万城目学 『プリンセス・トヨトミ』
2011年の春、書店の店頭に平積みになった文庫を見て、面白うそうだと思い購入した。映画化とタイアップしての文庫化だったようだ。
この万城目学という作家の本を読むのは初めてだったが、京都大学出身で、『鴨川モルホー』とかいう奇妙な題名の小説で有名になったことは知っていた。その後、テレビドラマで綾瀬はるかと玉木宏が主演で、多部未華子と児玉清が重要人物で出演していた『鹿男あをによし』というのを数年前に面白く見た。
今回の小説『プリンセス・トヨトミ』は、冒頭を読んでみたところ、結構壮大な構想のものかと期待して読み進めた。途中までは確かに面白かった。ただ、次第に尻すぼみになっていく感があり、残念だった。
つい最近テレビで映画化されたものが放送されたが、主要登場人物の性別が変更されており、違和感があった(前述のドラマでも同じような脚色があったらしい)。今回の映画化では、小説の登場人物に適したキャスティングができなかったのかも知れないが、いわゆるよく最近使われる言葉でいうと作家の「世界観」と食い違いがあるやに思えた。この映画を見て、小説をパラパラと読み直してみたが、特にエンディングの部分のどんでんがえしの趣向が失われてしまってもいた。
なにはのことはゆめのまたゆめ、なのだから、これでいいのかもしれないが、ちょっと食い足りなかった。
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