古代、中世の馬の体格
今日から6月。衣替えなのだが、数年前から6月以前にクールビズは始まることになっていて、今年は今日からはスーパークールビズとかいうものらしい。
さて、またもや半可通の思いつき記事なので、ご容赦を。
『銃・病原菌・鉄』での、大型哺乳類の家畜化の考察は面白かった。アフリカ大陸のシマウマが、なぜ現在家畜となっているウマと同様に家畜化されなかったのか、など、現在家畜化されていない大型哺乳類のどこに原因があって家畜化ができなかったかについての考察が述べられている。
さて、幸運にも家畜化され、日本にも古墳時代にユーラシア大陸から移入されたウマだが、それ以来の?在来種としては長野の木曽地方に伝わる中型種のキソウマなどが知られている。このウマはチンギスハンのモンゴル軍団によるユーラシア大陸征服の原動力となったモンゴルのウマに近いとも言われている。
既に「動物考古学」ではある程度研究結果が出ているようで、新田義貞の鎌倉攻めの遺跡?から発掘された馬の骨から、木曽馬程度の中型種だったことが分かってはいるらしい。
そこで、一般的には、在来種があれほど小さいのだし、当時の日本人の体格が平均的に小さかったので、現代の映画やドラマで描かれるアラブ系の脚が長い大型の馬のようなものではなかったのではないかとされる。
しかし、先月見た平治物語絵巻にしても、吉備大臣入唐絵巻(中国の馬?を写実的に描いたとは思えない)にしても、馬と人とのサイズのバランスは、脚が太く短く、背の低い木曽馬のようなものでは無く、馬は十分に大型だったように見えた。牛車も多く描かれているが、牛に比べても馬のサイズ(背の高さ)は高いようだ。また、伝足利尊氏の騎馬像とされる髻を切ったざんばら髪の武者の画像 にみられる馬も、十分に大型だ。ただ、上記のキソウマのサイトにみられる絵の馬の背の高さは、成人男子に比較してやや小さい。
古代の信濃や武蔵の官営牧などで飼育されたウマ、平安、鎌倉武士たちが好んで乗ったウマの体格は本当に小型だったのだろうか?また、武田の騎馬軍団の馬、信長の馬揃いの馬たちはどうだったのだろうか?
動物の家畜化による形態変化は、オオカミの家畜化によるイヌの例が顕著で、チワワからセントバーナードやピレネー犬までのサイズが生物史的には比較的わずかの期間で達成されている。
ウマの場合でも、家畜化による形態変化は大きいものがあったのではなかろうか、などとも思ってみる。
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