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2008年10月 8日 (水)

ノーベル賞

2008年のノーベル物理学賞に素粒子研究の分野で業績を挙げた日本人科学者米シカゴ大名誉教授で大阪市立大名誉教授の南部陽一郎氏(87)と高エネル ギー加速器研究機構(茨城県つくば市)名誉教授の小林誠氏(64)と京都大名誉教授で京都産業大理学部教授の益川敏英氏(68)の三人同時受賞のニュースに続いて、海洋生物学者が何と化学賞を受賞した。米ウッズホール海洋生物学研究所・元上席研究員の下村脩(おさむ)さん(80)という方で、水母(くらげ)の研究の過程で、緑色発光たんぱく質の分離し、その構造の解明に成功したのだという。この緑色発光たんぱく質が、生命科学の分野で分子にくっつけと行動を追跡する「道具」として広く使われているのだという。

比較的若い二人は日本在住だが、高齢の南部氏と下村氏は米国在住。殊に南部氏は40年以上前の業績に対する賞の授与で、この30年ほど毎年候補に挙げられており、日本では既に文化勲章も受章している学界では著名な学者だったようだ。

日本人同時受賞は喜ばしいことだが、そのような顕著な業績を挙げながら特に南部氏の場合、87歳という高齢まで長生きしなければ授与の栄に浴せなかったというのは、選考が少し恣意的なのではないかと思ってしまった。顕著な業績を挙げた人物が同時多発的に数多くいるのなら、それらの学者には一律に賞を授与すべきではなかろうか?そうすれば賞の権威が失われるというのだろうが、現在の年に数人という選考数ではあまりにも数が少ないように思われる。それこそ、ノーベル財団が選考しないような優れた業績の人物を他の財団が積極的に素早く顕彰するようなライヴァル的な賞の存在が必要なようにも思う。

これまでの科学史において、ノーベル賞は世界最高の科学賞ではあったとは思うが、世界的に同時進行的な研究でのタッチの差での論文発表とか(利根川進氏の著書に自ら書かれていた)、今回のような既にその世界では古典的な理論になっているような業績に対して、遅きに失したような授与だとか、なんとなくトンチンカンのような違和感を覚えている。

ノーベル経済学賞にしても、近年の受賞者達が金儲けに走って、世界の実体経済を病気にしたような気もするし、アル・ゴアの平和賞にしても最近のゴシップで相当味噌をつけているように思う。

ダイナマイト発明の罪滅ぼしとしてのノーベル賞だが、相当迷走気味なのではなかろうか?

P.S.小林、益川氏の ノーベル物理学賞にイタリア物理学界が猛反発というニュースがYAHOOニュース(スポーツ報知)に出ていた。他の一般紙には記事がないようだ。ニコラ・カビボ・ローマ大学教授が、小林益川理論の10年前にその基礎となる理論を発表しており、カビボ・小林・益川理論とも呼ばれることもあり、先駆者の偉業が無視されたことにイタリアでは反発が起きているらしい。同じ年には3人しか受賞できない規則があり、これまでも、同様のトラブルは起きていたらしい。

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