斎藤雅広のピアノによる小曲集『The Romantic my favorite』
元々は非売品(ヤマハピアノのデモンストレーション用らしい)のようだが、ブックオフで購入。
よくあるピアノ小曲集だが、軽井沢の大賀ホールで、2005年7月28日-30日に、YAMAHAの NEW CFⅢSというモデルを使って録音したものだという。
演奏者の斎藤雅広は、以前NHKの教育テレビで、キー坊主という登場人物に扮して音楽番組に出演していたときに知ったピアニスト。大変優れた技術を持ったピアニストで、芸大時代は、「芸大のホロヴィッツ」というニックネームを奉られたほどだったらしい。日本音楽コンクールでは優勝したが、海外コンクールではあまり成績を残さなかったのだろうか。そのため、いまいちネームバリューが低い感じだが、相当の実力者だとは思う。
この小曲集でも、達者な技術と豊かな音を聞かせてくれて楽しい。
曲目は、ショパンの夜想曲嬰ハ短調、『雨だれ』、幻想即興曲、夜想曲変ホ長調作品9-2、子守歌。ドヴォルザークの『ユーモレスク』(これは、別マイクによるテイクも収録されているが、後の収録の方が丸みを帯びた音に聞こえる)。ルービンシュタイン『ヘ調のメロディ』。ベートーヴェン『エリーゼのために』。グリーグ(斎藤編曲)『君を愛す』。J.S.バッハ(ヘス編曲)『主よ、人の望みの喜びよ』。サティ グノシエンヌ第1番、ジムノペディ第1番。ドビュッシー『月の光』『夢』。シューマン『トロイメライ』。ハーライン(斎藤編曲)『星に願いを』。
ショパンは、癖がない演奏だった。ドビュッシー『月の光』は少々鋭角的な演奏で驚いたが、『夢』は明晰ながら繊細な演奏。なお、ヘス編曲の『主よ・・・』は、ケンプ編曲よりも音の数が多い編曲だ。この演奏は、少々も大げさな感じで、好みは分かれるかも知れない。もっと慎ましやかで敬虔さを感じさせる解釈の方が自分としては好みだ。
録音もよく、このCDが非売品というのは、もったいない話だ。
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