ヴァンクーヴァー女子フィギュアショートプログラム 浅田選手ノーミスの演技で2位につける
前回のトリノオリンピックには2005年7月1日現在で満15歳に達していなければならないというInternationl Skating Union (ISU)の年齢制限のため、2005/2006シーズンのグランプリファイナル優勝という実力世界一にも関らず出場ができなかった浅田真央選手が、2010年のカナダヴァンクーヴァーオリンピックの女子フィギュアのショートプログラムに登場した。
日本勢3人の一番手。日本時間の13時前で平日の昼休みの終了の直前。職場でもワンセグ携帯でテレビ中継を見ている人がいたり、Yahooのテキストライヴで見る人がいたり、注目度は高かった。苦手のショートプログラムをノーミスで滑りきり、73.78とパーソナルベスト75.84(2009/4/16ISU国別対抗)に迫るできで、完璧なスケーティングだったようだ。
帰宅後、TBSのテレビ放送で、ビデオ映像を見たが、最初のトリプルアクセル+ダブルトウループが成功し、乗りに乗ったショートの演技を見せてくれた。オリンピック前の日本での集中練習でリンクのフェンスに垂直に向かっていく方向が最も成功確率が高いことを会得したということをNHKのテレビが報道していたが、今回もその通りの方向で見事オリンピック女子シングルのショートプログラムでのトリプルアクセル成功は初めての快挙だったそうだ。本人も心からの笑顔で、タラソワコーチ、フォレコーチも満足そうな笑顔だった。
(いつまでリンクされるかどうかわからないが、gorin.jpでの動画)
テレビ画面を通して見た演技は、浅田選手と次に滑った韓国のキム・ヨナ選手だけ、別次元の高度な戦いをしているという印象だった。
今回のフィギュアの採点システムは、ほぼリアルタイムで公式サイトに反映されるとのことで、下記のサイトを見てみたところ
http://www.vancouver2010.com/olympic-figure-skating/schedule-and-results/
このように詳細が表示されていた。ただし、ISUの公式とは異なり、誰がジャッジしているかというジャッジ情報はすぐには見つからないようだ。(と思ったら Judges Details per Skater があった。審判の順番はランダムとなっているが、縦の列は同じ審判なのだろうか、一番右側の審判が浅田選手に非常に辛い点を付けている。)
キム選手の演技も磨きぬかれたもので、やはりノーミスの出来だったが、ジャッジの採点は、
浅田選手の73.78
キム選手が78.50
でキム選手に4.72リードを許した結果となった。しかし、約5点の差ほどの差があるようには感じられなかった。(キム選手の得点はSPの歴代最高点とのことだ。)
ここで効いてくるのが、Grade Of Execution (GOE) という エレメント(要素)の出来を判断する部分で、相当主観的なものなのだが、これが総じてキム選手の方が高く、
浅田選手7.1
キム選手9.8
2.7点の差となっている。
また、最高難度とされる浅田選手のトリプルアクセルとダブルトウループの基礎点が9.50で、キム選手のトリプルルッツ+トリプルトウループの方が10.00と0.5点高くなっている。これで合計3.2点の差となった。
プログラム・コンポーネンツという昔の芸術点的なこれも主観的要素がタップリの部分でも
浅田選手32.28
キム選手33.80
と1.52の差となっている。これにより合計で4.72の点差が生じたわけだ。
キム選手の後の滑走は、日本の鈴木明子選手で、手をつくシーンもあったがよいできで、シーズンベストを更新61.02。ただ、順位は11位。2007年の世界女王の安藤美姫は最終滑走で、これも悪くなかったが、あまり点が伸びず64.76で4位。直前に家族に不幸があり心配されたカナダのロシェットは頑張り3位で71.36となった。
日本人としては、浅田選手がキム選手の後塵を拝しているのは悔しいが、浅田選手の談話は、いつもSPでは10点ほどの差をキム選手につけられているので、今回の差はそれが縮まってうれしいというようなニュアンスだった。夕食時に家族とテレビ観戦していて、同世代のこのようなライヴァルが存在するというのは、奇跡的なことで、このようなドキドキ、ワクワクするような競い合いを見られるのはめったにないことで、ファンとしても幸せなこともかも知れないというようなことを話した。
日本時間の2月26日(金)10時(現地25日17時)からフリーの演技が開始される。
もちろん、浅田選手が金メダルを獲得して欲しいが、どの選手も悔いのない演技をして欲しいものだ。結果は時の運次第だろう。
14 | 鈴木 明子 |
15 | カロリナ・コストナー |
16 | ラウラ・レピスト |
17 | Ksenia Makarova |
18 | エレーネ・ゲデバニシビリ |
19 | レイチェル・フラット |
20 | 安藤 美姫 |
21 | 金 姸児 |
22 | 浅田 真央 |
23 | ジョアニー・ロシェット |
24 | 長洲 未来 |
詳細点(オリンピック公式サイトより)
浅田真央
2 | 22 | Japan | ASADA Mao | 73.78 | Expand | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Music:Waltz Masquerade by A. Katchaturian
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1 | 23 | Korea | KIM Yu-Na | 78.50 | Expand | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Music:James Bond Medley
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夜中に眼が覚めたので観ました。カタリーナヴィットの解説も一部聞きました。キムに対抗できるのは浅田しかしないと言うのは共通認識のようですが、ジャンプ以外ではやはり上回るのは難しそうですね。そうなると、難しい技で勝負をかける方が不利に働くのは間違いないのと同時に、高いリスクから生まれるミスは銀をも危なくしますから、「自分のスケートをする」との発言は正直な気持ちでしょう。SPと同じように満足の行く滑りが出来れば自ずから結果は付いてくるのでしょう。それにしてもあれだけ緊張した表情からの結果は立派なもので、FPでかなり行きそうな気配もありますね。
キムの演技を見ると大きなミスは考えられない程の安定感がありますから、なにも起こらないのとは思いますが、なにが起こるか分からないのも政治もスポーツも同じですね。その中でロシェットの演技は立派でした。ヴィットに言わせるとこれで一度緊張から解放されてもう一度そこまで高めて行くことのは大変難しいと。しかし、嵐の目になる可能性もありそうです。安藤も左右のエッジを使い別けた滑りなど荒川張りで魅せるようになりました。
しかしキムの膝が揺れたりするのをみると如何にスピードのある滑りの中で如何に難しい演技をしているのかが伺えます。
投稿: pfaelzerwein | 2010年2月25日 (木) 09:05
pfaelzerweinさん。コメントありがとうございます。
こちらは、2月26日の夕方で、既に結果が出てしまっています。まだ映像では見ていないのですが、悔しい結果になってしまいました。
この件に関しては、私も相当パトリオティックというよりもジンゴイスティックになってしまっており、我ながら呆れています。まあ、この感情も省察するならば、単純に浅田真央選手のファンであることから出ているということなのですが・・・。というのも、仮に浅田選手が銀で、安藤選手か鈴木選手が金でも多分悔しいと思いますので^^;
浅田選手は超絶的なトリプルアクセルジャンパーですが、キム・ヨナ選手も総合力でみれば不世出のスケーターであることを認めるにはやぶさかではありません。同時期にこのような二人の「天才」が存在したという奇跡が、ここまでフィギュアスケート熱を高めたので、その意味では稀にみるライヴァル関係だったと思います。今晩はじっくり映像でオリンピックの緊張の中で行われた最高峰のスケートを見たいと思っています。
投稿: 望 岳人 | 2010年2月26日 (金) 19:02