民主党小沢一郎代表の公設第一秘書の逮捕に思う
準大手のゼネコン(General Contractor)西松建設からの政治献金が、政治資金規正法に基づいて、企業献金なのか、政治団体からの寄付だったのかによる認識の問題で、東京地検特捜部は、企業献金であるのを、政治団体からの寄付だったと偽って政治資金収支報告書に記載したという理由で、公設第一秘書の逮捕、強制捜査に踏み切ったと報道されている。
それに対して、小沢代表は4日午後記者会見を開き、潔白をアピールし、返す刀で「捜査は不公正な国家権力、検察権力の行使だ」と今回の逮捕、捜査を批判したようだ。
小沢氏の言明の真実性はよく分からないが、この事件については、様々な見方ができるようだ。
政治資金規正法違反で既に逮捕されている西松建設前社長が、「小沢代表への政治献金は、小沢代表の選挙区である岩手県でのダム工事を受注するためだった」と供述しているというので、公設第一秘書は虚偽と知りながら報告書に記載したというもの。つまり、潔白ではないというもの。
しかし、一方で報道されているように、西松建設関係の政治団体からは自由民主党へも「寄付」が行われているということからみて(ただし、これが政党として企業献金の名によって受領していれば適法のようだ)、自由民主党にも、他人のことを言う資格はなく、同様に捜査があってしかるべきではないかというもの。
麻生内閣の支持率が最低レベルを記録し、予算成立後は解散総選挙かということがささやかれ始めた時期が時期だけに、ライヴァル政党への打撃を狙って、小沢氏の言う「不公正な権力行使」が行われたかも知れないという憶測も成り立ち得る。高度に政治的な問題なのかも知れない。
ゼネコンからみの汚職事件というと、1994、5年に、公共事業入札を巡ってゼネコンが国会議員、自治体の首長(知事、市長)などに「賄賂」を贈り、摘発された大きな事件が思い浮かぶ。このときは、市長、県知事や前大臣までが逮捕されたのだった。そのきっかけは、元自民党副総裁のゼネコンからの巨額のヤミ献金に端を発した巨額脱税だった。あれから15年を経て、日本の政治状況も経済状況も大きく変わったが、巨額な税金が予算化される公共工事がらみには不透明さが付きまとうことは変わっていないようだ。
政治の大きな役割の一つに、カネを集めて、再分配することがあるが、政治家も官僚、公務員各位が血税への認識がどうも甘いように思えてならない。
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政治的な意図は当然あると思うんですけどテレビで堂々と陰謀だって言い出すのにはびっくりしました。
なんか対応に失敗しそうな気がします。
投稿: kt | 2009年3月 5日 (木) 01:03
「政治の大きな役割の一つに、カネを集めて、再分配すること」 -
小沢の金権体質は隠せないと思うのですが、ただ彼が発言した司直の手に委ねるよりも有権者の意志を掘り起こそうとする姿勢は、裁判委員制度と同じ考え方ですね。そこで問われるのはやはり国民の民意の高低を指す「センス」のようなものだと思うのです。多くの国で存在するような敗れた独裁者を吊るすのもその民意です。
今回の事件は、為政者の権力構造のあり方を良く見せるもので、たとえは適当でないかも知れませんがヒトラー暗殺のようなクーデターの一種であり、世論の動向を最も注視しているのは解散権を持つ最高権力者に他なりません。
世論は刻々と変わります。そして、日本の有権者は何を今回の事件に見出すのでしょうか?メディア報道と共にそれに注目しています。
投稿: pfaelzerwein | 2009年3月 5日 (木) 05:12
ktさん、初めまして。コメントありがとうございます。
pfaelzerweinさん、いつもコメントありがとうございます。
今日になって、マスコミの報道によると、公設第一秘書と西松建設前社長との「指揮命令系統」のような関係が明らかにされつつあるようですね。
とはいえ、これらの報道はマスコミの独自取材によるものではなく、「大本営発表」ですから、眉に唾付けて注視する必要はあるものと思います。
また、金額の多寡はありますが、自民党の国会議員にも西松建設「政治団体」からの寄付があったようです。東京地検特捜部は、当然こちらも捜査対象とすべきで、もし捜査しないとすると「公平性」に欠けるものと思います。故田中角栄元首相逮捕の時の東京地検は、「謀略説によると」米国寄りの勢力からの後押しはあったとしても、時の最高権力者を逮捕したのですから、司法の一翼を担う機関としてのチェック&バランス機能を果たしたともいえますが、今回仮に自民党を見逃すようならば、権力の走狗に堕したとみなすのが適当かも知れない、と少しラディカルに考えております。
投稿: 望 岳人 | 2009年3月 5日 (木) 20:40