モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番、第5番 ムター、カラヤン/BPO
Mozart
Violin Concerto No.3 in G major, K.216
Violin Concerto No.5 in A major, K.219
Anne-Sophie Mutter(vn) Herbert von Karajan / Berliner Philharmoniker [1978年2月]
まだ14歳の少女の頃の初々しいアンネ・ゾフィー・ムターのデビュー盤。
これまで聴いてきたメニューヒン、シェリング、クレーメルの老巧、誠実、奇矯な解釈にはない、このムターの演奏の率直さによってティーンエージャーのモーツァルトのこれらの若書きの協奏曲の魅力にようやく気がつかされたという感じだ。
生き生きとしたAllegroもいいのだが、第5番の第2楽章、曲調が短調に傾く部分などの陰りのある美しさはこの演奏で初めて気が付いたようなものだ。モダン楽器ならではの美感だろうか。
カラヤンもまだこの頃は、69歳で(指揮者としての)若々しさを失っておらず、小編成のベルリンフィルも少なからず低音は厚いが、決して厚化粧の音響には聞こえず、ムターのイノセントなソロのバックを巧くつとめている。カラヤンの影響下にはあるのだろうが、溌剌とした音楽はムターの個性だろう。
氷雨の降る2010年の2月だが、この録音は32年前の2月のベルリンということだ。さぞ寒かったことだろうが、この音楽の華やぎは青春に相応しい。
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