ストラヴィンスキー バレエ『ペトルーシカ』 1911年版、1947年版
「ペトルーシュカ」という書き方の方が一般的だが、「マトリョーシカ」などの関連で、つい「シカ」と書いてしまう。
ところで、『春の祭典』の録音には版の記述があることは少ないように思うが、『火の鳥』と『ペトルーシカ』には、1911年版だとか1919年版だとか1947年版とかの楽譜のバージョンがあるようだ。
手持ちのペトルーシカには、1911年版と表示されているものと1947年版とされているもの、があった。
1911年版は、オリジナル版であり、楽器編成が4管編成という大きなものになっている。
一方1947年版は米国亡命後の改訂版で、オリジナル版よりも楽器編成を小さくして3巻編成にしているのだという。打楽器の種類はほぼ同じだが、数を減らしている。また、グロッケンシュピールは1947年版では用いられていない。
解説によると、三大バレエを相次いで作曲したストラヴィンスキーの初期の音楽観が現れているのがオリジナルの1911年版であることは理の当然であり、その後の新古典主義的な音楽観を通過した後のオーケストレーション改訂では、新旧の音楽観が折衷してしまっているのではないかという懸念がある。楽器法上ではグロッケンシュピールの有無は結構よく分かるし、あったほうがいいように感じる。
LP時代には一枚も持っておらず、エアチェックも成功しなかったので、放送では耳にしたがそれほど聞き込んではいない曲だ。むしろ、ピアノ独奏用の「ペトルーシカからの三楽章」の方をよく聴いた。以前、ドホナーニ/VPOによるCDを入手して聴いたときにも、少し聴きなれない楽器法のような印象を持ったほどで今の手持ちの音盤数としては1947年版が多いのだが、むしろブーレーズによる華麗な1911年版の方がしっくりするように感じる。また、アバド/LSOの1911年版を基本とした演奏も面白いのだが、ブーレーズの方が好みだ。
1911年版
◎Pierre Boulez/New York Philharmonic 〔1971年録音〕
第1場 謝肉祭(Shrovetide)の市 10:15
第2場 ペトルーシカの部屋 3:58
第3場 ムーア人の部屋 6:52
第4場 謝肉祭の市(夕景) 13:14
(1911年版を基本として1947年版を取り入れた折衷版)
参考:「geezenstacの森」ブログより
◎Claudio Abbado / London Symphony Orchestra 〔1980年録音〕
第1場 謝肉祭の市 【10:03】
導入- 人形使いの見世物小屋 7:16
ロシアの踊り 2:47
第2場 ペトルーシカの部屋 【4:20】
第3場 ムーア人の部屋 【6:32】
ムーア人の部屋/バレリーナの踊り 3:22
ワルツ(バレリーナとムーア人の踊り) 3:10
第4場 謝肉祭の市(夕景) 【13:40】
* 謝肉祭の市(夕景) 1:01
* 乳母の踊り 2:34
* 熊を連れた農夫の踊り 1:29
* 行商人と二人のジプシー娘 1:09
* 馭者と馬丁たちの踊り 2:07
* 仮装した人々 1:28
* 格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩)0:43
* 終景:ペトルーシュカの死 0:55
* 警官と人形使い 1:22
* ペトルーシュカの亡霊 0:55
1947年版
◎Christoph von Dohnanyi Wiener Philarmoniker 〔1977年録音〕
第1場 謝肉祭の市 10:06
第2場 ペトルーシカの部屋 4:32
第3場 ムーア人の部屋 7:02
第4場 謝肉祭の市(夕景) 14:31
◎Colin Davis; Royal Concertgebouw Orchestra 〔1977年録音〕
第1場 謝肉祭の市 【9:44】
導入- 人形使いの見世物小屋 6:59
ロシアの踊り 2:45
第2場 ペトルーシカの部屋 【4:17】
第3場 ムーア人の部屋 【6:29】
ムーア人の部屋/バレリーナの踊り 3:19
ワルツ(バレリーナとムーア人の踊り) 3:10
第4場 謝肉祭の市(夕景) 【13:22】
* 謝肉祭の市(夕景) 1:10
* 乳母の踊り 2:43
* 熊を連れた農夫の踊り 1:23
* 行商人と二人のジプシー娘 1:09
* 馭者と馬丁たちの踊り 2:07
* 仮装した人々 1:30
* 格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩) 0:40
* 終景:ペトルーシュカの死 0:45
* 警官と人形使い 1:08
* ペトルーシュカの亡霊 0:47
◎Antal Dorati: Detroit Symphony Orchestra 〔1980年録音〕
第1場 謝肉祭の市 9:45
第2場 ペトルーシカの部屋 4:28
第3場 ムーア人の部屋 6:38
第4場 謝肉祭の市(夕景) 13:19
追記:1911年版のグロッケンシュピールを取り入れているとのこと
参考:クラシックCD聞き比べブログより
◎Riccardo Muti/Philadelphia Orchestra 〔1981年録音〕
第1場 謝肉祭の市 【9:33】
導入- 人形使いの見世物小屋 6:53
ロシアの踊り 2:40
第2場 ペトルーシカの部屋 【4:30】
第3場 ムーア人の部屋 【6:06】
ムーア人の部屋/バレリーナの踊り 3:12
ワルツ(バレリーナとムーア人の踊り) 2:54
第4場 謝肉祭の市(夕景) 【13:20】
* 謝肉祭の市(夕景) 1:04
* 乳母の踊り 2:33
* 熊を連れた農夫の踊り 1:17
* 行商人と二人のジプシー娘 1:06
* 馭者と馬丁たちの踊り 2:03
* 仮装した人々 1:29
* 格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩) 0:50
* 終景:ペトルーシュカの死 1:00
* 警官と人形使い 1:13
* ペトルーシュカの亡霊 0:48
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