2009年の8月が終わる
2009年8月30日は、戦後日本で初めて自由民主党が衆議院の第一党ではなくなった日として歴史に記録されることは確かだろうが、その後の民主党の308議席による政治がどのように書き綴られていくことだろうか?期待半分、心配半分というところだろう。
ムードに踊らされやすい日本人、前回の郵政民営化選挙の時には、あの小泉元首相の写真集までが女性に相当売れたという皮相な人気により自民党が大勝したのだったが、今回はその掌を返したように、民主党が大躍進した。まさか民主としてもここまでの大勝利は望んではいなかっただろうし、自民もここまでの大敗北は想定外のことだっただろう。
とにもかくにも、二大政党による政権交代という図式が、戦後憲法体制の中で初めて実現した意味は、国民の政治への関心をさらに高めることになるかも知れない。昨日、久しぶりに事前投票ではなく、当日投票に出かけてみたら、最寄の投票所に長蛇の列が出来ている。それも小雨模様の決して選挙日和ではない日のお昼前に。列に並んでから投票を終えるまでに10分以上かかっただろうか?こんなことは初めてだと、周囲の人々も小声でささやき合っていた。そのような関心の高さが、政権を大きく変えることにつながったのだ。
参議院では、既にねじれと言われていたように、自民が第2党で、民主が第1党という構図だったが、民意をこれまで無視し続け、頼りない三人の二世、三世議員による無責任な政権のたらいまわし劇と、特にろれつの回らない記者会見で日本の恥をさらした今回の落選議員など、衆議院の多数にあぐらをかいた野放図な政治に呆れたというのが一つある。その混迷ぶりにまったく終止符を打とうともせず、有権者にお伺いも立てずに粗末な政治を続けていたことへのフラストレーションは大きなものがあった。
1990年代に一時的に、自民を下野させ、日本新党(細川)、新生党(羽田)、自社さ連立(村山)という時代があったが、自民が多数であったことは変わらず、その後、橋本、小渕、森、小泉、安倍、福田、麻生という自民党内閣が続いた。今回は、その意味では、自民党が少数党に転落した初の政局になるわけだ。
民主党は、それこそ防衛問題、憲法問題などではまったく思想信条の異なる政治家の寄せ集めであり、その意味では、自民党内のリベラルと保守との差よりも大きな差異があることが感じられる。極右から極左とまでは言わないが、相当基本的な主義主張が異なった政治家の寄り合い所帯であり、今回は新人政治家がどのくらいの割合を占めるのか、新鮮ではあるが、当面の混乱は避けがたいだろうと思う。
最も懸念されるのが、小沢一郎の動向で、彼がキングメーカーを気取ってあれこれと強権、恫喝を始めれば、あっという間に民主分裂になる懸念も出てくる。
また、ともあれだが、日本の人々にも、平和的、民主的な政権の交代ができることを世界の人々は少し揶揄の気持ちを持って見ているらしい。
これで世の中がよくなる、政治が良くなる、暮らしが楽になるなどと考えている人は少ない。とにかく、早くお手並みを拝見したい。

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