ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第108回
ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第108回
日時
2015. 6.14 (日) 14:00開演
出演
指揮:ジョナサン・ノット
ホルン:サボルチ・ゼンプレーニ
ピアノ:若林 顕*
曲目
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
R.シュトラウス:ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)*
昨年のコンサートも長男への誕生祝いだったが、今年も行ってきた。
2曲目を除いて、録音鑑賞ではおなじみの曲だったが、どちらも生演奏では初めて。ワインヤード型ホールの特徴である舞台後方のP席で鑑賞。
直接音は乏しいが、音がブレンドされ聴きやすい。もちろん指揮者の指揮振りと表情はとてもよく分かる。
にぎやかな曲揃いだが、2曲目はハウプトマンのホルンとカラヤン/BPOの録音を数回聴いたくらい。R.シュトラウス晩年の作品で、モーツァルト的な2管編成オケによる擬古典的な規模なのだが、とても聴き応えがあり、ソリストも素晴らしかった。第2楽章のオーボエの独奏もとても気に入った。
ティルは、指揮者が得意とする曲なのか、暗譜での指揮。ジョージ・セルについて、R.シュトラウスが米国在住の知人への手紙に「セル博士は、今でもティルを暗譜で指揮していますか?」思い出した。
何度も録音で耳にしている馴染み深い曲だが、やはり生だと細部まで「耳が届く」ような気がする。ホールの響き、微妙な楽器の音色の違い。録音の再生だと団子になってしまうようなものすごく細かい掛け合い(アンサンブル)。ティルの悪戯までは目に浮かばなかったが、満足のいく演奏だった。「のだめ」コミックで、千秋真一が指揮コンクールでホルン奏者に要求した「もっと小さく」はこの曲だったが、東響のホルンはとても巧かった。クラリネット(小クラリネット)の甲高い響きも愉快だった。
2曲のホルンソロのゼンプレーニは、ドイツのバンベルク響の元奏者だったという。指揮者のノットがバンベルク響の首席指揮者を務めていた(彼は、フランスのアンサンブル・アンテルコンテンポランの指揮者も務めたほどの万能型の人らしい)関係で、招聘したのだろうか?バンベルク響のホルンと言えば、長野の須坂市出身の水野さんが長年務めていたポストなので、なんとなく、縁を感じた。 今回の予習で上記のカラヤン盤の録音を何度か聞いたが、第2楽章あたりでいつも寝てしまっていたらしい。今回は、その第2楽章のオーボエソロの美しさに驚かされた。ゼンプレーニのホルンは朗々とよく鳴り渡り、ホルンには苦手な細かいパッセージも見事にこなしていたし、第2楽章の歌も恐ろしいほどの息の長さで歌い続けていた。第3楽章も見事だったが、最後の方でオケのホルンにも難しいパッセージを課しているところなど、R.シュトラウスもなかなかきつい。
メインの「ペトルーシカ」は、ストラヴィンスキーの3大バレエの中で、一番聴き込んでいない曲。LP時代には愛聴盤が無く、CD時代になってからようやく集まり始めた程度。空で歌いきる自信はない。今回は、ピアノが活躍する1947年改訂版ということもあり、ソリストとして活躍する若林を招いたようだ。この曲では、指揮者はスコアを前に置き、捲りながら指揮をしていたため、自家薬籠中というわけではなかったようだ。演奏で気になったのは、座席の関係かも知れないが、ピアノがオケのアンサンブルから少々ズレて聞こえることが特に前半で多かったこと。本当に微妙なのだが、同じパッセージを担うチェレスタやハープとも若干ズレ気味に聞こえた。ピアノがソロとして表に出て、オケがそれにつけるような場面では違和感がなかったので、やはりアンサンブルピアノとしての慣れの問題かも知れない。
めまぐるしく切り替わるペトルーシカの場面。復調の効果なども実感できたし、ある箇所では、「春の祭典」に迷い込んだような錯覚に捉われたりもした。
この曲は、素朴で耳懐かしいような民謡風のメロディーの引用が多いが、そのうちの2つほどは、ヨーゼフ・ランナーの特定の曲だという。クラリネットやフルートの活躍が楽しかった。トランペットやコルネットも活躍するのだが、結構難しそうなところがあった。
バレエ上演用の全曲を演奏したのだろう、最後のペトルーシカの幽霊の部分が最後に来たため、熱狂的な盛り上がりの内にコンサートが終わるのではなかったため、少々カタルシスには欠けるプログラミングだったのかも知れない。そのためか、火の鳥や春の祭典にくらべてコンサートにかからないのではないか?その意味でも今回は貴重だった。
ところで、夏の時期のコンサートホールは冷房対策が必要だということを知っていたので、外着は半そでだったが、長袖シャツをホール用に持参して成功した。なお、この時期はつい汗臭くなるので、周囲に対する気遣いが必要だと思った。周囲から少々汗の臭いが漂った。人のふり見てわがふり直せだが、気を付けたいものだ。
2014年7月13日(日)14時開演。指揮者:ユベール・スダーン、ピアニスト:イリヤ・ラシュコフスキー 、管弦楽:東京交響楽団。 (名曲全集第99回)
曲目:ムソルグスキー「モスクワ川の夜明け」、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」
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