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2009年1月12日 (月)

パソコンでのリッピングの音質の変化、のようなもの

mp3に変換したデータは、原理的には圧縮データなので音質は劣化しているはずだ。しかし、ノートパソコンのイアフォンジャックからステレオイアフォンで実際に聴いてみると耳あたりがよくなり、いつもの古いポータブルCDプレーヤーで聴くよりも特に解像度が向上しているように感じるのが不思議だ。

音の鮮度というようなものは失われている感じで、少しベールが掛かったというか大人しい感じの音になっているのは否めないけれど、mp3の音質劣化ということが先入観としてあったので、結構意外だった。

これは、パソコン付属のDVD/CDドライブの読み取り精度が携帯CDプレーヤーや旧式の据え置きCDプレーヤーなどよりも優れているという要因もあるだろうし、また読み取り時のエラー補正もよく効くだろうし、また再生時にはHDDからのデータ読み出しになるため、通常のCDプレーヤーでの再生時よりも欠落する情報が少ないだろうことなどからもたらされるのかも知れないと思った。

以前、生意気にも「バルトークの耳の良さと、20kHz以上の高域音波をばっさり切り捨てるディジタル音楽再生、SACDのこと」を記事にしたことがあったが、圧縮音楽情報も実際に体験してみると、まったく捨てたものではないと、論より証拠で、驚いてしまった。

思い返せば、これは我が家の据え置きCDプレーヤ系の特徴かプリメインアンプのそれかはよく分からないが、最近はとんと使わなくなったカセットデッキにCDをダビングした方が、聞きやすい音質になったということが以前はよくあった。このあたりは、どのような理屈なのだろうか?

なお、昨日は、クルト・ザンデルリング指揮フィルハーモニア管によるベートーヴェンの交響曲全集をiTunesでデータ化した。リンクした自己記事でも触れたように、第1交響曲の扱いがとてもひどい詰め込み方になっているもので、とても安心して聴ける代物ではなかった。これをきちんと楽章順に整理してデータ化することにより、不愉快な思いをせずに聴けるようになった。narkejpさんのクーベリックのドヴォルザーク交響曲全集の記事と同じようにHDDへのコピーにはこのような利点もあることが実感できた。

据え置き型のHDDプレーヤーについては、以前調べたことがあったが、今はどうなっているのだろうか?(参考記事

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コメント

narkejp です。クーベリックによるドヴォルザークの交響曲全集、いくつかの曲が二枚のCDに泣き別れの収録で、あまりのひどさに「どこが collector's edition なんじゃ〜!」と怒っておりましたが、HDD に取り込むことで no problem になりました。こんなふうにして多くの CD 愛好者は HDDミュージックの愛好者になっていくんだろうなぁ、と感慨にふけりました。でも、そのきっかけは、私のむら気や浮気心ではなく、音楽愛好者の心理を無視した収録を強行したメーカー側にあると、ワタクシは確信しておりまする(^o^)/

こんにちは。
故長岡鉄男氏の「100万の法則」というのを読んだことがあります。
再生帯域の上と下の積が100万というのが聴き易いという説です。
例えば低域が50Hzまで再生できる場合には上は2万Hzまで再生できる位が丁度いいという訳です。下が100Hzなら上は1万Hz。要はバランスということでカセットに録音したほうが聴き易いというのもそんなことが関係しているのかと思っています。

mp3に関して初体験が悪かったので遠ざけてしまっています
i-podも使ったことがないんです(;´_`;)

「圧縮音楽情報も実際に体験、まったく捨てたものではない」と、「カセットデッキにCDをダビングした方が、聞きやすい音質になったということ」は、良く似た現象かと思います。

所謂音作りがされて、聴き易くもしくは音楽的に聞こえると言うのは、オーディオ趣味の基礎にあった考え方で、また人によって聞こえ方が異なるので、高級なタンノイなどのオーディオ機器が売れた理由でした。

そしてCDが嘗ての一般的な劣悪なLP聴取環境から離されてスタンダード化した時点で上のような趣味がアナログ趣味に特化して変わって行ったのですが、ご指摘のように現在の録音機材などの水準ではCDからまた別のメディアが必要になってきたのは当然です。しかし、現状は新たなメディアへの移行は、家庭電機メーカーが推進してきましたが、なかなか定着する気配はありませんね。

ハードに関してはマッキントッシュなどを揃えれば、二百万円も出せば十分に現在の水準では趣味で遊ぶ必要も無くHiFiのスタジオ環境が整いますが、今度はそれに対応するべき音楽ソフト業界が壊滅状態にありますので致し方ありません。

私自身最近アナログ録音デジタルリマスターリングのCDを聴いた感想では、これで十分であり、新しいメディアがなかなかCDに代わることは出来ないのではないかと思いはじめてます。既に懐疑されているように、ネット配信での質がCDを上回りはじめるとなると今後どのようなことになるのでしょう。

narkejpさん、コメントとトラックバック、ありがとうございます。

クーベリックとベルリンフィルのドヴォルザークの交響曲全集は私も入手したいCDですが、せっかくのコレクターズ・エディションがいくつかの曲が別のCDに分けられるという杜撰なトラック分けでは商品価値を減らしますね。CD発売初期ではいざしらず現在の1枚のCDの原価など知れたものだと思いますので、名門DGも目先の得に捉われたのでしょうか^^;

以前からHDDへの音楽取り込みには興味があったのですが、貴記事を拝見して、ザンデルリングのベートーヴェン全集に思いいたりました。よいきっかけをいただけてありがとうございました。

天ぬきさん、コメントありがとうございます。

故長岡鉄男氏の「100万の法則」は、なるほどという感じですね。

iTunesの付属のイコライザには低域は32Hz,高域は16kHzまで刻んであり、それをいじってみました。少々古い録音では32Hzをいじってもあまり効果はありませんでしたが、64Hzでは増減が聞き取れましたので、低域はこのあたりからは再生されているようです。また、高域は16kHzを動かすと変化が感じられました。64*16,000=1,024,000 ですので、PCのイアフォン端子からの廉価イアフォン鑑賞では貧相な音ながらもバランスが取れた音が聞こえるのもそのような「法則」があるのかも知れませんね。

iPodは、例のトラック間ギャップの問題があったので、購入はずっと控えていました。ベートーヴェンの第五交響曲の第3楽章と第4楽章推移部での一瞬の間や、第九でよくある終楽章のトラック分けでの間、マーラーなどにある多くのトラックで一瞬の間が続くのは悪夢のようです。最近はそれらが解決されてきたようなので、そろそろと考えてはおります。

pfaelzerweinさん、コメントありがとうございました。

> 「圧縮音楽情報も実際に体験、まったく捨てたものではない」と、「カセットデッキにCDをダビングした方が、聞きやすい音質になったということ」は、良く似た現象かと思います。

これについては、天ぬきさんからご教示のあった100万の法則に含まれるバランスの要素が強いのではないかと思っています。ただ、今回そこに付け加えたいのが、CD再生時の読み取りエラーとその補正の要素です。現在、ユニバーサルが力を入れている新素材のCD基板にしても、どれだけ読み取りエラーを発生させずに済むかの問題への取組みのようにも思いますので。

今回特に面白かったのは、『皇帝』を数種類聞き比べたときに、第2楽章から第3楽章への移行部で、ホルンがロングトーンを吹奏している箇所がありますが、これがどの録音でもよく聴きとれたことでした。初め気が付いたのは、どの録音のものだったか(アシュケナージとメータ?)、イアフォンの外部から聞こえてくるようにそのパートがくっきり聞こえたのには驚きました。これが再生品質が向上したゆえの解像度のアップとは言えないとは思うのですが、なかなか面白いものでした。

なお、タンノイ、マッキントッシュなどのブランドは恥ずかしながら垂涎の的なのですが、試聴でも聴いたことがないほどで、高嶺の花です^_^; いつかは、そのような高級機を鳴らしてみたいとは思うのですが・・・。

書き方が悪かったので誤解があったようです。マッキントッシュというオーディオブランドもありましたね。Mcはコンピューターで、そうしたオーディオ趣味は過去のものとなってしまいました。

読み取りの補正もCDプレヤー自体でも初期に多くの試みがなされたと思いますが、結局あまり意味がなかった結論となったかと思います。CD自体に規格上の問題があっても、それではマスターリングに使われるもしくは録音機としてのマッキントッシュのHDから直接受け渡しした「原音再生」にどのような意味合いがあるかの問題があります。

奇しくも例として上った持ち替えホルンのオクターヴにしても、ホルンらしさを強調する指揮者や録音はリストアップされた中ではないかと思います。なるほどメータがその色合いを出しているのは想像されますが、それでも待ちぼうけの狩人や郵便馬者の響きではないでしょう。

そこまでいかなくても、例えば、ピアノに絡まずに分離して響かせたり、息遣いを聴かせたりとするのは、あそこで録音芸術的にどうなのかとなるでしょう。ナチュナルホルンの録音では、おそらく異なった表現となっていると思いますが、それでも節度が要求される音楽的な場面と思いますね。

要するに、CDであろうが他の媒体であろうが、美学的な表現とその伝達が肝要であり、ここで話題となるようなクラシック音楽芸術表現において現行のCDもしくはLP以上のものは無用と極論してしまっても良いかもしれません。デジタル化して増えたのは結局テーク数だけですから。

pfaelzerweinさん、再びコメントありがとうございます。

マッキントッシュは、アップルのコンピュータのことでしたか。誤読失礼しました。

今日は、同じ部分をSonyの廉価なステレオ・イアフォンではなく、自分としては少し値の張るaudio-technicaのヘッドフォンで聴いてみたところ、廉価なイアフォンでくっきり聴こえたホルンのユニゾン(変ロ音)が意外にも目立たなくて驚きました。メータ/VPOは確かにホルンのロングトーンを少し音量を大きめに取っていましたが。

イアフォンは耳の中にすっぽり収まる形のものなのでよりクリアに聴けますが、ヘッドフォンは大型のもので再生帯域は広いですが、それほど分解能は高くはないようです。

ただ、それでも、これまで少し懐疑的だったmp3の音も結構楽しめるものだということが分かり、というか、慣れてきてしまっています。

先日、帰省したおりにはオーディオの置いてある部屋が寒くてLPを聴く気になれなかったのですが、たまにはLPを聴いたり、生演奏を聴いたりして耳をリフレッシュしたいものです。

大変興味深かったので、この記事を紹介させて頂きました。

イヤーフォンとヘッドフォーンの相違も実は良く知られていまして、振動版の軽さが反応を良くするので細かな音の動きを伝え易いようです。ただ音色の質感は落ちて行くのではないでしょうか。さらにスピーカーになると重くなるので、ドイツの新聞などでは大分昔からヘッドフォーン音楽視聴者へという推薦盤のカテゴリーがあって、分析的な聴衆向けの推薦盤としてそのような音楽聴視態度と美学基準を指します。どちらがどうかということはないのですが、とても美学的な問いかけですね。

pfaelzerweinさん、たびたびのコメント、また拙記事の紹介ありがとうございます。

なるほど、「ドイツの新聞などでは大分昔からヘッドフォーン音楽視聴者へという推薦盤のカテゴリーがあって、分析的な聴衆向けの推薦盤」というものがあるんですね。小型イアフォン、ヘッドフォン、大型スピーカーの物理的な振動板の重さ、大きさというのも音楽鑑賞に深く関っているのだということがおかげでよく整理できたように思います。

確かに、小型イアフォン(インナー・イアー型、カナル型)で聴くと、つい分析的に(あら捜し的ともいいますね)聴くようになりますし、ヘッドフォンだと頭が少し重いですが音色豊かさも聞き分けられますね。また、スピーカーの場合には日本の狭苦しい集合住宅では大音量で聴くことはできないため、逆に寛げない(何か悪いことを隠れてしているような感じ)気持ちになることもあります。

今日も何枚かリッピングしましたが、このようにPC画面で一覧してあれこれつまみ聴きするというのは、また確かに音楽の玩具化なのかも知れないと、芸術への畏敬を忘れないようにしたいとも思いました。

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