カーニヴァル最終日(マルディ・グラ)に『ヴィーンの謝肉祭』を聴く
アリシア・デ・ラローチャのシューマン『謝肉祭 Carnaval』は、ずい分以前に書いたことがあったが、そのCDに併録されている "Faschingsschwank aus Wien" ( Phantasiebilder) Op.26 を今晩聴いてみた。
たまたま、昨日からシューマンのピアノ曲のiTunesへの取り込みをしていて、ルービンシュタインの『カルナヴァル』の後に、ラローチャの『カルナヴァル』のCDを取り込んだのだが、そういえば、この『ヴィーンの謝肉祭』は真剣に聴いたことがなかったなと思いつき、聴き始めた。
その内、そういえば、謝肉祭(カーニバル)は、ちょうど今頃ではなかったかと思いつき、調べてみたところ、明日が「灰の水曜日」で四旬節というちょうどラマダーンのような謹慎・節制の40日間に入るので、今日が謝肉祭の最終日で、フランス語では「太った火曜日」(マルディ・グラMardi Gras)になるようだ。
そこで、ラローチャの弾く『ヴィーンの謝肉祭』だが、全部で5つの部分から成っている。作品26ということで、一つのジャンルを集中的に作曲したシューマンの場合、既に作品1からほぼ連続で、このOp.26の次のOp.28の3つのロマンスまでほとんどがピアノ曲になっている。その後は、それほど著名なピアノ独奏曲がないほど、この時期に集中的に書かれたことが分かる。
その中でこの作品26はそれほど有名ではない方だろう。何種類からあるシューマンの独奏ピアノ曲を収めたCDでも、この曲が収録されているのは、このラローチャ盤のみだ。
第1曲 Allegroが一番長く約9分。途中でフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』の変容がちらっと姿を現すのが面白い。 第2曲は、ロマンス。大変ゆっくりした曲想。第3曲はスケルツォだが、Scherzino という珍しい名前が付いている。ノリノリの感じの軽いスケルツォ。第4曲間奏曲は、幻想小曲集を想像させるような抑えられた情熱が感じられる曲想。右手の走句が素早く軽く流れ、そこでメロディーを紡ぎだすような作りで、演奏は非常に難しそうだ。第5曲が終曲(フィナーレ)。最高度に生き生きとして というようなドイツ語の表情記号が添えられている。古典派の「それでは皆様ごきげんよう」というような軽い挨拶のような音楽だが、きっちりとしたソナタ形式で書かれているらしい。
名作 "Carnaval" Op.9ほど魅力的な曲想が頻繁に登場するわけでもなく、また標題音楽的な個性もなく、それほど面白さを感じさせる曲集ではないようだし、『ヴィーン情緒』を感じさせてくれるものではないが、ラローチャの安定して外連みのないピアノ演奏により、なかなか聴き応えのある録音になっている。
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