モーツァルトの後期交響曲集(Nos.35-41) パイヤール/イギリス室内管
5月3日の憲法記念日は、昨夜からの大雨が続いていて、梅雨どきのようにじとじとしていた。外出せずに、身の回りの整理やテレビ番組のHDD録画のDVDへのダビングなどの作業をした程度。(写真は、5月3日朝7時頃の篠突くような雨)
昨年11月にブックオフで購入。音楽記事は久々だが、まとめて聞く時間が取れたので、簡単にメモしておきたい。
Mozart 交響曲集
第35番K.385「ハフナー」
第36番K.425「リンツ」
第37番K.444(425a)第1楽章(ミヒャエル・ハイドンの交響曲への補筆:序奏部分がモーツァルトの作品)
第38番K.504「プラハ」
第39番K.543
第40番K.550
第41番K.551「ジュピター」
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮イギリス室内管弦楽団 (Jean-François Paillard / English Chamber Orcestra)
録音 1977年10月23日~28日、ロンドン、EMIスタジオ
Producer: Masamitsu Kurokawa, Recording Supervisor: Michel Garçin, Recording Enigineer: Christopher Parker
(RCA 2 for 1 series BMG VICTOR Inc. BVCC-8823-24, 1995/6/21)
ジャン=フランソワ・パイヤールが、自身が組織したフランスのパイヤール室内管弦楽団ではなく、隣国のイギリス室内管弦楽団(バレンボイムやブリテン、ペライアなどの指揮した録音が残されている)を指揮して、珍しい第37番の第1楽章(序奏部のみモーツァルトの作品で、それ以降はミハイル・ハイドンの作品)も含めて1977年に録音したもので、日本のリスナーからのリクエストにより録音されたものだと聞いたことがある。
室内オーケストラでのモーツァルトは、当時すでにマリナーやバレンボイムなどが先鞭を付けていたが、パイヤールのモーツァルトはランパルとラスキーヌとのフルートとハープ協奏曲のオーケストラを担当していることから、知名度の点では高かった。フランスと縁の深かったモーツァルトにしては、フランスのオーケストラが取り上げることが比較的少ないという印象なのも今から考えれば不思議だが。モーツァルトを得意としたフランス系といったら、モントゥーくらいだろうか?
先の経緯からして特に日本で評判の良かった録音だというが、今聞いてみても、悪くはない、というよりもむしろ高水準の演奏、録音だと思う。演奏スタイルは、モダン楽器による「伝統的な」モダンスタイルであり、配置もヴァイオリンは対抗配置型ではない。弦と管の音量バランスや風通しのよい響きから、比較的少人数のオーケストラと知れるが、きびきびとした軽快なテンポによるアンサンブルは大変好ましい。
解釈的には、とりわけ目覚ましいものがあるのではないが、力まず品よく美しくそしてここが肝心なところだが、奇を衒わずに誠実にリアライズしているとでも言おうか、さらにバロック音楽が得意な指揮者ゆえにだろう、対位法的な扱いに優れ、各声部が生き生きとしている。
それゆえにか、モーツァルトの交響曲における天才性、凄みが巧まずして、自然に立ち上ってくるように感じる。
構えなくても自然に心に染み入るようなこのような演奏が、あの時代のモーツァルト演奏の一つの理想だったのかも知れない。
昨年あたり RCAのxrcdシリーズで再発されたようだが、HMVを見ると廃盤になっているのは惜しい。
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