シューベルト ピアノ五重奏曲『鱒』(ます) ルドルフ・ゼルキン, ラレード, 他
2008年5月 3日 (土) リヒテル、ボロディン四重奏団の『ます』五重奏曲 も5月に聞いたのだったが、この爽やかな室内楽曲は5月の晴天によく似合う。
このCDは、 "The great collection of classical music" シリーズに含まれるもの。以前にホルショフスキーのピアノによる盤の時に触れたコントラバスのジュリアス・レヴァイン(ライナーの表記は、ジュリウス・レヴィンスだが、 Julius Levine という綴りで、指揮者のLevineがレヴァインなのでレヴァインでよいのだろう。2003年に逝去されているようだ。)が参加している。
他のメンバーは、ゼルキンやその義父アドルフ・ブッシュ等が主催していたマールボロ音楽祭の参加者で、ヴァイオリンはハイメ・ラレード、ヴィオラがフィリップ・ネーゲル、チェロがレスリー・パルナス。 1967年録音。タイミングは、CD表記で、13:36/7:07/4:04/8:19/6:19
この曲のピアノパートは、シューベルトのピアノの書法が上手かったのだろうが、どの演奏でもピアノの伸びやかな響きが楽しめることが多いのだが、CBS時代のゼルキンのピアノ録音としては、その美しい音色が味わえるものになっているように思う。
アンサンブルは、生真面目なルドルフ・ゼルキン主導なのだろう、とても誠実な音楽づくりではあるが、音楽祭の同僚たちの息もあっていて、暖かみが感じられる。ただ、録音の関係かどうかはわからないがホルショフスキー盤のときほどはコントラバスのレヴァインの重低音はここぞというとき以外は目立たない。
ところで、ゼルキンは、その容貌や演奏からも非常に謹厳で自己批判の強い人物だったようだが、2012年3月 3日 (土) 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(村上春樹著) の面白いインタビューによると、小澤氏はその謹厳なルドルフ氏になぜか(?)とても信用され、当時未成年だった息子のピーター氏の御守役のようなものを仰せつかったのだという。この本に書かれているトロントでのグレン・グールドとの交友などはとても意外なエピソードなのだが、紙面に載せられないような話題が満載だったらしく非常に意外な感を受けた。小澤氏がキャリアの初めのころから本当に多くのいわゆるのちにビッグネームとなるような音楽家との交流や共演が盛んだったのが非常にまぶしい。この本を読むと、録音はその音楽家の本当に一部を切り取ったものでしかないのだろうということに思いいたったりもする。
「ます」五重奏曲の他の記事:
2006年3月16日 (木) ホルショフスキー、ブダペストQの鱒五重奏曲
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