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2008年11月22日 (土)

DECCA PIANO MASTERWORKS 50枚組ボックスセット

久しぶりにHMVのページを閲覧していたところ、カラヤンの38枚組みの交響曲集と並んで、デッカレーベルから発売の(ユニバーサルとしてドイツ・グラモフォンやフィリップスの原盤も含めて)50枚組みのクラシック音楽のピアノ名曲集のボックスセットが目に留まった。値段は「マルチバイ」をすれば何と約1万円。カラヤンの38枚組(約9千円)も、これまで聴く機会がなかったカラヤンのブルックナーの全集が含まれるなど垂涎ものでどうしようかと迷った。

今年は、DHMの50枚組みも買ったことだし(未だ半分程度しか聴いていない)、音盤の購入は少し控えようと思っていたが、DECCA PIANO MASTERWORKS (DPMとでもしようか?)の収録音盤を見たところ、以前から購入希望だったフリートリヒ・グルダの平均律クラヴィーア曲集全曲が含まれており、フィリップスの第1巻、第2巻別売りを購入すればそれだけで4000円程度になる計算だし、他にもこれまで持っていない楽曲のCDや聴いてみたい音盤も結構含まれていたこともあり、購入に踏み切った。

 購入前の私の注目は:
  ギレリスのベートーヴェンNo.27,28『ハンマークラフィーア』
  ルービンシュタインのブラームス第1協奏曲(メータ/イスラエルフィル)
  ムストネンのグリーグ協奏曲(ブロムシュテット/サンフランシスコ響)
  リヒテルのブラームス第1,2ソナタ
  リヒテルのハイドン ト短調H.XVI No.44 ト長調H.XVI No.40 変ロ長調HXVI No.41
              ハ長調H.XVI No.48 変ホ長調HXVI No.52
  ハスキルのモーツァルト 協奏曲第19、27(フリッチャイ)
  ルプーのシューベルト第16&18番
  シフのチャイコフスキー第1協奏曲(ショルティ/シカゴ響)

20日夜に注文したところ、今日22日の昼過ぎに佐川急便で届いた。前回のDHMの時と同じく大ぶりな外装箱にラップ巻されたこのボックスセットが箱の底面に糊付けされた梱包だったが、今回は糊付けが弱かったのか、到着時は外装の中でボックスが踊っている状態だったけれど、直ぐに開梱してみて確認したところ傷やへこみはなく一安心だった。(ただ、このような心配をしなくてはならないという面では、HMVは前回もそうだったが発送時と運送時の扱いに不安が残る。)

ボックスの中の紙ケースは厚みのあるものではなく、薄い紙質のものでこのようなのは初めてで驚いた。さすがに徹底的にコストダウンしてあるようだ。一応紙ケースと中身のCDの番号を照合して外装と中身の相違がないことも確認した。CDは、MADE IN THE EUで、DECCAのロゴのみで、ドイツ・グラモフォン、フィリップスはCD上には記載なし。CDの盤質は厚みもあり良好のようだ。

大作曲家の傑作がほとんどで作品としては耳なじみのものがほとんどだが、比較的馴染みの薄いドホナーニ(あの指揮者ドホナーニの祖父)の作品がシフの録音で収録されるなど、ユニークさもある。また、オネゲルやフランセの曲など聴いたことのない作品も収録されている。

なお、HMVのユーザーレビューにも書かれていたが、デッカの看板であるアシュケナージが含まれていない。またDGの同じくそれであるポリーニ、ツィメルマン(アルゲリッチは収録)やフィリップスのブレンデルが含まれていないのは、できるだけベストセラーとの重複を避ける編集方針だったのかとも思うが、一流レーベルの一流奏者の1990年代の比較的新しい録音まで含んだこのような音盤が一枚あたりたった200円程度で入手できるというのは、三大レーベルを持つユニーバーサルにしても、CDの売れ行きはそこまで悪いということなのだろうかと心配になる。まあ、コアなファンにしても新譜を買うことはめっきり減り、めぼしい旧譜やライブラリの欠落をこのようにネットで補ったりすることが多いので、メーカー側もそれに対応しているということなのだろうか。(このボックスセットのほか、ヴァーグナーのオペラ・楽劇バイロイト全集が超廉価で発売されたり、生誕100周年のカラヤンの音盤がやはりボックスで発売されたりしている。)

このDPMのディジタル・リマスターは今回新たに行われたのではないだろうが、数枚聴いてみたところ、高域が強調され過ぎたところのないマイルドな音の傾向であり、ただ、ピアノとしては粒立ちがよく、かつ透明感に影響するような音の粒子が細かいようで、聴き疲れしない音の状態が多いようで、個人的には好ましい。

P.S. 「平均律」にひとこと。先日、ブックオフで購入した中村紘子女史の『コンクールでお会いしましょう―名演に飽きた時代の原点』(中央公論社)を読んでいたら、律が率となっており、「平均率」と表記されていた。手書きの時代にこのような書き間違いをする人は少なかったと思うが、現代のPCでの入力では、多くがMSのIMEなどによるかな漢字変換を行っているため、ネットで検索してもこの手の間違いが多いようだ(自分も他の言葉では気づかずにやっているかも知れない)。MSのIMEで「へいきんりつ」と入力して変換すると「平均率」と出てしまう。ただ、音楽の専門家が旧約聖書とまで呼ばれる「平均律クラヴィーア曲集」を平均率とするのは、恥ずかしい。是非単語用例登録をつかって「へいきんりつ」と入力したら「平均律」と変換されるように予め設定しておくべきだろう。

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コメント

おはようございます。
僕もこのセット、買いました。アシュケナージの演奏がほとんどなかったのには残念だったですし、グルダの平均律やベートーヴェンの協奏曲など、かなりのダブり買いになりましたが、1枚あたり200円という超廉価は魅力です。
ついついHMVのサイトでクリックしてしまったのです(^^ゞ。
録音も新しいものが多いですし、演奏も概して良好、ぽつぽつ聴いていこうと思います。
それにしても、メジャーレーベルも超廉価ボックスに参戦してきましたね。ワーグナーの33枚組とかカラヤンのDG交響曲ボックス38枚組など、あまりの安さに、今後のことが心配になります。世界的にクラシックCDが売れていないんでしょうね。

mozart1889さん、コメントありがとうございます。

DHMの方はまだ全部聴けていませんが、こちらはおなじみの曲を違った演奏者の演奏で聴けるものが多いので、昨日までにコチシュのショパンのワルツ全曲、同じくコチシュのラフマニノフの2番と3番の協奏曲、ルプーのシューベルトのソナタ16番と18番、ムストネンのグリーグとショパンの1番の協奏曲、プレヴィンのガーシュインラプソディー・イン・ブルーと言う具合に既に5,6枚ほど聴いてしまいました。何のかんのといって同曲異演盤を聴くのは楽しいですね。

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