レオナルド・ダ・ヴィンチ作?『ラロックの聖母』
11月26日夜 フジテレビ で放送。「ザ・ベストハウス123」という番組。荒俣宏と茂木健一郎が出演。またもや新発見かと興味を抱いて見た。前半はこども達が宿題中だったのでビデオ録画しておいて途中9時半ごろから放送を見た。
「ラロックの聖母」と呼ばれる板絵。南仏のラロックという町の骨董店で発見されたらしい。
この番組では、日本のこの特別番組が新発見をして、科学鑑定やレオナルドの権威の鑑定を「今回」行ったように放送(演出)されていて、結構すごいと思っていたが、その後、ネットを調べていたところ、公式サイト?(寄付を募っているのが怪しいけれど)を見つけた。
番組に登場した少し怪しげなおじさん三人はこの人たちだった。この人たちが、南仏からフィレンツェへアタッシュケースに入れてこの板絵を運び、ほっしゃんというコメディアンに手渡す場面が放送されていたのだった。
どうもこの手の番組はつい見てしまうが、この「公式サイト」らしきものを読むと、今回の番組は、まったくこのおじさん三人組の「発見・追求」を後追いしたもので、日本のテレビ局の独自の発見でも何でもないようだ。(番組の最初の方で、そのようなことわりがあったのかも知れないが。その部分はまだ見ていないのではっきりしたことは言えないけれど。)
ただ、このサイトの通りだとすると、発見も調査も既に10年以上も前から行われていたことであり、荒俣氏も茂木氏も、まったくとんでもない「演出」の片棒をかついだのではないだろうか?
また、このラロックの聖母や、レオナルドの母がアラブ人だったかも知れない説については、こちらのサイトで、既に2007年12月に紹介されていたほどで、知る人ぞ知る話題だったようだ。
どうも美術関係、特にレオナルドものは、このような過剰な「演出」が後を絶たないようで、私のような素人はすぐに騙されてしまう。ただ、ネット情報(これが必ずしも信憑性があるとは言えないが)により、検証ができてしまうのが、現代の情報化社会のいい面でもあり、困った面でもあるのだろう。
追記:今日、ビデオで前半を見てみた。一応、三人の男性がラロックという村の村長が経営する骨董屋(リサイクルショップ)で薄汚れた絵を(日本円で)3万円程度で購入したことは紹介されていた。だから問題は、その後の科学的な調査、鑑定の部分で、その過程は数年にわたる試行錯誤的なもので、それを今回の特別番組が自分たちの手柄のように「演出」したのが、少々問題だと思う。茂木や荒俣のコメントも、オリジナルの経緯に基づくものが多かったようなので、それが番組台本によるものだとすると、彼らもとんだトリックスターではないか?!
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