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2008年9月 6日 (土)

カラヤン/VPO ベートーヴェン 交響曲第7番<57>、『ロメオとジュリエット』<60>

Karajan_beethoven7_romeoandjulietベートーヴェン 
  交響曲第7番 イ長調 作品92
   11:37/8:35/7:38/6:41  〔1957*年3月、ゾフィエンザール〕

チャイコフスキー
  幻想序曲『ロメオとジュリエット』 作品13 20:34
   〔1960年1月、ゾフィエンザール〕

 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1999/8/27発売 KICC 9293 キングレコード)

これも最近聴いたグルダのシューマン ピアノ協奏曲と同じようにステレオ初期のデッカ録音。先日聴いたドホナーニの第7番の冷静な演奏との比較も興味があったので、取り上げてみた。

1960年より以前のステレオ録音となると少し古いなと思うが、あの見事な録音のショルティの『ニーベルングの指環』が1958年から収録が開始されたので、1950年代末にはステレオ録音のノウハウは確立されていたのだろう。

*カラヤンのディスコグラフィーを拝見すると、この録音は1959年3月の録音で、カラヤンのデッカへの初録音となっているので、1957年というのは、このCDの印刷時に7と9を見間違ったものかも知れない。

この録音は1959年という公算が強いが、その前年1958年にはショルティが、同じヴィーンフィルと交響曲第5番、第7番を録音している。これは『ニーベルング』プロジェクトをクナッパーツブッシュの代わりに引き受けてくれた御祝儀といわれているもので、以前5番を友人のCDで聴いたことがあるが、結構生々しい迫力の演奏だった。

さて、カラヤン/VPOの7番だが、1908年生まれのカラヤンは、50歳前後。ようやくベルリン・フィルの常任指揮者のポストに就き、ドイツ・オーストリアでの録音活動も本格的に再開しようとしていた頃だったのだと思う。(上記のディスコグラフィーを見ると、終戦直後には結構VPOを振っての録音が多く見られるが。)

私の耳の調子か、全体的に微妙なピッチが少し気になるし、やはりいくらデッカ録音といってもこの頃のものになるとさすがに弦楽器の高音が硬い感じだ。演奏上の特徴としては、第2楽章が多くの録音に比べてテヌート気味というかレガートを多用していることだろうか。カラヤン節はこの頃から現われていたようだ。

チャイコフスキーの『ロメオとジュリエット』は名曲の割りには、これまでPILZ系の録音しか手元になく、ようやく正規盤の録音が入手できたというもの。この曲が20分も要する大曲だということはあまり意識していなかったが、そのためもあり録音があまり多くないのだろうか?カラヤンとVPOのチャイコフスキーは、三大バレエの録音を以前から愛聴していたが、その一貫の録音だろうか? 許光俊は、この『ロメオとジュリエット』を題材にソナタ形式を説明していたが、確かに主題がくっきりと分かりやすく、なかなか巧みな解説だった。カラヤンの特徴はここでも出ているが、当時のヴィーンフィルは、後年のDG系の滑らかな磨かれたような録音とは違い、結構ナマっぽい音が出ている。そういう意味では、ショルティのベートーヴェン、ヴァーグナーもこれら一連のカラヤン録音も、面白い録音だと思う。

タイミング比較:

11:33/7:38/8:18/6:34  クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮クリーヴランド管弦楽団〔1987年〕

このジャケット写真は、妙にクリアなものだが、襖のような背景などを見ると来日時のものだろうか?

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