『ジェノサイド』 高野和明(角川書店)
痛風は、一番症状が重くて熱が出て風が吹いても痛いときを除けば、歩こうとすると足が痛くて歩けない以外は、風邪などほかの病気のときに比べて他の体調は悪くはないので、痛みを紛らすためにも本を読んだりしている。
コミック "One Piece" を第1巻から読み直してみたりもして、そのはりめぐらされた伏線の多さとその回収模様に感心したのだが、読書の大物として、最近話題作となっている表題の本を妻が買ってきたので、いやな題名だとは思いつつ、読んでみた。
舞台設定上、伊藤計劃の『虐殺器官』を連想させるような部分はあったが、相当独創的な仕掛けが多く、SFエンターテインメント小説、サスペンス小説、国際政治小説、人類進化小説で、突っ込みどころもほとんどなく、良い出来だと思った。実際、600ページもの大部のハードカバーをほぼ一息で読んでしまったほどだ。
現在、アフリカ東部のソマリアなどでは大飢饉になっているようだが、この小説にも書かれているように、そのようなニュースはほとんど伝わってこないのが、日本の現状で、『虐殺器官』を読んだときにもショックを受けたが、アフリカの内線の悲惨さはとてもこの世のものとは考えたくないほどひどいらしい。
角川書店の雑誌「野生時代」に連載されていたものとのこと。
追記:少々ネタバラシになるが、アフリカでの重要な舞台は、この密林のポリフォニーが収録された熱帯雨林地域のようで、そのCDに登場する多声音楽についても触れられていた。
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