ケルビーノの palpitar は palpitation のことだった!
モーツァルト全集190枚の取り込みは、彼岸の中日の秋分の日に130枚目まで進んだ。119枚目までは宗教曲だったが、120枚目からは、オペラになる。
モーツァルト本は、当然ながら絶賛調のものが多く、読み続けると自家中毒的になりがちだが、最近読んだものにはモーツァルトの伝記に登場する初期の劇音楽作品は、年齢にしては大したものだが、同時代の他の人気作曲家の作品に比べると、出来栄えの点でも人気の点でもそれほどのことは無かったという論調のものも登場している。このブログでも取り上げたモーツァルティアンで知られる石井宏の「反・音楽史」もその傾向があったし、比較的最近に読んだ「モーツァルトを造った男」(小宮正安)は、ケッヘルカタログのケッヘルの評伝だが、これにもその傾向があった。その前のランドン「モーツァルト」も18世紀後半を概観しながら比較的「ニュートラル」と思われる評が読める。
同時代の、オペラ・セリアのハッセや、ブッファのパイジェルロやソレル(「椿事」 Una Cosa Rara 1, 2, 3 )などの作品を聴くとその管弦楽の響きの薄さに驚かされることが多い。もちろん、演奏の質やレベルも関係があるのだろうが、当時の人気作品だからと言って、現代の人気作品が必ずしも質を保証しないのと同様、質がとても高いわけではない。
もちろん、ヨーゼフ・ハイドンの多くのオペラ作品(「月の世界」のような)もあるが、少年期のモーツァルトの作品の質は、現代人の耳にも(現代だからこそ)とても質が高く響くように思える。
理屈は、実際の現象(物、音、色など)の前では力を失うようだ。
さて、2014年度の上半期のNHKの朝ドラ「花子とアン」が今週で最終週を迎えている。村岡花子訳の「アン」シリーズは、高校時代の友人(男性)が好きで、その遅い影響で大学生時代に読んで嵌った。この朝ドラも初期の山梨と学院時代の頃はよく見ていた。故郷の東信の方言と山梨方言がどことなく似ているところがあり、文化的な共通性の点などが垣間見えて興味深かったり、花子の英語学習の時代が面白かったりした。その中で、「ときめき」を表す英語 palpitation という言葉を巡るストーリーなど結構面白かった。
この夏以来、すっかりモーツァルトづいているのだが、あるとき、ケルビーノの下記の有名なアリア「自分が誰だか分からない」の中でこの palpitar という言葉が耳に残った。
そこで、訳を調べてみたら、英訳でも palpitate をそのまま使っているものがあるではないか!
ある言葉を知るということは、こういことなのかも知れない。
Mozart: Le Nozze Di Figaro, K 492 - Act 1: No.6: Non so piu cosa son, cosa faccio
イタリア語 Italian:
Non so più cosa son cosa faccio,
or di foco ora sono di ghiaccio
ogni donna cangiar di colore
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar!
Solo ai no mi d’amor di diletto
mi si turba mi s’altera il petto
e a palare mi sforza d’amore
un desio, un desio ch’io non posso spiegar
un desio, un desio ch’io non posso spiegar
Non so più cosa son cosa faccio
or di foco ora sono di ghiaccio
ogni donna cangiar di colore
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar
Parlo d’amor vegliando,
parlo d’amor sognando,
all’acqua, all’ombra, ai monti
ai fiori, all’erbe, ai fonti
all’eco, all’aria, ai venti
che il suon de’ vani accenti portano via con se
portano via con se
parlo d’amor vegliando,
parlo d’amor sognando,
all’acqua, all’ombra, ai monti
ai fiori, all’erbe, ai fonti, all’eco, all’aria, ai venti
che il suon de’ vani accenti, portano via con se
portano via con se, e se non ho chi m’oda,
e se non ho chi m’oda, parlo d’amor con me, con me…
PARLO D’AMOR CON ME!
英訳 Translated to English:
I don’t know what I am, what I’m doing
Now I’m fire, then I’m ice,
Every woman makes me blush,
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate!
When I’m alone, it stirs up my pleasure,
It excites me and stirs up my breast.
Whenever I speak, it’s all of love
a desire, a desire that I can’t explain!
a desire, a desire that I can’t explain!
I don’t know what I am, what I’m doing
Now I’m fire, then I’m ice,
Every woman makes me blush,
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate!
I speak of love while awake,
I speak of love while asleep,
To the water, to the shade, to the hills,
to the flowers, to the grasses, to the fountains,
to the echo, to the air, to the winds
which the sounds of useless words carry them away.
Carry them away.
I speak of love while awake,
I speak of love while asleep,
To the water, to the shade, to the hills,
to the flowers, to the grasses, to the fountains,
to the echo, to the air, to the winds
which the sounds of useless words carry them away.
Carry them away.
And if no one will hear me, and if NO one will hear me,
I will speak of love with myself, with myself…
I WILL SPEAK OF LOVE WITH MYSELF!
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