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2009年12月30日 (水)

経済先進国で日本だけがデフレというが

昨日の池上彰のニュース解説番組2時間スペシャル版はいつもながら様々な問題、課題が要領よく分かりやすく解説されていて子ども達と一緒に楽しんで見た。

経済先進国の中で、日本だけがデフレーションがこの4年ほど継続しているというが、それについては日本人特有のメンタリティーである「横並び」、「周囲に合わせる」という心理的な傾向が要因の一つではないかとされていた。

また、デフレを脱却するには、消費を活発化させること、消費に「環境保護」とか「発展途上国支援」とかの大義名分を与えればいいというようなことも意見として出されていた。確かにその通りなのだろうと思う。

しかし、現代の日本は、経済先進国の中でも、貧困化、老齢化の拡大の急速さがトップクラスであることも要因の一つだろう。貧困化して明日の収入、生活も覚束ない場合には、生活財を廉価で買うことしかできないし、老人達の相当の割合が金融資産を持っていても、既に満ち足りた生活を送っており、また「もったいない」精神からそれを積極的に消費に回すことはない。

「もったいない」精神で言えば、環境問題解決からの要請で、大量生産、大量消費という経済拡大、活発化のライフスタイル自体が既に社会悪とされつつあることも、消費を阻む要因であろう。

デフレスパイラルからの脱却は容易なことではないが、いくつかの経済施策によって、たとえば、老いた親から子への自発的な贈与(ちょうど鳩山首相と実母とのやり取りではないが)に、多額の税金をかけずに、それを消費に回せるようにするだけでも、消費が活発化するきっかけになるのではなかろうか?

また、国民の貯蓄率の高さについても、それを美徳とする考えは、国の社会保障のお粗末さを覆い隠しているだけでもあるので、これについても貯蓄を消費に回すようにするためには、国の社会保障の信用度を何としてでも上げる必要があるのだと思う。

年初までは携帯電話からの投稿になります。

それでは、皆さん、よい新年をお迎えください。

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コメント

「大量生産、大量消費という経済拡大、活発化のライフスタイル自体が既に社会悪」は真実であり、「デフレを脱却するには、消費を活発化させること」とは矛盾しますね。「国の社会保障の信用度を何としてでも上げる必要」は正しくても、「老いた親から子への自発的な贈与」を推進するとさらに持つ者と持たない者の差は広がります。非課税枠を上に広げ、上からは税率を上げるなどの方法もない事はないです。

しかし、デフレという話を聞くと、その原因は市場の「不必要なもの」の供給過剰があると感じます。要するに不要不急のものの市場がこれだけ発達した国は他にないかと思います。例えば外食産業のそれですが、もともとそれほどの必要はなかったのですね。そうした過当競争がデフレの原因で、地域性などを踏みにじるグローバリズムの一種とみる事が出来ると思いますがどうでしょう?

良いお年を!

明けましておめでとうございます。

携帯電話からの投稿ですので長文作成できないため後日コメントへの返信したいと存じます。

よき一年になりますようご祈念致します。

追記:2009/1/3
現在の経済先進国の中で日本だけに特有と言われているデフレ現象ですが、ドイツではいかがでしょうか?デフレ解消の処方箋などもちろん持ち合わせていませんが、金融資産、貯蓄資産がいまだその世界の経済先進国トップクラスであり、それもその保有者が年代別では老齢人口というところに、日本の経済の特徴があるように思われ、この記事を書きました。年金暮らしの老人は、貯蓄や資産は多く持っていても、もったいない精神が筋金入りですから、少しでも廉価で質のよいものを求めます。その一方で、持たざる世代は、必要なものでも買うことができずに、経済が縮小していくので、その解消には贈与、相続税を少し緩くしてでも、世代間の格差を縮小し、次世代のために流動性を増加すべきではないかと思います。大量生産、大量消費でなくとも、デフレ脱却ができ、地球にも優しく経済が活発になるという方策はそれぞれに、二律、三律背反的なところがあり、難しいのではないかと思うのですが・・・。

ドイツは歴史的な教訓からインフレ懸念対策が金融の基本政策ですが、ユーロの影響もあって今回もデフレ懸念は払拭されています。相続税は前政権時から昨年中のもっとも大きな政策でしたが、超金満家には重課税して、普通の富裕層には会社の譲渡などを容易にしました。

日本でも基本的には一桁億円ほどの含み資産ならばあまり問題にならない程度で、問題は学校・宗教法人などを隠れ蓑にした資産に対しても如何に超金満家に課税するかです。その意味では、現行のドイツの場合と同じで、日本でも多くの相続の場合は無税です。確か、贈与は年に三百万でしたが、これを一千万までに上げる事は可能でしょう。その分、鳩山氏のような毎年何千万の贈与に対しては重課税する必要が生じてくるかと思います。

ドイツの場合、家屋などに投資しておくと個人的にではなく次世代社会へと財産を残すなど、耐久消費財への投資(中古車市場でのドイツ車圧倒的優位など)は社会全体の底上げとなっています。私はこうした物の循環や市場を含めて、社会資本と考えています。耐用期間の長い商品ほど資本化するのではないでしょうか?

pfaelzerweinさん、長文のコメントありがとうございます。ドイツの状況を興味深く拝見しました。

何度も書いて申し訳ないですが、それと比べても、経済先進国内では、貧困率の悪化が一番であり、唯一のデフレ国であり、国民の金融資産では一番であるというところに、今の日本の特徴が現われているようです。

最近、世界の歴史12「明清と李朝の時代」(中央公論)という本を読んでいましたら、「第4章後期明帝国の光と影」のp.164からp.172に明の時代の経済状況が書かれており、興味深く読みました。

「官僚や商人が現代の600億から700億円もの蓄財をしたおかげで、16世紀末新大陸から流入した豊富な銀にも関らず、銀不足となり、穀物が不作でも、穀物価格が上昇せず、民はますます飢えている」という状況があったとのことです。また、「そのような商人が都市で散財をすると都市の経済は豊かになるが、農村からの過酷な収奪に支えられている」とも書かれており、ある部分現代日本のカネ余りなのに、カネが流通せず、デフレスパイラルに陥るというような現状に通じるものがあるように思います。現代日本では誰が蓄財していると言えるのかが問題ですが。

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