ジュリアードカルテットのスメタナ『わが生涯から』
ベドルージハ・スメタナ Bedřich Smetana (1824-1884)
弦楽四重奏曲第1番ホ短調「わが生涯から」 (作曲1876年)
Smetana: String Quartet No.1 in E minor "From My Life"
- 1. Allegro vivo appassionato 8:03
- 2. Allegro moderato ala polka 5:39
- 3. Largo sostenuto 9:27
- 4. Vivace 6:19
ジュリアード四重奏団
The Juilliard Quartet (Robert Mann, Earl Carlyss, Raphael Hillyer, Claus Adams)
Recorded on: January 4, 5, 18 & 19, 1968
(CBS SONY 22DC 5568 丸C1989)
スメタナの著名な弦楽四重奏曲で、私がFM放送を友としていた高校、大学時代にはよく聴く機会があった曲だが、これまで音盤的には縁ががなく、ようやく最近中古CDでジュリアードカルテットの演奏によるドヴォルザークの「アメリカ」とのカップリングを求めることができた。
悲劇的なスメタナの人生を反映した曲ではあるが、必ずしも標題音楽的に聴かなくてはならないというわけではなく、古典的な楽章構成をもつ比較的聴き易い平明な音楽だと感じる。といっても、つい標題音楽的に聞こうとしてしまうのだが。
スメタナは、ベートーヴェンがそうであったように、この曲の作曲前というから50歳ごろには耳の病に悩み、それがこの曲を生み出す動機だったようだ。
第1楽章は、ホ短調の悲劇的な幕開けを思わせる動機で幕を開くが、しばらくすると長調で穏やかで美しいメロディーが奏でられる。この二つの主題による典型的なソナタ形式で、展開部は第1楽章の動機が主に展開される。ピチカートで余韻を残して終結。
第2楽章は、一転しておどけた感じの楽想で始り、民族舞踊的な楽想がそれに続く。発想表示に、ポルカと書かれているので、ボヘミアの出身スメタナのノスタルジーであろうか?ただ、中間部(トリオ?)は和声的に不安定に聞こえる部分も登場し、意味深な雰囲気だ。
第3楽章は、ラルゴ・ソステヌート。チェロのレチタティーヴォ風のモノローグから始る昔話のような雰囲気の音楽。主調は長調だが、ソステヌートというだけありたっぷりと伸びた息の長いメロディーとたっぷりとした和音の響きが聞こえる。そして、美しい響きが次第に悲劇的な曲調に遷っていく。これが収まると、今度はピチカートを伴ったヴァイオリンの憧れに満ちたメロディーが流れ出すが、重音による重厚な響きで邪魔され、再度穏やかなメロディーが戻ってくる。幸福な日々への追憶だろうか?
第4楽章は、民族音楽的な活発なリズムで始り、民謡風のご機嫌な音楽が奏でられる。ここはまったく悲劇味は感じられない。しかし、この陽気な音楽の途中、耳鳴りの音がヴァイオリンによる高音で始まり、第1楽章冒頭の悲劇的な雰囲気が戻ってきて、続いて第3楽章の穏やかな音楽も回顧されるように登場し、静かに曲を閉じる。
スメタナのこの第1番のほかの四重奏曲は聴いたことがない。しかし、今回改めてこの第1番をじっくり聴いてみて、堪能できた。
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