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2008年12月23日 (火)

12月22日と12月23日の歴史的な出来事

2008年が初演記念年の音楽作品で書いたように、昨日2008年12月22日はベートーヴェンの交響曲第5番と第6番(初演時には、現在とは番号が入れ替わっていたらしい)の初演日だった。

12月23日の今朝、TBSを見ていたら10時ごろのニュースで、ヴィーンの初演時の劇場でこれを記念したコンサートが行われた模様を放映していて、聴衆の一人が「私と妻にとって素晴らしいクリスマスプレゼントとなった」と語っていた。初演の時の演奏会は、4時間にも渡る長大なもので、不評だったともテロップで流れた。

天皇誕生日の休日で、少し暇をもてあましているので、改めて世界規模で200年前のこの日に何があったのかを 歴史データベース on the Web で 調べてみたところ、

1808/12/22,文化5/11/06 ベートーヴェンの第6交響曲「田園」と第5交響曲「運命」がウィーンで初演される。しかし惨憺たる失敗に終わる。
とあるだけだった。

そこで、単に12/22 に何があったのかを 12月22日のできごと という検索で調べてみたところ、結構興味深い事件が見つかった。 その内容は、上記リンクで検索することにより実際に見ることができるが、

先日読んだ『カラマーゾフの兄弟』所収の評伝にも記載されていたこの事件。
1849/12/22,嘉永2/11/08 ニコライ1世に死刑を宣告されたドストエフスキーら20名が首都ペテルブルグのセミョーノフ広場に引出される。銃殺の直前に恩赦となる。

自分にとってはあまり馴染みがないが、生誕150年のプッチーニの誕生日。
1858/12/22,安政5/11/18 イタリアの作曲家プッチーニ(Puccini,Giacomo)誕生。

初演で言えばこの曲もこの日だった。1894/12/22,明治27/12/22 ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」がパリで初演される。

などが見つかった。

ちなみに、今日12/23は、

1806/12/23,文化3/11/14 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が初演される。

1933/12/23,昭和8/12/23 昭和天皇の第1男子、継宮明仁(つぐのみやあきひと)親王誕生(125代天皇、今上天皇) 

という日になる。

12月23日を記念して、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を、グリュミオーとC.デイヴィス/アムステルダムコンセルトヘボウ管〔1974年録音〕で聴いてみた。

これは、以前聴いたときに、冒頭の重要なティンパニの動機の音がよく聴き取れなかったので、デイヴィスの指揮・解釈に疑問を持っていたものだが、今日聴いたところきちんと聴き取れて驚いた。特にヴォリュームを上げているわけでもないのだが、不思議な感じだ。

コンセルトヘボウ管のオーボエも弦の響きもホールトーンも美しく、少し不器用で響きが薄く感じられるこの曲のオーケストラ提示部が充実して聴けてうれしい。グリュミオーのヴァイオリンは、シェリングの端正で襟を正すようなすくっとしたヴァイオリンに比べて、冒頭のアイガングから美音を振りまいているが、今日はオーケストラがしっかりと支えているのが聴き取れるためか、それほど嫋嫋とした弱さを感じさせず、誠に麗しいベートーヴェンを聴くことができた。

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コメント

ご無沙汰しております。
いつも楽しく拝見させていただいています。
まだ、ハッキリしないのですが、
ベートーヴェンの第5番・6番を聞きに行けるかもしれません。
昨年、初演時の編成で…という演奏をされたところです。
そこで、情報収集に、というわけです。
番号が入れ替わっていたのですか!え?この初演、上手くいかなかったのですかあ!
ありがとうございます!

バルダさん、今晩は。コメントありがとうございます。返事が遅くなり申し訳ありません。生演奏、楽しみですね。

さて、ベートーヴェンについては、さすがに研究が進んでいるようで、この第5、第6のエピソードについても、最近ではWIKIPEDIAでも読むことができるようです。

私も初めてこの2曲の番号が初演時には違っていたということを聞いたときには驚きました。よくベートーヴェンの交響曲では、奇数番号の曲、偶数番号の曲も性格という言い方がされ、奇数は壮大・ヒロイック・深刻、偶数は軽妙・優美・ユーモラスなど、ちょうどますらおぶりとたおやめぶりのような対照がよく言及されますが、それも偶然性が強い話で、有名な傑作の森のその中でも最大の名作であり人気作であるこの2作品が、その後のどういう理由か分かりませんが、少なくとも最初は第5番ヘ長調「田園」、第6番ハ短調(「運命」というニックネームは後世のエピソードによるもので、欧米ではほとんど使われていないようです)という番号だったわけですから。

ところで、まったく似て非なる性格の二曲ですが、ほぼ同時進行的に作曲されたことがわかっているようで、特に両曲の第1楽章が短いモチーフの繰り返しにより、第5番では緊張感、第6番では憩いや寛ぎの気分を表現してみようという一種の対照的な試みを作曲家が行ったという説もあるようです。

なお、「田園」については、クリスマスと田園についての紹介文のようなものを書いておりますので、よろしければご覧ください。https://kniitsu.cocolog-nifty.com/zauber/2007/12/vpo_27c3.html

運命と田園を聞いてまいりました。
望さんのこのコメントと、田園についての記事をプリントアウトして、開演前に再読!
いつもなら、なんとなく流れて行ってしまう音がくっきりと際立つようで、
とても楽しく鑑賞できました。ありがとうございます。
小川の流れが特に印象に残りました。
私が今、持っているベートーベンは…ストコフスキーの『ファンタジア(ディズニーのアニメ)』に入っていた筈…という感じなのですが、
田園で頭の中をいっぱいにしたい〜!という気持ちなので、聞いちゃおうかな、と思っています。
ありがとうございました。

バルダさん、コンサートを楽しまれたようですね。コメントと記事をプリントアウトしていただいたとは、汗顔の至りです^^;

記事を拝見したら、杉並公会堂とのこと。昨年杉並にあるアニメーションミュージアムに行った折にその前を通り、(年がばれますが)以前よく耳にすることがあった杉並公会堂とはここのことかと思ったのを思い出しました。バブル期前後から各地に専用のコンサートホールが出来ましたが、伝統のあるホールが今でも使われているのを見て何だか少しうれしく思ったのを思い出しました。

来日オケのベートーヴェンチクルス(連続全曲演奏会)ででもないと、生演奏でなかなか5番、6番を連続で聴くということはないと思いますので、いい経験をされましたね。

「ファンタジア」は私もDVDで見ております。「田園」もアニメーションは、ギリシア神話をモチーフにしていて微笑ましい出来だと思います。音楽はうまくダイジェストしていますね。ストコフスキーとフィラデルフィア管弦楽団の演奏と解釈は「一般的」には少しユニーク過ぎるという意見が多いようですが。


はい!とても充実した時間でした。

>来日オケのベートーヴェンチクルス(連続全曲演奏会)ででもないと、生演奏でなかなか5番、6番を連続で聴くということはない

ええ!?そうなんですか!
「じゃじゃじゃじゃ〜ん、とちゃちゃちゃちゃ〜ららっらっら♪なら知ってるから」というような、ポピュラーな気持ちで行ったのですが、そうなのですかあ。得したんですね。うれしいです。
何か、パンフレットの感じからすると、この楽団はベートーヴェン・マニアなのでしょうか。
でも、40人くらいしかいないのです。お隣の方も「あら?少ない」と心細そうに話してらっしゃいました。

ファンタジアは「ユニーク過ぎ」ですかあ!それは面白いですね。私に器楽演奏を聞き比べる耳があるか否か…でも、今回の演奏のライブCDがあるそうなので、予約してきましたので、とりあえず、聞き比べてみようと思います。
楽しみが増えました!ありがとうございます。

杉並公会堂は数年前に立て直したらしく、とってもとってもキレイでした。

バルダさん、またコメントいただきありがとうございます。
>でも、40人くらいしかいないのです。お隣の方も「あら?少ない」と心細そうに話してらっしゃいました。

ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの時代、いわゆる古典派の時代は、オーケストラの人数もそれほど多くなく、第5、第6初演のときにもおそらくそのくらいの人数だったのではなかったかと思います。いわゆる現代の「室内管弦楽団」Chamber Orchestra 程度ですね。

マーラーやリヒャルト・シュトラウスなど後期ロマン派が拡大した現代の大オーケストラの迫力には欠けますが、より親密なアンサンブルが楽しめるのが室内オーケストラで、いわゆる作曲された当時の時代の演奏の再現を試みている古楽器演奏とかピリオド楽器(時代考証派)と呼ばれる演奏家や団体では、ベートーヴェンの交響曲もそのような小編成で演奏することが多いようです。

ちなみに「ファンタジア」のストコフスキーとフィラデルフィア管弦楽団は、バリバリの大オーケストラ派です。

杉並公会堂は数年前にリニューアルしたんですね。どうりで昨年通りかかったときに現代的な建物だなと思いました。

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