鎌倉時代の執権連署は観桜したのだろうか? 金沢文庫と称名寺
昨日4月8日(日)は、肌寒くはあったが、雲がほとんどない晴天で、絶交の花見日和となった。
こちらに越してきてから、比較的近所の桜の名所で花見を楽しんではきたが、三溪園や称名寺といった名所旧跡には訪れたことがなかった。昨年3月11日の大震災と大津波の前に、運慶展が称名寺に隣接する金沢文庫で開催されていて、それを見に行くつもりでいたのだが、大震災の影響もあり、ガーラ湯沢への春スキーの予約と同じくその予定も立ち消えになっていた。
そこで、今年の花見は、称名寺に行くことにした。司馬遼太郎の街道をゆくシリーズの『三浦半島記』は、週刊朝日連載中から読んだ記憶があり、こちらに越して来てすぐの職場の江の島鎌倉での忘年会の折に、本屋で文庫本をもとめて読んだものだが、この本の中に、金沢文庫のことが最大限の賛辞をもって紹介されていた。それ以来ずっと行こう行こうと思いつつ、なかなか訪れることをしないでいたが(近所の金沢動物園には行ったことがあった)、子どもたちに、金沢実時のことを話してもわかるようになったこともあり、ようやく機会が巡ってきたというところだろうか。
(通勤路の桜は満開)
横浜駅で京浜急行に乗り換え、三崎口、逗子方面の列車に乗り込むと、金沢文庫駅まではほんの20分ほど。
金沢文庫駅からは、横浜市内によくある住宅が密集した狭い道路を金沢文庫・称名寺の看板を見ながら歩くと、称名寺への花見客らしい人たちが結構歩いていた。10分ほど歩くと、金沢文庫への近道の看板が出ており、そちらに進むと、県立金沢文庫の裏門側に出た。そこで、花見の前に展示を見ることにして、中に入ってみた。大人250円、高校生100円、中学生以下無料。鎌倉を紹介した古文書や江戸、明治時代の物見遊山用の絵地図などが展示されていたが、鎌倉が武家の古都として有名になったのは、徳川家康の江戸開府以降で、徳川家が源氏の末裔を名乗って将軍宣下を受けてからということだ。
前述の司馬遼太郎の旅行記にあったように、この金沢文庫は小山を隔てて称名寺と接していて、その間を短いトンネルが繋いでいる。中世にも隧道があり、遺跡として保存されていた。これは称名寺のような大寺院は火災に遭う可能性があるということで、貴重な書籍を火災から守るための配慮だったという。さて、そのトンネルの向こうには桜と池の姿が望まれていた。
(称名寺の浄土庭園)
平泉の毛越寺にも浄土庭園の遺構とされる池が残されているが、称名寺の庭園は調査復元されたものとのことで、池の中央のアーチ橋を渡り、金堂に参詣できるようになっており、周囲を巡ることもできる。桜の木は多くはなかったが、風情のある風景だった。鎌倉初期の西行法師の桜の和歌は有名だが、往時の鎌倉武士達も観桜の宴を開いたものだろうか?
うらうらと照れる春日に照らされた池の周りをそぞろ歩き、少し山際に入ると鶯が鳴き始めていた。軽食を摂ってから、久々に八景島の水族館に行き、お目見えしたジンベイザメでも見ようかということになり、新交通システムのシーサイドライン「海の公園柴口駅」に向かうことにしたのだが、案内看板に頼って東に進んでいったところ、途中の交差点で南に折れるのに気が付かず、金澤園という料亭の前を通り、トンネルを通ってどんどん狭い道の方に進んでしまい、付近にあったコンビニで地図を確認したところ柴漁港の方に迷い出てしまったらしい。ここからは目的の駅まで500mほどと見当をつけ、歩いているとプーンと天ぷらの香りがする。天ぷら料理の店?と思って少しあいたゲートを入ると小さい漁港のようでこれが柴漁港らしい。見ると一般客も特売所に大勢ならんでいる。見回すと穴子の天丼を提供している食堂があり、やはり列ができている。軽食を食べた後だが、当初500mの予定が1km以上歩いたこともあり、お昼をここで食べることにした。
(穴子の三色丼 900円なり)
近海の獲れたての穴子を天ぷらにしてくれたもので、ほくほくと柔らかく美味しい天ぷらだった。目的の駅はここから数百メートルのところにあったのだが、たまには詳細な地図のない迷い道も面白いものだった。天丼を注文するお客が多く、約10分ほど番号札で待った。我々が注文してから10人ほどで、穴子が終わったとのことでオーダーストップとなった。ここでのんびりと休み時間を結構費やしたこともあり、八景島は別の機会ということにしたのだった。帰路、シーサイドラインに乗ると、車内の広告に、ちょうど食べたばかりの「小柴のどんぶりや」が載っていた。土日休日のお昼時だけ漁協が営業している食堂とのこと。
三浦半島関係記事:
2006年10月 9日 (月) 横須賀で戦艦三笠を見学し鮪を食す
2007年5月17日 (木) 横浜市 金沢動物園(2月4日を訪問記を5月にまとめてアップしたもの)
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