超人的な能力をもった音楽家マゼールが逝去
享年は84歳だったというのだが、最近まで続いていた旺盛な活動とエネルギッシュな容貌からまだまだ活躍してくれるだろうと思っていたので、相当驚いた。
これだけ著名で楽壇狭しと大活躍した大指揮者なのだが、なぜかとりとめの無い印象がある。そのため、熱心に聴いたわけでもなく、とりわけファンだったのでもなかった。
自分のブログ記事やiTunesライブラリを検索すると、マゼールのものは結構ヒットするのだが、協奏曲の指揮が圧倒的に多い(*)。
ただ、映像ではロージー監督による「ドン・ジョヴァンニ」「カルメン」があり、どちらも面白かった。
この指揮者で、特に印象に残ったのは、数年前にNHK響に初客演したときに放送された映像だった。これを視聴し、N響がくらいついて必死に演奏しているのを見て、やはりすごい指揮者だと思ったことを思い出す。
その天才ぶりは幼少の頃から発揮され、天寿を全うするまで続いていたのだが、当たり前のように高水準の演奏・録音を行っていると、そのすごさが隠れてしまうという側面もあったのだろうが、高水準ではあっても、心の芯にまで食い入ってくるような印象が少なかったように思う。 音楽誌などでは「曲者」という評が印象に残っているが、ほとんどそのようには感じなかった。そういう意味では高度の才能のあるアルチザン(職人)ではあっても、内部的な破綻や矛盾などを抱えて何が何でも自己を表現し尽くさなければ生きていけないような芸術家気質ではなかったのかも知れない、などと素人的には思ったりもする。
縁といえば、先日7/13のコンサートでは、休憩時間にマゼールと因縁のあったベルリンフィルによる「シェエラザード」も売られていた。これは初出盤が出た当時の3500円のフルプライスで入手したものだったので、リーフレットデザインで覚えていて、長男とマゼールのCDが売られていたと話したものだった。
マゼールの業績で、唯一無二と言ったら何になるだろうか?自分の好みでは、ヴァーグナーの「指環」の管弦楽編曲版の自作自演だろうか?
長年のご活躍に敬意を表し、ご冥福を祈りたい。
参考:2008年9月28日 (日)くさくさした気分だがなぜか面白いマゼールの指揮
2008年2月 2日 (土)マタチッチの『シェヘラザード』
(*)コーガン、ギレリス、アシュケナージ、ヨーヨー・マ
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