横浜港遊覧船巡りとエッシャー展(そごう美術館)
秋晴れの爽快な一日、格安割引券をもらっていたので、横浜大桟橋からベイブリッジ下を抜けて遊覧航行をする遊覧船のロイヤル・ウィングに乗船して、1時間ほどの船旅を楽しんだ。
横浜開国150周年の記念年だが、あまりのお粗末な内容のため、予定の有料入場者の僅か1割程度しか入場せず、市長中田氏のイベント終了前の敵前逃亡事件もあり、最近の横浜は惨憺たる有様のような感じを抱いていたが、中途半端なイベントが終わったためか、結構な人出だったのには驚いた。
爽快な眺望と海風の船旅を楽しんだ後は、これも招待券をもらっていた横浜駅西口のそごう美術館(そごう6階)で開催中の、M.C.エッシャー展を見に行ってきた。「ゲーデル、エッシャー、バッハ」の書名(内容は読んでいない)で名前を知り、作品を知ったエッシャーだったが、版画家ということで、デューラーを連想してしまい、まさか現代人だったとは思わなかったが、今回の展覧会を訪れて、没年が1972年という同時代人だったのには驚いた。また、彼の父は、土木技師として、明治の日本に招かれたお雇い外国人だったとの詳しいパネル展示もあった。
子ども達は、意外にもエッシャーのことを知っており、一昨年のシュルレアリスム展が気に入ったため、結構乗り気で一緒に見たのだが、平面の正則分割などのエッシャーの技法を駆使した作品は、頭がクラクラするような不可思議で謎めいた印象があり、結構衝撃的だったようだ。また、有名な平面上の騙し絵を駆使した作品も展示されていたが、こちらは結構素直に楽しめたようだ。エッシャー紹介の映像で、エッシャー自身が「自分は数学などはまったく不得意だった」と語っていたのが、面白かった。徹底的な細部へのこだわりと数学的な秩序という点で、J.S.バッハと比べられるのだろうが、バッハの作品をBGMにして、デン・ハーグ郵便局を飾る「メタモルフォーゼ」を紹介する映像も面白くみることができた。多くが長崎のハウス・テンボスのコレクションらしいが、ネットを見ると既に名古屋の松坂屋でも同様の展覧会をやったようだ。また、2008年2009年は日本オランダ年ということで、その一貫でもあったようだ。中学生以下は、太っ腹で無料の展覧会だったので、これもよかった。11月16日まで開催。
« ウォーキングで体脂肪率を落とそうとしている | トップページ | ブログを更新しなくなったこと »
「生活・レジャー」カテゴリの記事
- 謹んで新年のお慶びを申し上げます(2017.01.01)
- 第5回音楽大学オーケストラフェスティバル 第2日 ミューザ川崎(2014.11.26)
「美術」カテゴリの記事
- アイルワースのモナ・リザがまた話題に(2012.09.28)
- 奈良美智展 横浜美術館(2012.07.30)
- 朽木ゆり子『フェルメール全点踏破の旅』(集英社新書ヴィジュアル版)とヴァン・スヴィーテン男爵(2012.07.01)
- 腰痛で休んでいた間に読んだ本(2012.06.30)
- 辻惟雄『奇想の系譜 又兵衛―国芳』(ちくま学芸文庫)(2012.05.10)
「ミュージアム」カテゴリの記事
- 数年ぶりのよこはま動物園ズーラシア(2013.09.22)
- 堀辰雄が聴いたフォーレの「レクィエム」(1938年リヨン録音)(2013.09.12)
- 春の鎌倉ハイキング(2013.09.14)
- 奈良美智展 横浜美術館(2012.07.30)
- スクロールと絵巻物 ボストン美術館 里帰り展(東京国立博物館)(2012.05.06)
「彼の父は、土木技師として、明治の日本に招かれたお雇い外国人だったとの詳しいパネル展示もあった。子ども達は、意外にもエッシャーのことを知っており」 一 子供さんにとってはかえって知っているべき歴史上の人物になっているのかもしれませんね。私が最初にその絵を見たのは子供の時の芸術新潮ですから、丁度没後の特集企画だったかもしれません。はじめてそれを意識しました。
投稿: pfaelzerwein | 2009年11月 3日 (火) 05:17
pfaelzerweinさん、長い間、ネットやブログから離れていたもので返事が遅くなり恐縮です。エッシャーの摩訶不思議な世界は、最近の子ども向けの科学雑誌でもよく紹介されているようで、どうやらそれで知ったようです。私も騙し絵ということで、今回記念に絵葉書を買い求めた「ベルベデーレ(物見の塔)」1958 リトグラフ、「上昇と下降」1960 リトグラフ、「滝」1961 リトグラフ などは見知っていて、現在も主にこれらの作品が人口に膾炙していますが、版画ならではの技術を駆使した、「平面の正則分割」がエッシャーの真骨頂だったのだと、今回の展覧会を見て思った次第です。
投稿: 望 岳人 | 2009年11月11日 (水) 06:39