結構精神的に疲弊しているが音楽で慰められる
3月11日の大震災発生以来、あっという間に一週間が過ぎてしまった。東北地方の太平洋沿岸を中心とした大災害による多くの犠牲者の御冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げたい。
海外メディアは、暴動も略奪も起きない日本社会の不思議さについて様々な分析をしているようだが、被災地はもとより、原発事故の行方が見えず、放射性物質の拡散による影響の懸念がある関東地方4000万人あまりの人々の精神的な疲労も段々濃くなってきているのは、周囲、家族、自分の状況を見ても感じられる。みなじっと耐えているのが現状で、緊張の糸は相当張り詰めている。食料、生活必需品、燃料の買占めは利己主義的であるが、安心感を求めるという心理も垣間見える。
ところで、先日放映されたNHKのBS 名曲探偵アマデウスが、なんという計らいだったのか、バッハの「マタイ受難曲」を取り上げてくれた。番組のストーリー自体は、地震が起きるまでの旬の話題だった Facebook に mixi をくっつけたようなソーシャルネットワークを題材にしたもので、それ自体には慰藉の要素は少なかったのでが、音楽については心に沁みるものだった。その何度も音程と和声を変えて繰り返される著名なルター派の会衆歌コラール "O Haupt voll Blut und Wunden" (「血潮したたる主の御頭」)、アルトのアリア"Erbarme dich"に、張り詰めた緊張で荒みかけ始めた気持ちが相当癒され、平静さをもたらしてくれるのを感じた。
このようなときに、音楽の慰めは格別なものがあるようだ。それこそ、人それぞれだろうが、イエスを裏切り、十字架に架けた罪人としての人類の後悔と悲しみの感情が堅固な形式の中に込められたということもあるのだろうが、この悲痛な魂の叫びの音楽がむしろ今の気持ちを落ち着かせてくれるようだ。
番組では、鈴木雅明氏のバッハ・コレギウム・ジャパンの素晴らしい演奏を使っていたが、Youtubeでは、カール・リヒターの1970年代になってからのビデオ作品を聞くことができる。
アリア Bach - St. Matthew Passion BWV 244 (Karl Richter, 1971) - 13/22
コラール Bach - St. Matthew Passion BWV 244 (Karl Richter, 1971) - 17/22
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