事件ファイル #16 紬(つむぎ)の里から来た音盤~ムソルグスキー「展覧会の絵」
事件ファイル #15 起死回生のホームラン ~ガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」は、いつの間にか、見逃してしまった。2008年 9月28日(日) 午後11:00~午後11:45(45分)にBS2で放送されたらしいが、未だ再放送予定はアップされていない。
今晩は、事件ファイル #16 紬(つむぎ)の里から来た音盤~ムソルグスキー「展覧会の絵」 依頼人 織部 覧 (濱田マリ) 職業 ファッションデザイナー(2008年10月5日放送)
(筧利夫,黒川芽以,濱田マリ,【演奏】管弦楽…NHK交響楽団,【VTR出演】玉川大学芸術学部准教授…野本由紀夫,愛知県立芸術大学准教授…安原雅之,日本フィル首席トランペット奏者…星野究,【語り】阪脩) をビデオ収録しておいたのを鑑賞した。
「キエフの大門」のエピソード、実際に黄金の門というキエフの古建築の改築案としてハルトマン(ガルトマン)が応募したのが現在残されているデザイン画だったということは半分は知っていたが、あの音楽の中で、木管楽器群が静かに奏でるメロディーはロシア聖歌を模したものだというのは解説をよく読まなかったせいか、今回なるほどと思った。また、あのデザイン画には、鐘が描かれているが、鐘の音をチューブラー・ベル(チャイム)で鳴らすのは、大門の鐘をそのまま現したものというのに初めて気が付いた。また、途中グロッケンシュピールで、プロムナードのテーマが現われるが、この「キエフの大門」のテーマ自体がプロムナードの変奏だということは、次男も気が付いていたので、それに触れられなかったのは少し残念だった。
ムソルグスキーのオリジナルの楽譜の文字や音符の美しさは驚くほどのものだった。風貌や音楽に似合わず、非常に繊細な性格がうかがわれる。
Bydlo は、愛知県立芸術大学准教授の安原雅之氏により、あっさりと、「ポーランド語で牛のことです。」と片付けられていたのは少々安直だったように思う。NHK出版から作曲家の團伊玖磨が『追跡ムソルグスキー「展覧会の絵」』という本を出しているくらいなので、簡単に片付けるべきではなかったのではあるまいか? 参考ブログ: ombramaifu 展覧会の絵・ビドロ、参考記事: 「展覧会の絵」を聴く3・・・ヴィドロの謎(沼津交響楽団■コラム:「~を聴く」シリーズより)と対立する見解があるようで、このBydloの解釈にも大いに影響してくるものだから。
クーセヴィツキーがラヴェルに編曲を委嘱したのだが、初演は、パリのオペラ座(勿論ガルニエ)で行われたというのは知らなかった。ボストン響との1940年代のライヴ録音を持っているので、ボストン響で初演したのかと思っていたので意外だった。
この夏にサントリー・ホールで、生演奏を聴いてお気に入りになった曲なので、子ども達も熱心に見入っていた。デュトワの指揮N響のコンサートの収録が番組では用いられていたが、やはりナマの迫力は印象的だったらしく、小太鼓がよかったとか、トランペッターにとっては吹き甲斐があるだろうがしょっぱなは緊張するだろうねといっぱしのことを言っていて面白かった。ちょうど、デュトアの指揮モントリオール交響楽団のCDがあったので、少し聴いたが、うまかった。
« 伯母満80歳で逝去 | トップページ | 倉田百三『出家とその弟子』(DS文学全集 青空文庫版) »
「ディスク音楽01 オーケストラ」カテゴリの記事
- ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」 ベルリンフィルによる録音のいくつか(2024.01.14)
- 2015年暮れの第九(読響とN響)のテレビ放送を聴いてトスカニーニを聴き直した(2016.01.03)
- 第6回音楽大学オーケストラフェスティバル(ミューザ川崎 2015/12/6 最終日)(2015.12.07)
- 第6回音楽大学オーケストラフェスティバル(ミューザ川崎 2015/11/28)(2015.11.29)
- 「コンサートは始まる」を20数年ぶりに再読(2015.10.01)
「名曲探偵アマデウス」カテゴリの記事
- 事件ファイル #18 喪われた王女を求めて ~ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」(2008.11.18)
- 久しぶりに「名曲探偵」の新事件簿が続く #18ラヴェル、#19サティ(2008.11.16)
- 事件ファイル #17 喋りすぎる男 ~リスト パガニーニ大練習曲「ラ・カンパネラ」(2008.10.14)
- 事件ファイル #16 紬(つむぎ)の里から来た音盤~ムソルグスキー「展覧会の絵」(2008.10.06)
- 事件ファイル #14 殺しのプレリュード ~ショパン 「24の前奏曲」(2008.09.17)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 事件ファイル #16 紬(つむぎ)の里から来た音盤~ムソルグスキー「展覧会の絵」:
» 名曲探偵アマデウス#16 ムソルグスキー「展覧会の絵」 [MEICHIKUなんでもぶろぐ]
今回から土曜19:00の放送ということになった「名曲探偵アマデウス」。今回取り上げられたのムソルグスキー「展覧会の絵」でした。今回はドラマ部分が38分過ぎまであって、曲の方が約5分ということになっていました。で、相変わらず「ケータイ刑事」のノリもある物語でした。まずは、鏡を前にして所長がネクタイを持って悩んでいる。カノンさんは「どっちでもいいんじゃないですか」と、いつもの調子で楽しく絡んでいくが、今回の依頼者がやってくると、カノンさんは素早く切り替わって「どなたですか?」が、レコードを買い取って欲し... [続きを読む]
次の放送の#17と#18の間に2週入るので、#15の再放送は10月下旬にあるのではないかと思います。
また、野球・日本シリーズに出場するチームによっては、11/1と11/8のBS-hiがお休みになる可能性があり、そうなったら日曜のBS-2の放送も再放送になるでしょうから、一段と再放送の可能性が高くなるものと思いますよ。
投稿: MEICHIKU | 2008年10月 8日 (水) 00:51
MEICHIKUさん、先日はトラックバックありがとうございました。また、今回はコメントで、再放送予定の情報ありがとうございます。『ラプソディー・イン・ブルー』も我が家の人気曲でもありますので、今度は見逃さないようにしたいです。
投稿: 望 岳人 | 2008年10月 8日 (水) 19:03