ヴァーグナー 序曲、前奏曲集 小澤征爾/ベルリンフィル
Der fliegende Hollaender Overture 歌劇 さまよえるオランダ人 序曲 11:21
Lohengrin Prelude to Act Ⅰ歌劇 ローエングリン 第1幕への前奏曲 10:49
Die Meistersinger von Nuernberg Prelude 楽劇 ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲 10:42
Tannhaeuser Overture 歌劇 タンホイザー 序曲 15:12
Tristan und Isolde Prelude 楽劇 トリスタンとイゾルデ 前奏曲 10:23
Tristan und Isolde Liebestod 楽劇 トリスタンとイゾルデ 愛の死 7:25
Seiji Ozawa / Berlin Philharmonic Orchestra〔1989〕
今は昔の歴史と共に死す - Wein, Weib und Gesang で、バイロイト音楽祭の監督ヴォルフガング・ヴァーグナーの逝去を知った。ヴァーグナーの孫ということで、それは即ち、フランツ・リストの娘コジマの孫であり、フランツ・リストにとっての曾孫にあたる人物ということになるようだ。リストの人気曲についてちょうどトリビアルな話題に淫していた頃だったので、リストの曾孫ということに、なるほどと思った次第だ。
さて、日本を代表する指揮者小澤征爾氏は現在病気療養中だが、今から約20年ほど前に、ヴァーグナーの有名な序曲、前奏曲集をベルリンのフィルハーモニーによって録音したCDがこれだ。
日本人とバイロイトといえば、数年前、現在の大阪フィルハーモニー交響楽団の常任である大植英次氏が抜擢されて「トリスタンとイゾルデ」を指揮したことが特筆されるが、飯守泰次郎氏が長らくバイロイトでシュタインなどのアシスタントを務めていたことも重要な貢献だと思われる。
とにかく長丁場のバイロイトの歌劇、楽劇は、ゲルマン民族の体力、忍耐力を思い知らされ、東洋人である日本人にもバイロイト詣でをするほどのファンは多いようだが、残念ながら私はその片隅にもいられないほどヴァーグナーの楽劇には縁遠い。
小澤征爾の指揮するベルリンフィルのこれらの歌劇、楽劇の序曲、前奏曲などは大変立派で丁寧な演奏であり、ベルリンフィルも好調のようだ。
縁遠い人間が語るべきことではないかも知れないが、過日のリヒャルト・シュトラウスのあざといまでの自己顕示欲的な剥き出しの天才性の発露において、カラヤンの完璧主義と疲れを知らぬ体力に圧倒されたのと同様に、そのようなあざとさを避けた謙譲でマイルドなこの小澤の解釈、指揮は聴き疲れはしないものの、彼我の間にある差を実感させるものにもなっているように感じられる。小澤征爾氏のキャラクターでさえ、一般の日本人にとっては十分に自己表現に巧みで得手のようには思うのだが、その彼にして、ねじ伏せ、鷲掴みにするような強烈さは避けているのだろうか。
« モーツァルト 交響曲第39番変ホ長調 K.543 クーベリック/BRSO | トップページ | ストラヴィンスキー バレエ『ペトルーシカ』 1911年版、1947年版 »
「ディスク音楽01 オーケストラ」カテゴリの記事
- ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」 ベルリンフィルによる録音のいくつか(2024.01.14)
- 2015年暮れの第九(読響とN響)のテレビ放送を聴いてトスカニーニを聴き直した(2016.01.03)
- 第6回音楽大学オーケストラフェスティバル(ミューザ川崎 2015/12/6 最終日)(2015.12.07)
- 第6回音楽大学オーケストラフェスティバル(ミューザ川崎 2015/11/28)(2015.11.29)
- 「コンサートは始まる」を20数年ぶりに再読(2015.10.01)
「ディスク音楽06 オペラ」カテゴリの記事
- 小学館 モーツァルト全集のCDを夏の帰省時に持ち帰った(2014.09.02)
- 年末に届いた "LIVING STEREO 60 CD COLLECTION"(2013.01.04)
- ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの逝去を悼む(2012.05.19)
« モーツァルト 交響曲第39番変ホ長調 K.543 クーベリック/BRSO | トップページ | ストラヴィンスキー バレエ『ペトルーシカ』 1911年版、1947年版 »
コメント