Orfeo盤 交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&バイロイト(1951バイエルン放送音源)
Schwarzkopf, Hängen, Hopf, Edelmann
Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
Dirigent : Wilhelm Furtwängler
Live Recording 29, Juli 1951
(ORFEO C 754081 B)
2007年12月27日 (木) 一般発売 交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&バイロイト(1951 バイエルン放送音源) を、DHM50枚組みのBOXを購入するときにマルチバイでようやく購入した。生活圏のCDショップではついぞ見かけなかったのだ。もう一枚のマルチバイが、改めて大感激したセル/CLO のブラームスの4番。
このCDについては、ライヴ録音論争的な様相になっており、私は状況的にこのバイエルン放送音源盤がゲネラルプローベ(通しのリハーサル)だろうという意見に組していることもあり、2007年7月30日 (月)に フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管の第九(東芝EMI盤) という記事を書いて、この盤との聞き比べを楽しみにしていたのだが、既に何度も聴いたEMI盤のようにメモをとりながら分析的に聴いて判定したいものだなどと考えていたこともあり、それが負担となって少々しんどく、つい未聴盤の最上位に祭り上げていてこれまでさわり程度しか聴かなかった。
マゼールの録音や、シベリウスの交響曲などを立て続けに聴いた先週に、気楽に聴いてみようと取り出して「さらっと」聴いてみた。
冒頭付近のSPの板起こしのような雑音には驚いたが、全体的には非常にクリアな録音状態で驚いた。
有名なEMI盤の録音とはいくつか異なる点もあるが、紛れもなく「有機的」というイメージが思い浮かぶフルトヴェングラーの音楽が刻印されていて、気楽な気分で聴いたのだが、EMI盤と同様に感激した。
特徴的なところでは、フィナーレの vor Gott ! でのフェルマータ部分でEMI盤にあったクレッシェンド(アクセント)的な音量の増加はない。また、フィナーレの最終部分は、EMI盤ほどではないが相当加速(アッチェレランド)しているけれど、最後までオーケストラは音量を失わずにアンサンブルも崩壊していない。
バックノイズというのか、雰囲気的には、少しざわつきが感じられるEMI盤に比べて、ORFEO盤の方が静謐な雰囲気を感じた。
EMI盤よりもクリアな音質でフルトヴェングラーの「バイトロイトの第9」を聴くことができるというのは、音楽ファンにとって非常にありがたいことだと思う。
なお、CDの冊子には独英仏語の解説も含まれているが、英語を斜め読みしてみてもこの音源がバイエルン放送の新発見のものだということは書かれていないようだった。
なお、この解説によると、第二次大戦後初のバイロイト音楽祭は、1951年7月29日の「午後8時」にこの第九交響曲の演奏によって始まったのだと書かれている。もしバイエルン放送の音源のテープの記録に時刻が記されていれば、その意味では決定的な証拠になるように思った。
また、当日フルトヴェングラーのバイロイト到着は遅れ、「ほとんどリハーサルの時間がとれなかった(and had had very little rehearsal time)ので、公衆には最後のリハーサルを傍聴することを許さなかった」とも書かれているので、当日の完全な通し練習が行われなかったことも考えられないではない。
CDの裏表紙には、ドイツ語で
Herausgegeben von den Bayreuther Festspielen.
Erste authentische, ungeschnittene Ausgabe des Konzertes vom Original-Bandmitschnitt des Bayerischen Rundfunks
Festspielhaus Bayreuth, 29, Juli 1951
と書かれていた。Bandmitschnitt というのが分かりにくいが、意訳すると
バイロイト音楽祭からの発表。バイエルン放送のオリジナルの録音テープによるこのコンサートの最初の、真正の、切断されていない版。1951年7月29日 バイロイト祝祭劇場。ということなので、「切断されていない」というのがEMI版を意識した文言であることは確かだろう。
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コメント
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巨匠フルトヴェングラーの「名盤」の真相 第一回 「バイロイトの第九」の「真相」本間俊哉 2016年8月29日
http://www.britannia.co.jp/column/2016/08/149/
投稿: 望 岳人(Mochi Takehito) | 2020年1月17日 (金) 13:22