ヴァルター/コロンビア響の『新世界より』
梅雨の晴れ間の一日。夕方は雲行きが怪しかったが、雨は降らなかったようだ。今は、たとえば日本気象協会とか気象庁とかいろいろなサイトで降雨レーダーと時間予報が見られるので便利だ。長男が箱根に2泊3日で学校のキャンプに出かけているのだが、降雨レーダーでは箱根も恐らく霧(雲)は巻いているだろうが雨にはなっていないようだ。
さて、7月に入って、何か7番に関係するものを選ぼうとは思うのだが、未だまったく白紙状態。そんな中、ブルーノ・ワルター(ヴァルター)が1959年代末に録音したコロンビア響との『新世界より』の輸入盤(MK42039 CBS MASTERWORKS)が手に入り、早速聴いてみた。
これまでノイマンなどのチェコの本場もの、セルやケルテスと言ったハンガリー出身指揮者の引き締まった強烈な演奏に親しんできたので、ワルターはどうかなと思いながら聴いてみたところ、これがまたなかなかよかった。これこそ「微笑みのワルター」なのかなと思わせる演奏だった。
ライヴ録音では、荒れ狂ったような演奏もあるそうだが、このCBSのスタジオ録音盤は、柔和なワルターの音楽の典型のような気がする。懐かしさが感じられ、また疲れた気持ちに慰めを与えるような雰囲気のある演奏だった。
戦争で愛するヨーロッパを追われ、ドヴォルザークがこの曲を書いたアメリカに住まざるを得なくなったワルターの望郷の念も感じられるようだ。
音楽に対峙するだけでなく、音楽に慰められるのも時にはいいものだ。
追記:同日、夜寝る前にもう一度聴きなおしたらところ、印象が少し異なった。微笑み、慰めだけではなく、LP時代からの愛聴盤ワルターのベートーヴェンの『英雄』のように、他の演奏と比べるとこじんまりとスケールが小さく感じるが、そこに没入して音楽と一体になると、雄大さ、力強さ、壮麗さなども感じられるという、多面性があるように思えた。
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