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2009年2月 5日 (木)

ベートーヴェン ヴァイオリン、チェロ、ピアノと管弦楽のための協奏曲 ハ長調 作品56

このどちらかと言えばあまり高く評価されていない通称三重協奏曲だが、通例に漏れず、ヘルベルト・フォン・カラヤンが、当時のソ連の誇るダヴィッド・オイストラフ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、スヴャトスラフ・リヒテルをベルリンに迎えて1969年5月にベルリン・フィルと録音した究極・至高の豪華録音によって入門した口だ。

LP時代は、日本ではヴィクターレーベルでこの録音のみで発売されていたように記憶するが、手元のEMIの輸入盤は、同じ1969年5月にオイストラフとロストロポーヴィチがUSAのオハイオ州クリーヴランドで、ジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団と録音したブラームスのヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 イ短調 作品102とカップリングされている。

確かにここで演奏している音楽家たちは、オーケストラを含めて当時の世界のトップクラスの人たちだったわけで、特に前者の「英雄」交響曲作品55に続く作品番号を持つ曲ながら、ベートーヴェンにしては平凡な作品とされていたものが、彼らの演奏によって一段も二段も上の曲に聞こえると評する人もいるようだ。

ところが、天邪鬼というのか、この二曲とも、私の場合あまり楽しめなかった、つまり愛好するまでにはいたらなかった。

三重協奏曲のほうは、最近入手したDecca Piano Masterworks所収の シェリング、シュタルケル、アラウのソロにインバル指揮のニューフィルハーモニア管のバックによる演奏の方が面白く聴けたので、かえって驚いた。

また、二重協奏曲のほうは、以前にも書いたことがあるが、セル、オイストラフという私が特に好きな演奏家の演奏なのだが、録音の強奏でのビリつきのせいもあるのか、やはりあまり楽しめず、同じオイストラフが、チェロにフルニエを迎え、ガリエラ指揮のフィルハーモニア管とステレオ初期の1956年に録音したEMI録音の方を聴いたときに、初めてこの曲に魅了されたようなことがあった。(オイストラフは、セルとの共演でブラームスのヴァイオリン協奏曲も録音している。こちらもその前にクレンペラーとの共演の方が好みだ。)

決定的な名演と誉れの高い演奏・録音であっても、リスナーとの相性のようなものがあるという一例なのかも知れない。

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