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2008年6月30日 (月)

DHM-6,7 J.S.バッハ ロ短調ミサ曲 

Bach_mass_bminor_hengelbrock_dhm6 トーマス・ヘンゲルブロック  Thomas Hengelbrock 指揮
 フライブルク・バロック管弦楽団 Freiburger Barockorchester
  バルタザール・ノイマン合唱団 Balthasar -Neumann-Chor
   HMVの紹介ページによれば、〔1996年10月録音〕 原盤:05472773802


6月の最終日、これまで何度も寝入りばなには聴いていてその美しさに陶然としながら寝入った(寝付きだけはいいのだが、3時から4時に目覚めてしまうのが悩みのタネ)この録音にしっかり向き合って聴いてみることにした。(「6月の6番は」)

もちろん比較の対象は、相当以前確か1990年代に購入して、何度も聴いた2006年10月 6日 (金) J.S.バッハ ミサ曲 ロ短調 ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラによる演奏。

このヘンゲルブロックという指揮者やフライブルク・バロック管弦楽団、バルタザール・ノイマン合唱団という名前は、Wein, Weib und Gesang(pfaelzerweinさん)の2006年のモーツァルトとヘンデルの記事で見かけ、ドイツの比較的ローカルな演奏団体なのかな、などと井の中の蛙式の不遜なことを思っていたのが恥ずかしくなるような優れた演奏団体のようだ。

ブリュッヘンのバッハも非常に真摯なものであり、18世紀オーケストラの技量やソリストたち(アルトのカウンターテナーが少し異質だが)は優れた演奏なのだが、このヘンゲルブロックたちの演奏の醸し出す音響の柔和さ、品格の高さ、そして全曲にわたるまとまりのよさは、またブリュッヘンたちの演奏にない多くの魅力を教えてくれるものだと感じた。

このDHM50には、ヘンゲルブロックとバルタザール・ノイマン合唱団は、このロ短調ミサと、DISC1のドゥランテ、アストルガ、ペルゴレージの宗教曲だけの収録(フライブルク・バロック・オーケストラは他にも数枚の録音が収められているが)のようだが、十分その真価を顕してしいるように思う。

コーラス、オーケストラにしてもいわゆる巧さをヘンゲルブロック盤には強く感じないのだが、響きが非常に心地よく、聴きながら集中力が高まっていくような錯覚に襲われるような気もしないではない。

ちなみに、エクセル表でブリュッヘン盤とヘンゲルブロック盤のパンフレット表示のタイミングを並べてみた。全体的に大きな差はないと言えるが、一貫して躍動的な要素が感じられるブリュッヘンに比べて、ヘンゲルブロックは柔と剛の切り替えが鮮やかで、遅い部分はいわゆる「ロマンティック」なほどであるが、速い部分は新古典主義的なキビキビとした引き締まった音楽になっているように聴こえる。これで全体の統一感がそがれないというのも不思議ではある。

  ブリュッヘン ヘンゲルブロック
Kyrie
Kyrie eleison 8:53 11:32
Christe eleison 5:08 4:46
Kyrie eleison 3:50 4:17
  17:51 20:35
Gloria
Gloria in excelsis Deo 1:40 1:37
Et in terra pax 4:56 4:38
Laudamus te 4:23 4:13
Gratias agimus tibi 1:40 3:11
Domine Deus 5:44 5:24
Qui tollis peccata mundi 2:59 3:12
Qui sedes ad dexteram Patris 4:32 5:11
Quoniam tu solus sanctus 4:13 4:37
Cum Sancto Spiritu 3:51 3:36
  33:58 35:39
Credo
Credo in unum Deum 2:00 1:45
Patrem omnipotentem 1:44 1:48
Et in unum Dominum 4:28 4:29
Et incarnatus est 3:05 3:04
Crucifixus 2:58 3:48
Et resurrexit 3:41 3:34
Et in Spiritum Sanctum 5:06 5:02
Confiteor unum baptisma 3:02 3:42
Et expecto resurrectionem 3:36 1:58
  29:40 29:10
Sanctus
Sanctus 4:11 5:17
Osanna in excelsis 2:23 2:20
Benedictus 3:59 4:28
Osanna in excelsis 2:20 2:22
  12:53 14:27
Agnus Dei
Agnus Dei 5:06 5:41
Dona nobis pacem 2:57 3:30
  8:03 9:11
  1:42:25 1:49:02

追記:2008/07/01 現在、FireFox3でこのブログを作成し、表示を確認しているのだが、Internet Explorer 6.0で昨日作ったこの記事を確認したところ、テキストの部分と表の部分の間が非常に大きく開いてしまっていた。そこで、一端IE6.0を立ち上げて、そこでエクセル表の貼り付けを行ったところ、表の体裁(文字の中央揃えなど)は少し崩れたが、Firefox3でみてもIE6.0で見ても同じように見えるようになった。やはり、エクセルとIE, Firefoxでは少し相性の違いがあるようだ。

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コメント

「響きが非常に心地よく、聴きながら集中力が高まっていく」-

特に響きが良いと言うのはどのような音楽家にとっても最高の讃辞でしょう。録音は殆ど持っていないので、自らの二つの記事を読み直して、思い出しています。

「演奏の醸し出す音響の柔和さ」はやはり声の扱い方が大きく影響しているようで、そこから管弦楽も演繹的に定まっていくかもしれません。

楽器は時代によって変わっていきますが、声は一旦ベルカントを捨ててしまえば、教会などの場所に合わせてテキストが正確に歌えるように(聞き取れるように)発声していくことになるでしょうから、本来の姿を取り戻し易いように思います。

こんにちは。
私も寝付きはいいのですが早朝覚醒(だいたい4時です)に悩まされています。以前なにかの本で読んだのですが、寝るにも体力が要るそうです。つまりは体力の衰え=不眠で歳には勝てないようです。まあ私の場合ですが根気もなくなりました(;´_`;)
少し前ならば「ロ短調ミサ」を通して平気で聴けたのですが最近は余程の気構えがないと聴き通せずに、つまみ聴きで済ませてしまいます。

パロット盤、リヒター盤(日本公演ライブ)、クレンペラー盤と買い求めましたがリヒター盤を録音の良さも含めて一番よく聴きました。

pfaelzerweinさん、勝手に記事へのリンクを張らせていただき、コメントをいただきありがとうございます。

ソリストもバルタザール・ノイマン合唱団の団員のようで、いわゆるソリスト然とした目立つ様子はないのですが、発声にも不安定さはなく、声質も合唱に調和して、ブリュッヘン盤では少なからず抵抗感のあった部分も素直に耳に入ってくるのに驚いています。

ベル・カント自体、イタリア語を最も美しく響かせる声楽テクニックですから、このラテン語のミサ曲で使われても悪くはないとは思いますが、弦楽器のヴィブラートと同じヴィブラートの金切り声的な発声になりやすいのでは困ってしまいますね。その点でもこのバルタザール=ノイマン・コールは、「本来の姿」を取り戻してくれているようです。

来日公演があったのかは知りませんが、今後も注目してみたい指揮者、団体ですね。

天ぬきさん、コメントありがとうございます。私の場合は、加齢による思早朝覚醒も多少あるようですが、やはり仕事、家庭等様々なストレスが原因のようで、軽い睡眠薬を出してもらってしばらく続けたところ多少改善してきました。早寝をして3時、4時に起きて、バリバリ勉強をして資格を取って活躍したというような女性が本を出版したというような広告を以前見た覚えがありますが、どうもそこまで前向きではなく、質のよい睡眠を欲しております。

挙げられているパロット盤、クレンペラー盤、リヒター盤などの名盤は残念ながら聴いたことがなく、特にマタイやヨハネのような峻厳なリヒターのロ短調には興味があるのですが、未だ機会に恵まれていません。現代風のピリオドアプローチもいいですが、リヒターの演奏は、熟年リスナーにとっては心の故郷かも知れないですね。パロットはピリオドアプローチでしょうか。結構評判がよいようですね。クレンペラーは、巨大な伽藍が目に浮かぶようです。ブリュッヘンの軽快な演奏に比べてもより「美しい」演奏がこのヘンゲルブロック盤だと感じますので、もし興味があればお聴きになることをお薦めします。意外ですが、音楽的な実質はたっぷりあるのに疲れない演奏です。


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