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2012年6月30日 (土)

腰痛で休んでいた間に読んだ本

月、火は何とか出勤したが、腰痛から足がしびれる感じがあり、水曜日から腰痛が悪化したため、木、金と仕事を休んだ。まだ腰の違和感はあるが、ようやく今日あたりから動けるようになった。その間、妻が図書館から借りてきた最近の小説を仰向けになって読んで過ごした。

多少ネタバレを含むため、ご注意を。

◆葉室麟『蜩ノ記』(祥伝社) 平成23年11月10日初版第1刷、平成24年2月25日第10刷

 一気に読み進められた。面白かった。欲を言えばかたき討ちのシーンは、微妙だった。また直木賞ということで、逆に期待をしていなかったが、読む価値はあった。

◆森晶麿『黒猫の遊歩あるいは美学講義』 (早川書房) 2011年10月20日印刷 同10月25日発行 (第1回アガサ・クリスティー賞)

 書名からストレートに連想できるようなペダンチックな内容。E.A.ポーの小説を下敷きにした短編推理小説。つまらなくは無いが、主人公の若き教授と助手役の女子大学院生のキャラクターが少々弱く感じた。

◆中田永一『くちびるに歌を』(小学館)

 五島列島の中学校の合唱部をテーマにした小説。主人公のASDの兄のエピソードが印象に残る。文章や構成などは少し未熟(読みにくい)だが、題材的に感動的な青春小説だった。補助のピアノ教師の人物造形が少々類型的もしくは現実感が薄いか?

◆原田マハ『楽園のカンヴァス』(新潮社)2012年1月20日発行 2012年6月16日11刷

 これは題材的にも、ストーリー的にも面白かった。特に近代絵画に興味のある人(ちょうど、『ギャラリー・フェイク』ファン)にはどっぷりと嵌れる内容だと思った。設定的な不自然さは少々感じないではなかったが、ある画家への愛情あふれる作品だと思った。

◆東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)平成24年3月30日初版発行

 ドラマ『秘密』の人気作家の新作らしい。ほとんど読んだことがないが、さすがに読みやすい文章と凝った構成、設定だと感心した。ファンタジー(現実にはあり得ない)的設定の現実を舞台とした人情物語だが、それなりに面白かった。

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追記

◆有川浩『三匹のおっさん』(文春文庫)、『三匹のおっさん ふたたび』(文藝春秋社)

これを読んだのを忘れていた。スイスイ読めて面白かったのだが、妻がすぐに図書館に返却してしまったため。有川浩の作品は結構読んできており、多彩な小説家というイメージがあるが、これも未だ十分に若さが残っている還暦過ぎのシニア世代を主人公群にした物語で、現代世相をうまくすくいとっているものだった。横丁の寅さん、熊さん的であり、小市民的冒険活劇的であり、舞台は現代だが、昔風のテレビドラマを見たような既視感があった。

 

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