くさくさした気分だがなぜか面白いマゼールの指揮
ムソルグスキー
『禿山の一夜』(リムスキー=コルサコフ編)
『展覧会の絵』(ラヴェル編)
ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
〔1978年10月、クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアムでの録音〕
『パリのアメリカ人』
ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
(併録 バルトーク 『管弦楽のための協奏曲』
サー・ゲオルク・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団)
買っておいてまだ聴いていなかったCDを次から次へ聴いてみている。なぜか音楽がよく耳から心に入ってくる。音楽が心の中で飽和せずに、どれを聞いても面白く感じるのだから、家族関係のくさくさ感と音楽鑑賞は別の次元のようで、不思議だ。
なかでも普段聴いてもあまり面白くないロリン・マゼール指揮の録音が、なぜか面白く聴けるのが不思議だ。
まず聴いたのは、ショルティのバルトークのフィルアップに納められていたガーシュインの『パリのアメリカ人』。これまで聴いてきたオーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団の演奏が大人しく聞こえるほど、多彩なソリスティックな音響が満載でこの曲がこんなに面白い曲だということを初めて気が付いたような気持ちだ。元々コメディー映画になるようなユーモラスな音楽なのだが、マゼールの細かい部分を強調する指揮にクリーヴランド管がたくみに対応しているのが功を奏しているのだろう。
ムソルグスキーの2作品も、このCDを買ったときに聴いたときには、やけにあっさりした音楽だなと感じたのだが、今日聴いてみるとそれほど「ユニークな」演奏ではないのだが、小気味よい演奏で、これも面白い。とにかく天下のクリーヴランド管弦楽団によるディジタル録音であり、細部まで非常に整った演奏だ。たった一日のセッションでの録音のようだが、ライヴ録音的な「乗り」はないが、粘らずにサラサラとよく流れる演奏だ。
(なお、珍しいことに、この『展覧会の絵』は、なぜか、1トラックで収録されており、indexも挿入されていないようだ。グールドの二声と三声ではないが、これも指揮者が続けて聴いて欲しいという意思の表れなのだろうか?)
そういえば、マゼールの指揮の録音というのも、アバドやムーティ、メータの録音同様、LPでもCDでも手持ちは非常に少ない。FM放送をよく聴いていた時代には、よくベルリンフィルなどの定期やザルツブルクなどの音楽祭に彼らはよく登場していて、日常的によく聴いていたこともあり、いつでも聴けるだろうというのも、(小澤征爾の録音を除いて)当時現役最先端で現在巨匠とされる指揮者たちの録音があまり手元にないのかななどとも思った。
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