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2008年12月11日 (木)

ジャヌカン(没後450年)とセルミジのシャンソン集

Janequin_sermisy

クレマン・ジャヌカン(Clément Janequin, 1480年頃 – 1558年)

クローダン・ド・セルミジ(Claudin de Sermisy 1490年ごろ - 1562年10月13日)

シャンソン集 "Les Cris de Paris" (直訳では、『パリの叫び』だが・・・)

Ensemble Clément Janequin  ( Dominique Visse : contre-ténor, Michel Laplénie : ténor, Philippe Cantor : baryton, Antoine Sicot : basse, Claude Devôve : luth)

(harmonia mundi FRANCE HMC901072)

今年が没後450周年のクレマン・ジャヌカンと、その同時代の作曲家 クローダン・ド・セルミジのシャンソン集の録音。

ジャヌカンと言えば、アマチュア合唱団がよくやる『鳥の歌』とか『狩り』などは、私が以前属していた合唱団の先輩達は結構歌ったらしいが、私が属していた数年は残念ながら歌う機会はなかった。合唱団のロッカーには、楽譜はあったのだったが。

さて、このCDは、ハルモニア・ムンディのものだが、今年大いに売れたドイツ・ハルモニア・ムンディのものではなく、ハルモニア・ムンディ・フランスレーベルのもの。ただ、製造は made in W. Germanyとなっているのが面白い。

シャンソン(フランスの多声世俗歌曲)が19曲収録されているが、残念ながらこのジャヌカンの名前を冠した男声のみのアンサンブルによる『鳥の歌』は収録されていない。その代わりといってはなんだが、このCDを買うまでは名前も知らなかったセルミジという作曲家の曲を聴くことができる。ジャヌカンのように多声部の騒々しく忙しい音楽ではなく、リュートのみやびな響きを伴ったいかにも15、16世紀という雰囲気の落ち着いた音楽を聴かせてくれる。その反面、第5曲の"La, la maistre Pierre"のようにいかにも陽気なジャヌカン的な表現も見せる。

クレマン・ジャヌカン・アンサンブルは、カウンター・テナーのドミニク・ヴィス(日本語のホームページあり)により設立された団体で、今年30周年とのこと。上記のメンバー表によるとカウンターテナー、テナー、バリトン、バスの四重唱アンサンブル。

その点では、それより10年前に設立され今年40周年のUKのキングズ・シンガーズ(The King's Singers) はカウンターテナー2、テナー、バリトン2、バスの六重唱を基本としている。

世俗曲の歌唱ということもあるのだろう、特にカウンター・テナーには結構地声的、喉を閉めた発声も聞こえるが、有名な『戦争』(La Guerre とも La Batiile とも書かれている)などは非常に目覚しい。洗練された?フランス語の響きと、粗野な発声の対比が、意味も分からぬ歌詞から伝わってきて面白い。

15世紀末から16世紀前半を 歴史データベース on the Web で概観すると、欧州は大航海時代の幕開け、日本へは鉄砲、キリスト教が伝わり戦国時代への突入、ドイツはルターの宗教改革、イギリスはヘンリー8世からエリザベス一世の時代、フランスはユグノー教徒(1572年にはメディチ家出身のカトリーヌ・デ・メディシスによる聖バルテルミーの虐殺)、イタリアではマキアベリやレオナルド達が生きていたルネサンスの最盛期だった。

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