電子書籍リーダー Lideo をしばらく使ってみて
2012年の年末に購入した電子書籍リーダーLideo。
青空文庫でのPCでの読書、任天堂DSの青空文庫ベースの日本文学全集ソフトによる読書で、電子書籍には多少慣れてはいたが、昨年2012年にはスマートフォンやタブレット型コンピュータなどの普及もあって、日本でも一気に電子書籍の配信が増え、最新刊が電子書籍でも容易に入手できるようになった。(パブリックドメインについてはこちらも。)
ただし、日本ではアメリカなどとは違い、電子書籍の価格が、印刷本より廉価にすることができないらしく、まずはそれが普及の妨げになるような気がする。印刷、製本、流通、在庫経費が大幅に削減できるのだから、従来の印刷本よりも廉価でしかるべきだが、その辺りが議論になっていないような感触だ。
また、現在印刷本で読み飽きた本はブックオフなどに売り、また多くの書籍がそのような中古店で格安で入手できるようになっているが、電子書籍の場合には、Digital Rights Management(DRM)により、簡単にコピーはできず、また他の端末での利用もDRMによって制限されていることもあり、現状では読み終えた本で不要になったものでも、再利用の道は閉ざされているので、その点から言っても、その分を廉価にすべきではないかとも思う。
まだ、Lideo によって Bookliveサービスからの有料の書籍購入は行っておらず、これまで無料の医療コミック「ブラックジャックによろしく」13巻と、青空文庫収録の文学の名作をダウンロードして読んでいる段階。さすがに、ゲーム機のDSに比べると、白黒電子ペーパーは視認性はよろしいし、活字も綺麗だ。軽量で片手持ちも楽々。電池の持ちも不満はあまりない。ただし、タッチパネルとしての応答性はあまりよろしくなく、また誤応答もあり、少々いらつくことがある。文字の大きさも本文は数種類選べるが、本棚や書店などの項目での文字の大きさ変更には対応していないのも不便だ。
書店での書籍の検索は、この専用端末の Lideoでは、前述の応答性の問題もあり、実際検索するのが非常にわずらわしい。BookliveのPCサービスで、検索するのはPCの迅速の応答性もあり比較的容易であり、本棚を複数端末で同期化することで、補うことはできるのだが、Lideo単独で使うことが想定されている中高年層には、検索の不便さは大きなデメリットだと思われる。
書店の品ぞろえだが、日本文学では青空文庫があるので、近代文学の古典を読むには不自由しないが、翻訳ものについてはまだまだ無料が少ないし、岩波や新潮なども翻訳文学についてはまだ品揃えが充実していないようだ。
端末自体廉かったし、無料作品も楽しめるので、買い物としてはそれほど悪いものではなかったと思っているが、果たして爆発的な普及が期待できるかとなれば、やはり新刊書の値段の問題が解決されるべきだろう。
追記:ネットでの物品購入はCDなどでは抵抗感がなくなっており、ほぼ日常的なものになっているが、ダウンロード購入では他で入手不可能のソフトウェア(DiXim Digtal TV)の経験はあるが、これまでiTunesでの音源のダウンロード購入もしたことがない。物理的な有体物であるLPやCD、書籍への馴染みが非常に強いので、デジタルデータの再生という意味では根本的に違いのない音源データダウンロード購入には抵抗感が残り、そこは文字データ、書籍の面でも同様な感覚がある。著作作品へのクレジット・ライン(本来は、提供者の名前のことだが、著作者、演奏者のことも含むとした場合)が、改竄されることもありうるデジタルデータへのかすかな不信感もその底にはあるようにも自己分析すると考えてしまうのかも知れない。無形物への不信感とでも言うのだろうか。文字の場合、有体物である書籍なら、落丁などがあればすぐに気づくこともあるだろうが、デジタルデータの場合は、その保証(クレジット)がまだまだ不安である。著作者の意図とは別に、仮に何者かによる意図的な改竄がなされていても、新刊書であれば、テキスト比較も不可能ということもあり、著作者でも容易には発見しにくいということもあるだろう。著作者、著作権者がオリジナルデータをメートル原器のように保有して、流通したデータとの差異をチェックするシステムでも確立されない限り。
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追記:
LIDEOで検索して、興味をもった記事:
「日の丸」電書端末Lideoに勝機はあるか? 2012年12月27日
端末に関する懸念として取り上げたいのが、電池に関して消費をセーブするECOモードに設定しているにもかかわらず、消費が早いように思われることだ。頻繁に使用している場合、数日しか持たない。他の電子ペーパー端末と比較しても、これは非常に早い。使い続けるうちに電池が劣化してきたら、充電器を持ち歩くようなことになるのではないかと思うと、非常に不安ではある。
⇒ 書きもらしていたが、同感。スペックでは結構保つと書かれていたのだ。
ストアの第一印象も「詰め込み過ぎ」といっていい。8つのコンテンツがタイル式に並んで表示されるが、書名が途中で切れてしまうなど、視認性が悪い。また「書店」では文字サイズも変更できない(文字サイズの変更はあくまで電子書籍ファイルへの操作であり、端末オぺレーション上での説明やタイトル文字の拡大縮小はできない)。これではターゲットである「多読のシニア層」が読みたい本にたどり着けるのか心配である。これならば紙の本のほうが早い、ということになっては本末転倒だろう。
⇒ 同趣旨のことを感じた。
他にも2013年1月31日までの期間限定で福井新聞の自動配信コンテンツがプリセットされているのだが、東京に住んでいる僕がどうして地方新聞を読みたがると思うのか。
⇒ これは反対のことを思った。読む読まないは選択できるのだからここまで言う必要はないだろう。東京中心主義である。私などは興味本位で読んでみてむしろ縁のない福井への関心が高まった。
別の記事:
http://smhn.info/201212-lideo-is-not-good-ebook-reader-deigiboo
http://smhn.info/201212-lideo-is-not-good-ebook-reader-deigibook010
この記事は、検索すると多くヒットするので影響力が強いようだが、あまり公平な記事ではない。むしろ反感をあおるような「アンチマーケティング」を感じさせる。
冒頭の利用規約(契約書)からして、わざわざ書く問題だろうか?ここからして、相当バイアスがかかったものだ。この記事の筆者は「デジモノ」好きのようだが、Wi-Fi環境が容易に構築できないで「箱から出してすぐ使える」ことを望むようなユーザー(中高年の読書家)がいるという目線が不足しているように思う。
リーダーの比較記事:http://ddnavi.com/serial/107452/
6インチアンドロイドタブレットとの比較記事:http://blogos.com/article/53228/?axis=b:13305
日経の特集記事: 紙より本当に魅力的? 電子書籍「10の疑問」 2012/12/12 7:00
Kindle関係記事:http://www.nikkei.com/article/DGXBZO47756170X21C12A0000000/
amazon kindle への感想記事:http://blog.livedoor.jp/gurgur717/archives/51395816.html
WallStreetJounal記事:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130107-00000121-wsj-bus_all
電子書籍リーダー時代はもう終わってしまったのか
ウォール・ストリート・ジャーナル 1月7日(月)11時42分配信
電子書籍を読むための専用端末、電子書籍リーダーはここ5~6年の間、話題の的だった。しかし、タブレット型端末の小型化が進み、廉価版が発売されるようになった今、ネット通販大手アマゾンの「キンドル」や米書店大手バーンズ・アンド・ノーブルの「ヌック」などの読むことにしか使えない端末の運命が問われている。
市場調査会社IDCによると、2012年の電子書籍リーダーの世界出荷台数は推計1990万台となり、前年の2770万台から28%減少した。これに対して、2012年のタブレット端末の出荷台数は推計1億2230万台に上った。
調査会社HISアイサプライの集計はこれとは異なるものの、同じような傾向を示している。同社の推計では、専用の電子書籍リーダーの出荷台数は2011年にピークに達しており、2012年は前年比36%減の1490万台だった。同社は出荷台数が2015年までに780万台にまで落ち込むと予想している。 問題の一つは、電子書籍リーダーを購入したユーザーの一部が早く次の端末を買いたい、とは特に思っていないことだ。薬物乱用カウンセラーとして働くオハイオ州ストウ在住のジュリー・カーティスさんはもっぱら、2年前に買ったキンドルを使っているという。カーティスさんは「ちゃんと動くし、新しいものを買う理由がない。最新版を買う気になっていたら、キンドルファイアのようなタブレット型端末を選んでいたと思う」と話した。
2007年に流行り出したとき、電子書籍リーダーは画期的な商品に見えた。1台の端末に数百冊もの本を収納して読むことができる上、重さは大抵のハードカバーの本よりも軽く、大したスペースもとらない。しかも、電子書籍は紙の本より安いのだ。 その後、電子書籍リーダーのデザインが改良され、見た目も読みやすさも向上した。軽量化が進み、ページをめくる速度も上がり、さらに多くの本が収納できるようになった。無線通信機能が搭載され、ユーザーがいつ、どこにいても小説や雑誌、新聞をダウンロードできるようになった。今では、暗い所でも本が読める機能も搭載されている。
「電子書籍リーダーの真のイノベーションとは、コンピューターを使わずにワイヤレスで本が買える利便性を消費者に与えたことだ」と指摘するのは調査会社フォレスター・リサーチのアナリスト、サラ・ロットマン・エップス氏だ。「まさに消費者の自分の手の上にオンラインショップをもたらしたという意味で、電子書籍リーダーは『事件』だった」とエップス氏は話している。
しかし、消費者の好みも技術も変化した。人が本を読むのをやめたわけではない。世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの最近の報告書によると、電子書籍リーダーではなくタブレット型端末で電子書籍を読む人がますます増える可能性が高くなっている。同社の調査では、電子書籍を読んだことのある米国人の割合は2011年には16%だったが、2012年には23%にまで上昇した。 廉価版のタブレット型端末は高機能の電子書籍リーダーとしてだけではなく、インターネットブラウザーやゲーム機、カメラとして使うこともできる。IDCのタブレット担当のリサーチ・ディレクター、トム・メイネリ氏は「ほとんどの消費者にとっては、さまざまな使い方ができるタブレット型端末のほうが都合がよく、タブレット型端末が消費者にとって買う気になる価格になったときはなおさらだ」と話す。メイネリ氏は「電子書籍リーダーは最終的には隙間商品になるだろう」と話している。
専用の電子書籍リーダーが敬遠される原因の一つは性能が限られていることにある。電子書籍リーダーにはモノクロ表示のスクリーンと基本的なインターネットの検索機能が搭載されているだけのことが多い。一方、アップルの「iPad(アイパッド)」やアマゾンの「キンドルファイア」、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末などのタブレット型端末はカラー表示で、インターネット検索機能にも制限がない。
タブレット型端末は価格差も縮小し、消費者にとってさらに魅力的になった。例えば、グーグルはタブレット型端末「Nexus(ネクサス)7」をたった199ドル(約1万7300円)で販売しているし、アマゾンは「キンドルファイア」シリーズで159ドルのモデルを発売した。これはアマゾンの電子書籍リーダー「キンドル」の最も価格が高いモデルより20ドル安い。また、最近のiPad Mini(アイパッド・ミニ)の登場で、アップルのタブレット型端末の入口価格はiPadの499ドルから329ドルに下がっている。 全てのタブレット型端末が消費者に受け入れられているわけではない。あるデータによると、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ8」を搭載したタブレット型端末は出足が鈍い。
市場調査会社NPDグループによると、ウィンドウズ搭載のノート型パソコンとタブレット型端末の売上げは昨年10月21日から12月8日までの期間で前年同期比13%減となった。同社が調査したウィンド ウズ8搭載のタブレット型端末の売上げは取るに足りない程度だったという(同社はマイクロソフトが発売したキーボード付きタブレット型端末「サーフェス」の売上高の追跡調査は行っていない)。
バーンズ・アンド・ノーブルは3日、電子書籍部門「ヌック」の12月29日までの9週間のホリデーシーズンの売上高が前年同期比13%減の3億1100万ドルとなったと発表した。「ヌック」部門には電子書籍リーダーとタブレット型端末の両方、さらにデジタルコンテンツ、付属品が含まれている。同社は個別の端末の売上高の詳細については明らかにしなかった。 こうした傾向があるにもかかわらず、電子書籍リーダーには利点もある。まず、ほとんどのタブレット型端末よりも軽い。さらに、バッテリーの駆動時間が向上している。バーンズ・アンド・ノーブルによると、同社の「ヌック」シリーズで最も安い「シンプル・タッチ」はバッテリーを一度充電すると、最高2カ月間利用できるという。これに対して、タブレット型端末「ヌックHD」は一度の充電で利用できる時間は約10時間だ。
さらに、電子書籍リーダーには大幅な改良が加えられ、タッチスクリーン技術や自発光型ディスプレイが採用されるなどしている。市場調査会社カレント・アナリシスのアナリスト、アビ・グリーンガート氏は「電子書籍リーダーは2年前と比較しても劇的に向上している」と述べた。
その上、電子書籍リーダーの価格は急落している。「キンドル」シリーズで広告が表示されるモデルは69ドルで買うことができる。
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