音年は、このCDには記載がない)
  併録:『大学祝典序曲』『悲劇的序曲』

(CD SONY SBK46330 Essential Classics シリーズ)

〔交響曲第4番:1966/4/8-9, 大学祝典序曲と悲劇的序曲:1966/10/28 出典:橋本健二さんのMusic Szellar

(この左のジャケット写真は、LP時代 セル・クリーヴランド管弦楽団の芸術1300シリーズ)

LP時代から長年聴いてきて、私の音楽鑑賞のベースの一つになってしまっているジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団のブラームスの交響曲第4番のCDをようやく入手できた。

4月の4番ということで、手持ちのブラームスの4番を下記のように何種類か聴いてきたが、今改めてこのセル盤を聴いてみて、「この演奏は尋常ではない」という感想が沸き起こっている。ちょうどルガーノライヴと呼ばれるシューマンの交響曲第2番の演奏を聴いたり、オルフェオのザルツブルクライヴでのベートーヴェンの交響曲第5番を聴いたりしたときのような熱気と興奮がこの演奏にはある。

ブラームスの後期の作品(1885)で、通常は、古い形式を用いて、その人生への諦念を表現したような、少し枯れたイメージのある曲で、後ろ髪をひかれるようだとか、晩秋だとか、どちらかと言えば寂寥的な音楽として語られることが多いように感じているが、このセルの指揮による音楽は、特にダイナミックの幅が大きく、フォルテ、フォルテシモでは鳴りのよいクリーヴランド管弦楽団を全開にしてオーケストラを力強く響かせているかのようだ。そのため、非常に陽性の音楽に変貌しているように聴こえる。

この演奏をそれこそ、何度も聴いて刷り込みになっていたので、これまで少々柔和な演奏では満足できなかったのも無理はないと改めて感じた。ヴァイオリンは、ポルタメントに近いほどの音のずりあげをしているし、ホルンは音を割るほど強奏するし、ティンパニの強打、木管群の叫びもすさまじい。全体的にいわゆるいい意味で決然とした男性的な音楽になっている。陰翳や哀愁という要素は非常に少ないように思う。ただ、意外だったのが、フィナーレのパッサカリアのテンポ。もっとがっちりして緊張感が高く速いと記憶していたが、比較的遅めのテンポを取り、穏やかな変奏などは慈しむように演奏していた。しかし、対照的なテンポの速く強奏の多い変奏では、強烈なたたきつけるような音楽での盛り上がりはまた無類の凄さを示す。非常にきっぱりして精密・明晰でエネルギッシュな音楽なのだ。

セル/クリーヴランド管弦楽団の数多い録音の中でも、取り立てて言及されることの多い録音ではないとは思うが、私にとっては、ブラームスの4番はこれを措いては十分満足できる演奏がそうはないことが改めて分かった。

併録の『大学祝典序曲』は、セルの演奏では初めて聴くが、これまたエネルギッシュな演奏になっている。元々陽気な音楽だが、上機嫌の部類の演奏だ。コーダでの『ドイツ学生歌』の再現は、ちょうど『ハイドンバリエーション』でのテーマの再現を思わせるように、非常に感動的な再現になっている。このような曲で思わず胸が熱くなるとは・・・

『悲劇的序曲』は、LPでもカップリングされていたもの。こちらは、トラジックな情緒だが、女々しくなくやはり男性的悲劇を示すかのような演奏になっている。

高校生時代からだからもう30年にもなるが、私がセルの音楽を好きになったのは、まさにこの交響曲の第4番と『悲劇的序曲』のカップリングだったことが今晩改めて確かめられてなんだかうれしい気分だ。

タイミング比較:

セル/CLO〔1966〕  13:22/12:54/6:41/10:36 

小澤征爾/斎藤記念オーケストラ〔1989年〕  12:03/11:05/6:18/9:45
ベーム/VPO〔1975〕13:18/12:06/6:42/10:23
カラヤン/BPO 〔1977〕12:48/11:05/6:04/9:57

C.クライバー/VPO〔1980〕12:45/11:49/6:04/9:12
ヴァント/NDR〔1985〕11:51/10:46/6:24/9:28

 


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ディスク音楽01 オーケストラ」カテゴリの記事

コメント

これは素晴らしい演奏ですね。
低音はずっしりと重く、内声部は充実しているのに、全体的にはすっきりした印象を受けます。アンサンブルの精度がとても高いのだと思います。
懐かしいですね。

mozart1889さん、コメント、トラックバックありがとうございます。

私の場合LPをいつも聴ければ、CDの買い直しは多分あまりしないと思うし、その好印象のイメージがCDで崩れるのもいやなので、なかなかLP,CDのダブリ買いはしないのですが、ブラームスの4番を何種類か聴いているうちにどうしても聴きたくなり入手しました。

LPでは何十回と聴いたもので、当時はそれが唯一の音盤で完璧な刷り込みの一つですが、今回CDで聴いてみて、その頃感じていた感激は一過性のものではなかったことが確認できてうれしいものでした。

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早いもので11月も今日で終わりです。 明日から師走。・・・・・いやぁ、トシを取るとどんどん月日が過ぎてゆきます。 光陰「弾丸」のごとし・・・・であります。 今日は、季節柄で。 ブラームスの交響曲第4番ホ短調 作品98。 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏。 1966年4月、セヴェランス・ホールでの録音。CBS盤。 冬枯れの季節に聴きたくなるのはブラームスの音楽。 特にこの4番は晩秋から冬にかかる時期に聴きたい。暖をとりながら、ブラームスの描く「人生の秋」に耳を... [続きを読む]

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