朽木ゆり子『フェルメール全点踏破の旅』(集英社新書ヴィジュアル版)とヴァン・スヴィーテン男爵
コミック『ギャラリー・フェイク』に影響されたような素人美術好きで、このブログでも時折美術関係の拙い記事を書いたりしており、フェフメールという画家についても何件かエントリーしている。
このブログでも書いたように
フェルメールの一番の人気作オランダ・マウリッツハイス美術館所蔵の『真珠の耳飾りの少女』(Girl with a Pearl Earring, 青いターバンの少女)
傑作と言われているベルリン国立絵画館の『真珠の首飾り』(Woman with a Pearl Necklace 真珠の首飾りの婦人/少女)
が今東京上野に来日中だ。
今日の朝日新聞の天声人語子は、朝日新聞協賛らしく、人気作『耳飾りの少女』の来日を1974年のモナリザの来日と並べて書いているが、贔屓の引き倒しにならなければいいと思う。耳飾りの少女は、1984年、2000年に続きこれが3回目の来日なのだから。(他の作品の来日履歴)
さて、耳飾りの少女の来日にちなみBSフジの『真珠の耳飾りの少女』の特集番組を録画しておいたのを土曜日に見たが、その時にワシントンのナショナルギャラリーの『天秤を持つ女』 Woman Holding a Balance の美しい女性像が気になり、以前タイトルの本を買っていたのを思い出して引っ張りだして読み直した。2006年9月発行の本で、11月の第4刷を購入しているので、ちょうどその頃購入したはずだが、あまり精読していなかったようだ。
今回読み直してみてこの本の69ページにそのときには気が付かなかった意外な記述があるのに気が付いた。ヴィーンの美術史美術館所蔵の『絵画芸術』(The Art of Painting)の来歴だ。
この作品は、ヒトラーが所有し、オーストリアの岩塩鉱山に隠匿していたことでも知られるのだが、「18世紀のはじめにはウィーンのゲラルト・ファン・スウィテン男爵のもとにあり、それが息子のゴットフリート・ファン・スウィテンに渡ったことも確認されている。そして、1813年、ヨハン・ルドルフ・ツェルニン伯爵がデ・ホーホの絵として購入した。」と書かれていた。
年代・地名・地位的に見てもこのゴットフリート・ファン・スウィテンが、音楽史的にはモーツァルトやベートーヴェンのパトロンであり、ヘンデルや当時ほとんど忘れ去られていた大バッハのコレクター・愛好者として知られるゴットフリート・ヴァン・スヴィーテン男爵 Gottfried van Swieten(1733-1803) と同一人物であろうと思い調べてみたら、英文Wikipediaに
Van Swieten owned a Vermeer, the famous "Art of Painting", which he inherited from his father. At the time it was not known that the painting was by Vermeer.
というまさにそのものずばりの記述があった。
音楽史と美術史は、並行的には動いてはいるのだが、愛好家や評論家という点ではあまりクロスすることが無いように感じている。この例とて、父親のスヴィーテン男爵が入手したものを子のゴットフリートが相続したのだろうから、音楽愛好家と美術愛好家の接点というにはあまり適したものではなかろうが、それでも少し珍しいように感じて記事にしてみた。
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