良寛さんとモーツァルトは同時代人だった!
先日、新聞の雑誌・書籍広告に、今年2008年が良寛禅師の生誕250年と出ているのを見つけ、「そうか! 良寛さんはモーツァルトの同時代人だったのか!」とユーレカ(ユリイカ)した。
良寛さんは、1758年に生まれ、1831年に没した。W.A.モーツァルトは、1756年に生まれ1791年に没している。良寛さんは比較的長生きだったので、ベートーヴェンとも同時代人ということになるし、ハイドンやシューベルトとも同時代人だったとも言えるようだ。
以前、八代将軍徳川吉宗の生没年1684-1751 がJ.S.バッハ 1685-1750 とほぼ同じだという「発見」をしたことがあったが、そういう同時代人を挙げ始めれば切がないけれど夏目漱石(1867-1916)とマーラー(1860-1911)などもほとんど生涯が重なっている。
ただ、良寛さんといえば、子ども向けの簡単なエピソード程度しか知らず、越後の国上山五合庵をドライブの時に立ち寄った程度で、歌人、書家としての著名な業績もよくは知らないでいる。書の魅力は不思議な天衣無縫さにあるとされるようだが、そこからの連想で今晩は、モーツァルトのセレナード第13番 ト長調 K.525 を ブルーノ・ワルター(ヴァルター)指揮コロンビア交響楽団という少々オールドスタイルの名盤で聴いてみたくなった。
いわゆる「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」 Eine kliene Nacht Musik 音楽之友社版の古いポケットスコアには、直訳で「小夜曲」とあったのを思い出すようなロマンチックなスタイルの演奏が聴ける。左のパンフレット写真は、正規盤ではなく "The great collection of classical music" 所収のものだが、CD自体はCBS Sony の制作になるもの。このK.525以外にも、『劇場支配人』、『コシ・ファン・トゥッテ』、『フィガロの結婚』、『魔笛』の序曲と、K.477の『フリーメーソンのための葬送音楽』が収録されており、モーツァルトを得意とした名指揮者の晩年の「天衣無縫」な境地を聴くことができる。
ピリオド・アプローチの以前から、K.525は、弦楽四重奏や小編成の弦楽合奏でも演奏され、マリナー/ASMIFや、イ・ムジチなどによる小気味よい爽快な演奏がどちらかといえば主流で、それ以後のホグウッドやコープマンなどのピリオド・アプローチの演奏は少ししゃきしゃきし過ぎて聴き疲れがすることがあるが、このワルターの演奏はワルター流の低弦の強調と、思いを込めたフレージング、ゆったりとしたテンポで、至芸を尽くした「天衣無縫」さを楽しむことができるように思う。
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良寛さんとモーツァルトやハイドンなどの同時代性、こういう発見は楽しいですね。夏目漱石とマーラーなど、なんだか共通点を感じます。いや、どんな点が、といわれても、具体的にあげることは難しいのですが(^_^;)>
投稿: narkejp | 2008年7月17日 (木) 21:04
narkejpさん、今晩は。コメントありがとうございます。
いきなり話が飛んでしまうのですが、梅棹忠夫『文明の生態史観』http://home.att.ne.jp/apple/tamaco/Yutenji/990927BunmeinoS.htm
という本があり、ユーラシア大陸の東のはずれと西のはずれで特に近代文明が発展したのはなぜかを「生態史」的に解明した文明論で、東のはずれと西のはずれ(西欧)で封建制が発達し、その地域に近代資本主義が発達したというような内容ですが、その萌芽となった18世紀頃から東西間の微妙な同時代性のようなものがあったような感じがするのは面白いなと思ったりしております。
投稿: 望 岳人 | 2008年7月17日 (木) 22:51