BBCドラマ "SHERLOCK" Episode 3 The Great Game
9/5の晩に見終えた。スリルに次ぐスリルで面白かった。3本ともジェットコースタームービー的な作りか。その意味では、原作の雰囲気を忠実に再現したとされるグラナダテレビシリーズとの違いは大きい。
さて、作品中にそのまま登場するので明確に分かるCanon(正典)といわれる原作(ブルースパーディントン設計書と海軍条約文書事件)のミックスした引用は少々あからさま過ぎて少々木に竹を接ぐという感じであまりフィットしていなかったように思えて残念だったが、さりげなく使われた「唇の捩れた男」(レンタカーの中で見つかった大量の血糊)はなかなかよかったように思えた。
また、冒頭のベラルーシのミンスクの事件は、原作ではただ事件名だけがほのめかされる「ウクライナのオデッサでのトレポフ殺人事件」のパスティーシュなのかとも思わされた。ただ、東欧つながりというだけなのだが。
五つの爆弾は、「オレンジの種五つ」だったのか!下記にあるように、"based on works of Sir Arthur Conan Doyle" とあり、さりげなくさまざまな原作を用いているようで、そのようななぞ探しも面白い。
フェルメールの絵画の贋作騒動についての設定には無理があるのではないかと感じた。贋作者は、わざわざそのような年代が後世であることを特定できるようなものを書き込む必要がなかっただろうし、ホームズがたったあれだけの証拠からそのものを特定できるというのも「論理の」飛躍のように思え、少々不自然だったように思えた。
今回は、第1期(Series 1)ということらしい。Episode 3の最後は、「主人公絶体絶命の窮地!次回を待て」(トーキー映画風の古い作劇技法で、クリフハンガーというようだ)で終わっている。
ウェブ情報では、すでに第2期の撮影は進んでいて、当初BBCでは2011年中の公開予定だったらしいが、残念なことに2012年に持ち越しという。ただし、日本語版の作成は、画面に浮かぶ文字などの翻訳も必要なので、結構時間がかかるらしい(NHK)ので、本国で公開されてから1年後くらいだろうか?
http://cultfix.co.uk/sherlock-series-2-filming-begins-13018.htm によると、第2期のタイトルは決定しており、
1. A Scandal In Belgravia
2. The Hounds Of Baskerville
3. The Reichenbach Fall
とのこと。1は、ボヘミアのスキャンダル のパロディだろう。Belgravia は地名のようで、Wikipedia ではいつくか候補がある。3はThe Final Problemでのモリアーティとの対決場所の地名なので、「いったん」ここでシリーズは終結するということなのだろう。
問題は、2で、原作では "The Hound of the Baskervilles" であり、「バスカービルという一族の(所有する一頭の)猟犬」の物語だが、ドラマでは微妙にひねって The Hounds Of Baskerville (正確なニュアンスではないかも知れないが)「バスカービル(という土地)生まれの(複数の)猟犬 」ということなのだろうか?
第一期のちょっとした復習。
Sherlock [Episode 1] : A Study in Pink / directed by Paul McGulgan, written by Steven Moffat, based on works of Sir Arthur Conan Doyle.
題 名は、A Study in Scarlet(緋色の研究)のパロディ。Pinkは、以前「なでしこ」の記事で書いたことがあるが、なでしこ属の植物の総称でもあり、「桃色,ピンク。 日本語の「ピンク映画」などにみられるような'erotic'という意味はない」(プログレッシブ英和中辞典 第3版 小学館 1980,1987,1998)ようだ。実際にドラマの内容的にもそのような雰囲気は無かった。昨日から2回目の観賞に入っているが、じっくり見ると日本語でも会話についていけないときがあるのに気付く。頭の回転が悪いようだ。
Sherlock [Episode 2] : The Blind Banker / directed by Euros Lyn, written by Steve Thompson, based on works of Sir Arthur Conan Doyle.
タ イトルは、パロディではないようだが、日本語直訳では「目の不自由な銀行家」となるが、NHK版は「死を呼ぶ暗号」としていた。これは、暗号モノだったの で、The Adventure of the Dancing Men (踊る人形)を連想したが、The Adventure of the Creeping Man(這う男)の要素もあったかも知れない。中国の幇(結社)が関係する事件で、イギリスと中国の過去の歴史を思うと少々複雑な感じも覚える回だった。それと、ホームズか誰かが言っていた「中国人は、簡単に出国できない」という指摘は、2010年現在でも通用するものだったろうか?イギリス側が入国ビザを簡単に発行しないのでは?
Sherlock [Episode 3] : The Great Game / directed by Paul McGulgan, written by Mark Gatiss, based on works of Sir Arthur Conan Doyle.
参考: シャーロック・ホームズの世界 というサイトを見つけた。日本シャーロック・ホームズ・クラブ(JSHC)が運営しているものらしい。
また、Episode 1の「緑のはしご」を検索していたところ、今回のドラマに関する 「21世紀探偵」というブログも見つけた。「現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」と原作の比較」という副題が付けられていて、内容もディープだ。
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