「はやぶさ」を打ち上げた固体燃料ロケットM(ミュー)-V(5型)ロケットはもう飛ばない
小惑星探査機の「はやぶさ」は、見事予定地点であるオーストラリア大陸内陸部にカプセルを帰還させた。史上初の快挙ということだ。
この探査機「はやぶさ」を打ち上げたのは、現在JAXAの主流である液体燃料ロケットH-ⅡAではなく、当時現役だった固体燃料ロケットのM-Vだったのだということが、JAXA相模原キャンパスの展示に書かれていた。
私の少年時代、λ(ラムダ)、κ(カッパ)という型式のロケットが打ち上げられていた記憶があるので、μ(ミュー、M)はその後継機であるようだ。「いとかわ」の名前の元になった糸川博士のペンシルロケットなどがその先祖にあたるらしい。固体燃料ロケットは、液体燃料ロケットのように発射直前に燃料の注入作業が不要ということで、準備しておけばいつでも飛ばせるという意味で軍事用としてICBMにも転用可能ということで、なかなかきな臭いものでもあるようで、H-ⅡAが順調に打ち上げを成功させている陰で、開発中止の憂き目にあってしまったようだ。これには、予算面だけでなく、JAXAという様々な宇宙開発機関の寄せ集め集団内の勢力争いやビジネス上のライバル関係(三菱重工とNEC/東芝)のようなものも関っているというような話もあるようだ。
非軍事利用の固体ロケットの技術は、世界でも稀有のものだが、このことによってその技術が日本からは失われてしまうかも知れないという。
「はやぶさ」のカプセルが、先日封を開かれたが、中には1mm以上の砂粒は残念ながら入っていなかったようだが、なんらかの揮発性ガスが入っていたのが確かめられたという。これが地球由来のものか、小惑星「いとかわ」由来のものかはまだ確定できないという。数ヶ月掛けて、確認作業を行うようだが、ほんのわずかでも「いとかわ」の物質が持ち帰られていればさらに素晴らしいことだろう。
例の「仕分人」によって、「はやぶさ」2の開発予算は大幅に削られていたというのだが、今回の帰還によって予算が復活されるかも知れないというニュースも伝わってきた。素人集団である「仕分け人」のポピュリズム的な底の浅さ、表面的な皮相な活動を象徴するような出来事だった。
追記:2013/8/26
後継機イプシロンが明日8/27 内の浦から発射される予定。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20130821/252485/?P=1
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