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2011年7月18日 (月)

撫子の奇跡的な勝利

猛暑が続く三連休の最終日の払暁から早朝にかけて、ドイツのフランクフルト・アム・マインのスタジアムで行われたFIFA主催の女子フットボールワールドカップで、日本代表チーム、なでしこジャパンが見事優勝を成し遂げた。

ナデシコ、Nadeshiko というニックネームは地元ドイツや決勝戦の相手国USAでも新聞の見出しに使われ、サッカー界では、ちょっとした国際語になったようだ。

現地のテレビレポートで紹介されたが、このナデシコという言葉はどういう意味かを日本人選手や関係者たちは海外の記者などに尋ねられたらしい。

日本女性を象徴する言葉として、ヤマトナデシコという美称があるが、それではナデシコとはどういう意味かというと、すぐには即答が難しい。漢字では、撫子と書くので、子を撫でる、撫でるほど可愛い子、ということで、愛らしいものを表すのだろうが、辞書で調べてみると、植物としては当て字として瞿麦(くばく)を用い、そこから石竹やカーネーションとか、カーネーションの英語名のpink とかが連なって出てくるので、とても深く広い言葉でもあるようだ。

予選リーグで、イングランドに敗れたものの、決勝トーナメントでは開催国で過去のW杯で2回の優勝を誇るドイツにかろうじて勝ち、準決勝ではスウェーデンを圧倒、そして今日のランキング1位で、女子サッカー大国(裾野の広さからトップクラスまで、日本の競技人口が約5万人のところ、アメリカはなんと170万人近い)であるアメリカに対戦。過去引き分けはあるものの、一度も勝ったことが無かった相手だという。日本時間の5時ごろ1対1の後半途中から生中継を見始めたが、アメリカチームの体格やスピード、個人技は日本を圧倒していたように見えはしたが、日本チームは後半も、延長でも走り続けるスタミナと気力が失われず、それが数少ないチャンスを得点に結び付け、そしてPK戦での集中力の維持にもつながったように思われる。第二次大戦の戦車と竹やりではないが、裾野の広さという物量から言えば、いくら少数精鋭とは言え、勝てる公算はとても低いものだったと思うが、本当に奇跡的に勝利の女神が日本にほほ笑んだように思う。

女子の団体競技の近年の白眉と言えば、同じくアメリカを破った女子ソフトボールの金メダルが思い浮かぶ。二つの競技を比較することに意味があるかどうかはわからないが、ソフトボールでは絶対的エースピッチャーとして上野由岐子を擁しその彼女が大活躍し、サッカーでは、精神的な支柱的大ベテランの澤穂希(さわ・ほまれ)が、得点王・MVPを獲得するほどの大活躍を成し遂げた。もちろん強力な相手の攻撃を撥ね返す守備陣の活躍もあり、また、ナデシコスタイルとでも言うほどのダイレクトパスでつないで相手を崩すパスサッカーの組織性が土台ににあったように思う。

いずれにしても、日本のスポーツ界にとっては歴史的な勝利であるようだ。FIFA主催の国際大会で、男女や年代を問わず、頂点に立ったのは今回のナデシコが初の快挙だそうだ。

バレーボールやバスケットボールでは圧倒的に背の高い選手が有利だが、サッカーでは体格的には勝れていないチームでもこのように勝てる可能性があるということを如実に示したことも、スポーツ界への貢献という意味でも大きいことだったかもしれない。

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