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2012年8月17日 (金)

シャーロック BBCドラマ シーズン2 その3  The Reichenbach Fall

原作の「最後の事件」(The Final Problem)の現場であるスイスのライヘンバッハの滝が題名なので、この現代版ではスイスのその場所がどう描かれるのか注目していたが、いい意味で予想を裏切られた。

ネタバレにもつながるが、前回の「バスカービル」に比べてこちらは換骨奪胎に見事に成功していたと言いたい。当然このドラマの視聴者や、ドラマ内の人々がホームズやワトソンに対して思ったり抱いたりする思いをストレートに表現しているからだ。あちらのタブロイド紙は、えげつないことで知られるが、日本ならB級週刊誌だろうし、さらにはSNS, Twitter, BBSが放ってはおかないだろう。

(子どもがホームズシリーズを読み始めた。新潮文庫版の英語名が The Hound of  the Baskervilles ではなく、 of Baskervilles で theが付いていないことに気が付いた!これはミスプリではなかろうか。原作初版には、the が付いてるダートムーアについて調べた。コーンウォール半島のデヴォン州!UKの地理に不案内だが、地理や風土に詳しければ、日本で北海道のサロベツとか、茨城の水郷とか、山口の秋吉台などという舞台設定と同様の楽しみもあるのだろう。)

言葉遊びも面白かった。

クライマックスのスリル感、サスペンス感は、得難いものだった。まさに息を飲んだ。ただ、ドラマとしてのその成功は、残念ながら、二度見にはあまり適さない、ことにもつながるのだが。

前回どのように人物造形されるのか期待したいと書いたモリアーティは、まさに悪の天才として描かれていた。そして、スコットランドヤードのドノバン巡査長(女性)が第1シーズンの第1エピソードから指摘し続けていたホームズの「変人」(正確な表現ではいわゆる自分から犯罪を作り出すような「変質者」)性が、モリアーティによって残酷なまでに利用されてしまった。「ジキルとハイド」ではないが、シャーロックとモリアーティがコインの裏表のような関係にあることが仄めかされ、その考えを本人たちも認めていた。

イギリスの陪審制、証人制の描写も面白かった。客観的な有罪の証拠があれほどあっても、あれほどの悪人の手にかかれば無罪になってしまうのだ!

モリーという女性解剖医が第1シーズンの初回から今シーズンも登場し続けている。この回でも重要な鍵を握っていた。原作にはそれらしい人物は出てこないように思うのだが、この登場人物はどこからインスパイアされたのだろう?

当然、これは第3シーズンに続くのだろう。これこそ、原作『最後の事件』後の復活につながるものだろう。白昼に繰り広げられたあの惨劇に関して、どうやってそのケリを付け、合理的、現代的な謎解きをしてくれるのだろうか?

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