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2014年7月18日 (金)

明日公開のジブリ映画「思い出のマーニー」の原作(新訳版)

「思い出のマーニー」  高見浩の新訳(新潮文庫書き下ろし)2014年初版を書店で見かけ購入。読了した。新潮は映画公開をターゲットに刊行したようだ。角川でも別の人の訳で出ているらしい。

ジブリ映画のマーニーでは、岩波少年文庫版をベースにしたらしい。

「アリエッティ」もそうだったが、多くの児童文学(ファンタジー)の「名作」を網羅的に調査しているのが分かる。「ゲド戦記」は、若いころから自分も知っているほどで、それなりにメジャーだったが、「ハウル」は、日本の大手では訳が出ていなかったと思う(後で調べたら 1997年頃、ジブリと関係のある出版社の徳間書店から初訳が出たのだという。その3部作は、長男が好んでおり、その中では、「チャーメインと魔法の家」 原題:House of Many Ways 2008はとても面白かった。)

「マーニー」を読み進めると、以前読んだ英国児童文学の「トムは真夜中の庭で」に、似たところのある設定だな、との考えが浮かんできた。(本文を読み終えた後に、高見浩のあとがきを読んだら、まさにこの作品のことが語られていた。自分の想像力も今回は的外れではなかったようだ。)

言ってみれば現実と過去の交錯のような設定。イギリスでは古い建物(シェークスピア時代の16世紀だったかの建物が、もちろん何度も改修はされているものの未だ住居として使われているものもあるという。以前訪れたことのあるアイルランドでも、古い土壁で作られたような大きな茅葺風の民家を見かけたことがあった。)に、何代もの人々が住んでいるというが、そのような国ならではの設定だろうか?

古い時代の遺跡を訪れてそこに佇んだりしていると、その時代を「感じる」ような幻想的な気持ちになるようなこともないではないが、それが特別な史跡ではなく、身近な民家だったりするのは、人々の精神風土にも影響を残すような気がする。

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー なるテレビ番組(NHK)でも、イギリスやスコットランドの幽霊屋敷のことが「科学的」に取り上げられているが、後天的記憶の遺伝(あるいは、エピジェネティクスの範疇だろうか?)でも、精神的な風土というものは説明できるのかも知れない。

もちろんそのような幽霊譚として見なくても、とても上質な小説(物語)だった。私の場合、読み進むにつれて次第にこのミステリー小説とも読める物語の謎の答えが見えてきたので、劇的な展開ではなく、むしろ心温まる内容だった。

それと同時に、子育てというものが、いずれの時代、どのような環境であっても困難を宿しているのだということを認識させられたように思われる。

映画は、特に関係している日本テレビで、宣伝番組が連続して行われ、トレイラーも何度か流されたのを見た。場所の設定は、「アリエッティ」と同じく、原作のイギリスが日本に変更されているようだが、原作の雰囲気とはそれほど違和感が無いように思える。ただ、海岸の湿地と、内陸の湿地では砂と泥の違いは大きいように思えるのだが。

家族の動向を見ると、この夏もジブリ映画かも知れない。

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