バーンスタイン/LSO の 『春の祭典』
ストラヴィンスキー
バレエ音楽『春の祭典』
レナード・バーンスタイン指揮
ロンドン交響楽団
第1部 15:38
第2部 19:43
〔1972年○Pマーク〕
2008年7月 4日 (金) ブーレーズ/CLO(1969年)の『春の祭典』にセルはどのくらい関与したのだろうかで、『春の祭典』の棚卸をやった後に購入したディスク。LP時代は、ストラヴィンスキーの頭部が「サイケデリック」な風景の中に置かれている?ような変なジャケットで発売されていたもので、あの異様なデザインは今でも覚えている。
The Great Collection Of Classical Music FDCA556のリーフレットは、名画が用いられているが、これはアンリ・ルソーの『眠るジプシー女』という題名のもの。
諏訪湖を望むハーモ美術館という小さな美術館は、このアンリ・ルソーを初めとする素朴派の作品を集めた美術館で、以前2回ほど訪れたことがある。ルオーの人物の顔を画面いっぱいに描いた(刷った)版画も所蔵していた。諏訪には、このほかにもエミール・ガレの名品を所蔵する北沢美術館とかその系列のルネ・ラリック美術館など、アール・ヌーボー、アール・デコのコレクションも多くみることができる。諏訪という狭い土地に、女工哀史の製糸工場の後は、諏訪精工舎を初め、北沢バルブなど比較的資本集積が進んで、その蓄積が美術に姿を変えたものだろうとは思う。
さて、『春の祭典』は、上記のブーレーズ以降、精密な演奏が一般的になっていて、先のブーレーズの記事で挙げた音盤の中で、ショルティ, C.デイヴィス,小澤,ドラティはそれぞれ個性はあるが、大雑把な分類では精密アンサンブル派と言えるだろう。ゲルギエフもさすがに20世紀末の録音だけあり、オケのアンサンブルは精密だ。ただし、解釈・表現は少し無理した個性派というところだろうか。
それらに比べて、ブーレーズ後の録音のこのバーンスタイン盤は、合奏の精度という点では非常に鷹揚なもので、2曲目の『春のきざしと若い娘達の踊り』では、ホルンのメロディーの前に、木管?がフライングで同じメロディーを先に歌ったミス(?)がそのまま収録されている。また、『生け贄の踊り』あたりでは、もっと煽りたいところだろうが、アンサンブルが破綻しそうなためか、少し慎重に指揮をしたのだろう、肝心の迫力がそがれているように聞こえるところもあるなど、精密派の潮流からは逸脱した珍しい録音だと感じた。まだこの頃はバーンスタインも若く、ニューヨーク・フィルの音楽監督を1969年51歳でに辞任した後、渡欧して活躍を始めた頃にあたっている。彼の音楽には、精密志向はなかったが、それでもDGに移籍してからの録音は、名門ヴィーンフィル、コンセルトヘボウなどのオーケストラの自発的なアンサンブルの力によって以前よりも粗さの少ない音楽を聞かせるようになったので、この時期の録音というのは結構貴重なのかも知れない。逆に精密派が大勢になると、むしろこのように粗いアンサンブルの録音が面白く感じたりするのだから自分も身勝手なものだ。
2チャンネルのステレオが、前後左右の4チャンネルに「発展」すると騒がれた頃の録音で、録音に特徴があるものなのか、非常にクロースアップされた音が入っていたりもして、冒頭のファゴットのキーのパタパタする音なども聞こえてきて、そういう面でも面白かった。
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