「たんぽぽ娘」と「亜麻色の髪の乙女」のエコー
小夏日和と言うほど暑き寒露かな
『ビブリア古書堂の事件手帖』で知った『たんぽぽ娘』(The Dandelion Girl)というアメリカの少々古い短編SF小説。
その印象的なリフレイン:
"Day before yesterday I saw a rabbit, and yesterday a deer, and today, you."
(拙訳:一昨日はウサギを見ました。昨日は鹿。そして今日は、あなた)
を眺めていたら、
以前「亜麻色の探究」 で、英語から稚拙な重訳を試みたルコント・ド・リールの詩『亜麻色の髪の乙女』( La Fille aux cheveux de lin 英名The girl with flaxen hair)の一節を思い出した:
"Adieu les daims, adieu les lievres"
(英訳 Farewell to the deer, farewell to the hares
拙訳:鹿たちよ、さようなら、野うさぎたちよ、さようなら)
「亜麻色」には、ヤマウズラも登場するので、単なる偶然の符合かも知れないが、「金髪の少女」とウサギとシカのイメージが谺し合っているような気がした。
ちなみに、小説の方でのは、「タンポポ色の髪の少女」のイメージは、主人公が愛読するエドナ・セント=ヴィンセント=ミレイの "Afternoon on a Hill"という詩と結合している。
Afternoon on a Hill
I WILL be the gladdest thing
Under the sun!
I will touch a hundred flowers
And not pick one.
I will look at cliffs and clouds
With quiet eyes,
Watch the wind bow down the grass,
And the grass rise.
And when lights begin to show
Up from the town,
I will mark which must be mine,
And then start down!
拙訳:
丘の上の午後
一番喜ばしいものに、私は成ろう、
太陽に照らされるものの中で。
何百もの花々に、私は触れよう、
一本も摘まないようにして。
断崖やむら雲を、私は見つめよう、
落ち着いたまなざしで。
見てごらん。風が草におじぎをさせている。
そして草は起き上がる。
灯りが、眼下の町の方から
光を放ち始めたら、
我が家の明かりを、見つけ出そう。
それから、丘を降り始めよう。
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