よい年取りを
大晦日のことを、私の実家では「お年取り」とも呼ぶ。数え年での年齢の数え方では、正月を迎えると一斉に一歳年を取ることからこの「お年取り」という言い方が使われるようになったのだと思う。
東日本圏である実家では、新巻鮭と、鯉こくが 年取り魚として珍重される。新巻鮭は、遠方から塩鮭として輸送されて来るものだが、縄文人たちも千曲川を遡上する鮭を食料としていたということなので、それこそ原日本人の時代からの貴重な秋・冬の蛋白源だったのだろう。
それに比べると、鯉の歴史は比較的新しいもので、江戸時代に京阪地方からもたらされたもののようだ。あの佐久長聖高校のある佐久市の岩村田地区の小さな藩が、鯉養殖の初めらしい。私も母の手伝いで、30日か31日には、小諸市や佐久市の鯉専門店に出かけて、さっきまで水槽で泳いでいた鯉をその場で鱗を取り、胆嚢だけは除いて、内蔵は残したままのぶつ切りにしてもらったものを買い出しに行ったものだった。自宅に帰ると、大鍋にその鯉を入れて煮込み、味噌と少量の生姜で味を調える(このあたりは、結構アバウトな記憶)と、鯉こくの出来上がり。ベテランは、鯉の頭の部分が美味という。子どもの頃は、小骨が多い魚なので、慎重に小骨を外しながら食べないと骨が刺さるので、苦手だったが、いつの頃か、鯉専門店でそっくり残してくれる内臓の部分が非常に美味なのを知り、今でも好物だ。まったく苦味もなく、大変滋養のある味わいを持つ。
中途半端な田舎なので、郷社への二年参りの習慣や、地元の寺での鐘撞の習慣もなく、静かに大晦日は更けてゆくのだが、あたりがひっそりと静まり返り、冬の星座が満天を飾り、気温がマイナスをはるかに下るのが、信州の高原地帯の大晦日だ。
それでは、このBlog にお出でいただいた皆さんにもよいお年を。
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