カテゴリー「映画・テレビ」の187件の記事

2014年9月23日 (火)

ケルビーノの palpitar は palpitation のことだった!

モーツァルト全集190枚の取り込みは、彼岸の中日の秋分の日に130枚目まで進んだ。119枚目までは宗教曲だったが、120枚目からは、オペラになる。

モーツァルト本は、当然ながら絶賛調のものが多く、読み続けると自家中毒的になりがちだが、最近読んだものにはモーツァルトの伝記に登場する初期の劇音楽作品は、年齢にしては大したものだが、同時代の他の人気作曲家の作品に比べると、出来栄えの点でも人気の点でもそれほどのことは無かったという論調のものも登場している。このブログでも取り上げたモーツァルティアンで知られる石井宏の「反・音楽史」もその傾向があったし、比較的最近に読んだ「モーツァルトを造った男」(小宮正安)は、ケッヘルカタログのケッヘルの評伝だが、これにもその傾向があった。その前のランドン「モーツァルト」も18世紀後半を概観しながら比較的「ニュートラル」と思われる評が読める。

同時代の、オペラ・セリアのハッセや、ブッファのパイジェルロソレル(「椿事」 Una Cosa Rara 1, 2, 3 )などの作品を聴くとその管弦楽の響きの薄さに驚かされることが多い。もちろん、演奏の質やレベルも関係があるのだろうが、当時の人気作品だからと言って、現代の人気作品が必ずしも質を保証しないのと同様、質がとても高いわけではない。

もちろん、ヨーゼフ・ハイドンの多くのオペラ作品(「月の世界」のような)もあるが、少年期のモーツァルトの作品の質は、現代人の耳にも(現代だからこそ)とても質が高く響くように思える。

理屈は、実際の現象(物、音、色など)の前では力を失うようだ。

さて、2014年度の上半期のNHKの朝ドラ「花子とアン」が今週で最終週を迎えている。村岡花子訳の「アン」シリーズは、高校時代の友人(男性)が好きで、その遅い影響で大学生時代に読んで嵌った。この朝ドラも初期の山梨と学院時代の頃はよく見ていた。故郷の東信の方言と山梨方言がどことなく似ているところがあり、文化的な共通性の点などが垣間見えて興味深かったり、花子の英語学習の時代が面白かったりした。その中で、「ときめき」を表す英語 palpitation という言葉を巡るストーリーなど結構面白かった。

この夏以来、すっかりモーツァルトづいているのだが、あるとき、ケルビーノの下記の有名なアリア「自分が誰だか分からない」の中でこの palpitar という言葉が耳に残った。

そこで、訳を調べてみたら、英訳でも palpitate をそのまま使っているものがあるではないか!

ある言葉を知るということは、こういことなのかも知れない。

Mozart: Le Nozze Di Figaro, K 492 - Act 1: No.6: Non so piu cosa son, cosa faccio

イタリア語 Italian:

Non so più cosa son cosa faccio,
or di foco ora sono di ghiaccio
ogni donna cangiar di colore
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar!

Solo ai no mi d’amor di diletto
mi si turba mi s’altera il petto
e a palare mi sforza d’amore
un desio, un desio ch’io non posso spiegar
un desio, un desio ch’io non posso spiegar

Non so più cosa son cosa faccio
or di foco ora sono di ghiaccio
ogni donna cangiar di colore
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar
ogni donna mi fa palpitar

Parlo d’amor vegliando,
parlo d’amor sognando,
all’acqua, all’ombra, ai monti
ai fiori, all’erbe, ai fonti
all’eco, all’aria, ai venti
che il suon de’ vani accenti portano via con se
portano via con se
parlo d’amor vegliando,
parlo d’amor sognando,
all’acqua, all’ombra, ai monti
ai fiori, all’erbe, ai fonti, all’eco, all’aria, ai venti
che il suon de’ vani accenti, portano via con se
portano via con se, e se non ho chi m’oda,
e se non ho chi m’oda, parlo d’amor con me, con me…
PARLO D’AMOR CON ME!

英訳 Translated to English:

I don’t know what I am, what I’m doing
Now I’m fire, then I’m ice,
Every woman makes me blush,
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate!

When I’m alone, it stirs up my pleasure,
It excites me and stirs up my breast.
Whenever I speak, it’s all of love
a desire, a desire that I can’t explain!
a desire, a desire that I can’t explain!

I don’t know what I am, what I’m doing
Now I’m fire, then I’m ice,
Every woman makes me blush,
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate
Every woman makes my heart palpitate!

I speak of love while awake,
I speak of love while asleep,
To the water, to the shade, to the hills,
to the flowers, to the grasses, to the fountains,
to the echo, to the air, to the winds
which the sounds of useless words carry them away.
Carry them away.
I speak of love while awake,
I speak of love while asleep,
To the water, to the shade, to the hills,
to the flowers, to the grasses, to the fountains,
to the echo, to the air, to the winds
which the sounds of useless words carry them away.
Carry them away.
And if no one will hear me, and if NO one will hear me,
I will speak of love with myself, with myself…
I WILL SPEAK OF LOVE WITH MYSELF!

http://ithamankz.tumblr.com/post/63007618575

2014年9月 3日 (水)

肉、油(揚げ物)を好きなだけという、糖質制限食の「モットー」は

9/1のテレビ朝日「お試しか」 
#173『もしもの1週間~カルビとハラミを食べ続けたらどうなるのか?』

カルビとハラミを毎日1キロずつ1週間食べたらどうなるのか!?
双子芸人ザ・たっちが体を張ってシミュレーション!
★ルール★
カルビを食べる人とハラミを食べる人に分かれ、専門家の指導のもとで1日3食、1日1キロのカルビとハラミをそれぞれ完食してもらう。

男性人気が高いカルビと女性人気が高いハラミ、それぞれを毎日1キロずつ1週間食べ続けるとどうなる!?
同じ体型を維持するために衣食住を共にしているという双子芸人ザ・たっちがカルビとハラミに分かれて シミュレーションして比較!
1週間肉を食べ続けた2人の体には どんな変化が起きるのか!?
同じ肉でもカルビとハラミ、どちらの方が太りにくい!?

挑戦者:
ザ・たっち

★シミュレーション結果

カルビ(身長152.8cm)
シミュレーション前…体重73.90kg

2日目…73.15kg

3日目…71.90kg

4日目…72.00kg

7日目…71.70kg

ハラミ(身長153.4cm)
シミュレーション前…体重73.00kg

2日目…72.05kg

3日目…71.65kg

4日目…71.15kg

7日目…72.20kg

-----------
上記には書かれていないがテレビで放送された情報
中性脂肪
カルビ 事前118→最終結果212(+94)
ハラミ 事前156→最終結果77(-79)
(10~149  が正常範囲)

糖質制限食の非常に非常に極端な実験で、いかにもバラエティショー的な無理のあるものだったが、体重の変化はある程度予想がついた。

しかし、中性脂肪は、「肉、油(揚げ物)を好きなだけ」という、糖質制限食の謳い文句に反する結果が歴然と出たことに注目したい。

過剰な動物性脂肪は、やはり中性脂肪の増加を招くのだ。至極あたりまえだが、自戒したい。

また、その後調べたら、糖質制限についてはNHKもすでに2年ほど前に取り上げていて、賛否両論併記の「バランス」のよいものになっていたが、参考にはなる。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3239_all.html
NHKクローズアップ現代の糖質制限
クローズアップ現代 No.3239 2012年8月30日(木)放送



2014年8月 5日 (火)

二つのニュース

一つは、スタジオジブリがアニメ制作部門を解体するというもの。

映画制作部門を解体し、今後は版権管理などの事業だけを継続するとみられる。公開中の「思い出のマーニー」(米林宏昌監督)がジブリ最後の長編作品となりそうだ。宮崎駿監督(73)の引退表明から1年足らず。世界に冠たる日本のアニメ業界にとっても大きな局面を迎えた。

もう一つは、サイトウ・キネン音楽祭が、セイジ・オザワフェスティバルに名称を変更するというもの。

長野県松本市の音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(SKF)」が来年、国際的指揮者の小澤征爾氏(78)の名を冠して「セイジ・オザワ松本フェスティバル」に生まれ変わることになった。実行委員会が4日、東京都内で記者会見して明らかにした。

どちらも、一時代を画した天才であり、いまや巨匠と呼ばれるようになった芸術家に関係するが、ベクトルが異なるように思う。

前者は、ウォルト・ディズニー後のディズニーのような形態がとれないのかの模索時期かも知れない。

後者は、現存する人物の名前を、それも日本語ではなく、英語的な名姓で付けるというのは、とても違和感がある。小澤征爾の「師匠」であるミュンシュ、バーンスタイン、カラヤンも自分の名前を冠した音楽祭を企画したことがあったのだろうか?

2014年8月 3日 (日)

ジブリ映画『思い出のマーニー』鑑賞

8月2日(土曜日)の午後、最寄りのショッピングセンター内のシネマコンプレックスに見に行ってきた。(少々ネタバレ気味なので、未見の方は飛ばしてください。

原作を完全に映像化しているわけでは無かったが、原作を一応読んだ者にとっても楽しめる映像と脚本だったように感じた。

原作の舞台は、1960年代のイギリスの東海岸だが、映画はそれを現代日本の北海道に変更、登場人物たちも日本人で、どのようにその設定を回収するのかと初めの内は懸念があったが、原作の肝の部分は外さずに、落ち着いて楽しめた。傑作とまでは言えないかも知れないが、佳品ではあった。児童文学に関心のある人には是非見て欲しいものだと思う。

(以下多少ネタバレ)
敢えて難点を言うならば、原作では納得できたのだが、現代日本が舞台であるのとは違和感があり過ぎるマーニーの設定だろうか? もし現代で生きているとすると70歳ほどの老婦人が中学生頃だとするとマーニーの時代は1960年代だろう。さらに、養子の養育手当という制度が現代日本にあるのかどうか?(*)  さらに、アンナと屋敷を購入した家族との関係が、原作では次第に密になっていく設定なのだが、映画では唐突に始まってしまうこと。

観客の吸収力はあまりよくないようで、150人ほど収容のシネコンのスクリーンの入りは、我が家を含めても30人ほどだった。「アナ雪」の方は、同じシネコンでも吹き替え版がいまだに上映が続いているくらいなので、少々寂しさを感じた。

追記:(*)

里親手当  http://sato-oya-net.jp/satooya4.php

2014年7月21日 (月)

テレビドラマ「みをつくし料理帖」と原作

先月放送されたテレビドラマ(テレビ朝日系)。

2012年に放送された時も見ていたのだが、題名を見てもほとんど忘れていた。長男がよく覚えていて、ブルーレイ録画機で録画しておいたので、しばらくしてからその録画を見てみたところ、2年前に一度見ただけだったが、主演の北川景子や貫地谷しおり、原田美枝子、大杉蓮、平岡佑太、松岡昌宏などの登場人物やいくつかの場面が思い浮かぶほどで、結構面白く見ることができた。見終えた後、妻が長男に図書館でこのドラマの原作を借りてきて、そのお相伴にあずかり、読み始めたところ、これが大層面白い。

作者は、高田郁(かおる)とあった。そういえば、この前まで熱心に見ていた江戸時代の浪花のあきんど物のNHKのテレビドラマ「銀二貫」が同じ原作者だったと思い至り、その面白さにも合点が行ったのだった。

「みをつくし料理帖」の方は、ハルキ文庫の書き下ろしシリーズでこれまでに第9巻までが発売されていて、図書館で借りられたのは、第7巻と第9巻以外だったので、通して読みたくなり、書店で新刊を購入した。

一息に読み終え、今は8月に発売予定の最終巻を楽しみに待っているところだ。

2014年7月18日 (金)

明日公開のジブリ映画「思い出のマーニー」の原作(新訳版)

「思い出のマーニー」  高見浩の新訳(新潮文庫書き下ろし)2014年初版を書店で見かけ購入。読了した。新潮は映画公開をターゲットに刊行したようだ。角川でも別の人の訳で出ているらしい。

ジブリ映画のマーニーでは、岩波少年文庫版をベースにしたらしい。

「アリエッティ」もそうだったが、多くの児童文学(ファンタジー)の「名作」を網羅的に調査しているのが分かる。「ゲド戦記」は、若いころから自分も知っているほどで、それなりにメジャーだったが、「ハウル」は、日本の大手では訳が出ていなかったと思う(後で調べたら 1997年頃、ジブリと関係のある出版社の徳間書店から初訳が出たのだという。その3部作は、長男が好んでおり、その中では、「チャーメインと魔法の家」 原題:House of Many Ways 2008はとても面白かった。)

「マーニー」を読み進めると、以前読んだ英国児童文学の「トムは真夜中の庭で」に、似たところのある設定だな、との考えが浮かんできた。(本文を読み終えた後に、高見浩のあとがきを読んだら、まさにこの作品のことが語られていた。自分の想像力も今回は的外れではなかったようだ。)

言ってみれば現実と過去の交錯のような設定。イギリスでは古い建物(シェークスピア時代の16世紀だったかの建物が、もちろん何度も改修はされているものの未だ住居として使われているものもあるという。以前訪れたことのあるアイルランドでも、古い土壁で作られたような大きな茅葺風の民家を見かけたことがあった。)に、何代もの人々が住んでいるというが、そのような国ならではの設定だろうか?

古い時代の遺跡を訪れてそこに佇んだりしていると、その時代を「感じる」ような幻想的な気持ちになるようなこともないではないが、それが特別な史跡ではなく、身近な民家だったりするのは、人々の精神風土にも影響を残すような気がする。

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー なるテレビ番組(NHK)でも、イギリスやスコットランドの幽霊屋敷のことが「科学的」に取り上げられているが、後天的記憶の遺伝(あるいは、エピジェネティクスの範疇だろうか?)でも、精神的な風土というものは説明できるのかも知れない。

もちろんそのような幽霊譚として見なくても、とても上質な小説(物語)だった。私の場合、読み進むにつれて次第にこのミステリー小説とも読める物語の謎の答えが見えてきたので、劇的な展開ではなく、むしろ心温まる内容だった。

それと同時に、子育てというものが、いずれの時代、どのような環境であっても困難を宿しているのだということを認識させられたように思われる。

映画は、特に関係している日本テレビで、宣伝番組が連続して行われ、トレイラーも何度か流されたのを見た。場所の設定は、「アリエッティ」と同じく、原作のイギリスが日本に変更されているようだが、原作の雰囲気とはそれほど違和感が無いように思える。ただ、海岸の湿地と、内陸の湿地では砂と泥の違いは大きいように思えるのだが。

家族の動向を見ると、この夏もジブリ映画かも知れない。

2014年7月15日 (火)

"FROZEN" 日本版 一日先行発売

Frozen_3 最寄りの量販店では、一日早く、本日発売だった。

ディズニーが始めた新しいパッケージ販売で、MovieNEXという。

Blu-ray disk, DVDが一つのパッケージに入っていて、値段は定価4,000円(税別)。それに加えて、デジタルコピー(クラウド)へのアクセス権(コード)が封入され、モバイル機器やPCで見ることができる。またおまけ的だが特設サイトで限定コンテンツを見る権利も付与される、といった仕組みのようだ。アクセスしてみたが、発売日の明日にならないとダメとのメッセージが出た。

ジブリなどの別売り(DVD4700円、Blu-rayが6800円)よりも廉いのは、製造・販売側でも管理が楽という理由があるのではなかろうか?

追記:7/16午前0時過ぎにアクセスしてみたところ、受け付けられた。Gmailを利用しているため、ユーザアカウントが登録してあったので、GooglePlayを使って鑑賞できた(日本語吹き替え版のみ)。アクセス可能期間は、2年間のようだ。ブラウザはFirefoxでは、私の環境ではライセンスの関係?で上手くいかず、IEにしたらきちんと動画が再生された。(翌日、FirefoxでGooglePlayとYoutubeで試してみたら問題なく再生できた。もしかしたらMovieNexとFirefoxが相性がよくなかったのかも知れない。)

※本編取得の登録期限は以下の通りです。Google Play(2016年7月15日) / niconico(2016年7月15日)
※選択できるのはいずれか1つのプラットフォームで、視聴に際しては、ユーザーアカウント(Google Playもしくはniconicoデジタルコピー)が必要になります。

一度アクセス手続きをすれば、その後はMovieNEXを開かずとも、GooglePlayで「無料」購入したという扱いになっていて、GooglePlayを開いて鑑賞ができる。さらに、Youtubeでも購入済として登録されてた。取得の期限が2年後までということで、Youtubeでの有効期限は、「有効期限なし」となっていたので、再生可能期間が購入後2年ということではないらしい。

DVDで英語音声、英語字幕で通しで初めてみたが、英語ネイティブな子ども向けなのだろうが、瞬間的に意味が取れない台詞などもあり、少々隔靴掻痒だった。

また、これまでに何度もみた「Let it go」のシーンは、押し詰まったクライマックスだろうと予想していたが、意外にも前半に登場したのには驚いた。

2014年7月 8日 (火)

南半球でもないのに今頃になって雪の女王に取りつかれている

サッカーのワールドカップが行われている南半球の温帯以南は、今は冬真っ盛りのはず。しかし、ここ日本は爽やかな初夏が過ぎ、梅雨も真っ最中なので、雪には最も縁遠い時期。しかし、なぜかこの雪の女王に取りつかれてしまっている。いい歳をして。

はまる、と言えば、obsession 取りつかれること、狂うこと、妄想だが、こんなことも書かれていた。 http://en.wikipedia.org/wiki/Let_It_Go_(Disney_song)

By spring 2014, many journalists had observed that after watching Frozen, numerous young children in the United States were becoming unusually obsessed with the film's music, and with "Let It Go" in particular.[34][35][36][37] Columnist Yvonne Abraham of The Boston Globe called the song "musical crack" which "sends kids into altered states."[38] A similar phenomenon was described in the United Kingdom,[39][40] where Lorraine Candy, editor-in-chief of Elle UK, wrote of a "musical epidemic sweeping the nation, relentlessly gathering up every child ... in its cult-like grip".[41] )

そこで、その取りつかれるきっかけのディズニー映画“Frozen”(邦題「アナと雪の女王」)の主題歌 “Let it go”を音符に乗るように、独自訳を作ってみた。松たか子が歌う「ありのままで」の映画公式日本語吹き替え版は、やはりプロの仕事だと感心した。

米国原作版の歌唱

さて、この印象的なフレーズ“Let it go” がどのような意味か? 各国語(25か国語版だが、44か国語もの映画版の吹き替えの歌唱がCD化されているらしい)を見ても、フランス語、ドイツ語、スペイン語などそれぞれこの慣用句を訳するのに苦労しているようだ。

ネットのシソーラスを見ると http://thesaurus.com/browse/let+it+go

日常語では、「stop blame and grant pardon」「forgive」「ignore」「never mind」「forget it」のような意味で使われるようだが、膨大なニュアンスがあることがこのサイトを見ただけでも分かる。

ビデオクリップの動画と一緒に見ると、直訳調の意味「it それを 行かせる」、同意語の中では release とかが近いのかも知れない。

とはいえ、この歌唱の中で、歌い手の心境が徐々に変化していくのが映像からも確認できるので、文脈的に訳し分けるのが難しいとはいえ、適切な配慮ではなかろうか。おそらく、英語の母語話者は、複合的な意味を受け取っているのだろう。日本語でも、「ありのまま」が現状肯定か、それとも「本来の自分」の肯定かという議論があるように。そこで、いろいろとバリエーションを付けて、訳してみた。

【歌唱用独自訳】

The snow glows white on the mountain tonight
雪の輝く夜
Not a footprint to be seen
誰もいない山

A kingdom of isolation
孤独な王国
and it looks like I'm the queen
私は女王

The wind is howling like this swirling storm inside
叫んでた。心が嵐のように。
Couldn't keep it in, heaven knows I tried
抑えてた。人知れず。

Don't let them in, don't let them see
開けちゃだめ。見せちゃだめ。
Be the good girl you always have to be
いつもいい子でね。
Conceal, don't feel, don't let them know
隠しなさい、いつまでも。
Well, now they know
隠せない。

Let it go, let it go
だけど、いいの。
Can't hold it back anymore
もう戻せはしない。
Let it go, let it go
気にはしないわ。
Turn away and slam the door
扉を閉ざすの。
I don't care what they're going to say
いいわ、非難なんて。
Let the storm rage on
吹雪よ続け。
The cold never bothered me anyway
寒さなんて平気。

It's funny how some distance makes everything seem small
離れてみれば悩みなんて。
And the fears that once controlled me can't get to me at all
怖がることもしなくていい。
It's time to see what I can do
わかったわ。すべきこと。
To test the limits and break through
限界を突き抜けて。
No right, no wrong, no rules for me
善悪も何からも
I'm free
自由。

Let it go, let it go
飛び出せ、魔法よ。
I am one with the wind and sky
空吹く風のように。
Let it go, let it go
これで、いいわ。
You'll never see me cry
もう泣きはしないわ。
Here I stand and here I'll stay
ここが私の場所。
Let the storm rage on
吹雪よ続け。

My power flurries through the air into the ground
魔法は空から大地まで。
My soul is spiraling in frozen fractals all around
心は渦巻く、雪の華のように。
And one thought crystallizes like an icy blast
思いは氷の風に乗って。

I'm never going back, the past is in the past
帰りはしない。過去は過去よ。

Let it go, let it go
忘れましょう。
And I'll rise like the break of dawn
朝日のように立つわ。
Let it go, let it go
これでいいわ。
That perfect girl is gone
昔の私じゃない。
Here I stand in the light of day
明るい日差しを浴びて。
Let the storm rage on
吹雪よ続け。
The cold never bothered me anyway
寒さなんて平気。

--------------
【楽曲の構成のようなもの】

【Aパート】短調
The snow glows white on the mountain tonight
Not a footprint to be seen
A kingdom of isolation
and it looks like I'm the queen

The wind is howling like this swirling storm inside
Couldn't keep it in, heaven knows I tried

(人里離れた岩山:ワルプルギス的な魔女の世界。継承すべき本当の「王国」から逃れ、雪に閉ざされた孤独な「王国」でただ一人。)

【Bパート】長調
Don't let them in, don't let them see
Be the good girl you always have to be
Conceal, don't feel, don't let them know
(王城での長い幽閉生活で言われ続けて来た、自分を呪縛する言葉)

Well, now they know
(秘密を周囲に知られてしまい、逃げ出さざるを得なかったことから、続く "let it go" のパートには一種、捨て鉢、なげやりな感情もあるように感じる。)

【Cパート】長調 
Let it go, let it go 
Can't hold it back anymore
Let it go, let it go
Turn away and slam the door 
(このシーンの最後のアクションを思わせるが、まだそこまでの心境には至っていない)
I don't care what they're going to say
Let the storm rage on
The cold never bothered me anyway

【Dパート】短調
It's funny how some distance makes everything seem small
And the fears that once controlled me can't get to me at all
It's time to see what I can do
To test the limits and break through
No right, no wrong, no rules for me
I'm free 
(氷の階段に足を踏み下ろす)

(内省的になり、恐怖から解放されたことを確認し、自由の実感を得た)

【Cパート】長調 リフレイン1
Let it go, let it go
I am one with the wind and sky
Let it go, let it go
You'll never see me cry
Here I stand and here I'll stay
Let the storm rage on

(抑圧からの解放感。自由に魔法を使える居場所を見つけた。)

(the wind and sky のフレーズ: sun, wind, sky, earth and sea というフレーズが

 

http://rock.rapgenius.com/Idina-menzel-let-it-go-lyrics#note-2888570

 

ロバート・ブラウニングの詩 にあるらしい。
A Concordance to the Poems of Robert Browning)

 

また、東洋的な「地水火風」を想像させる。
(「ぢすいかふう」とも)仏語。地と水と火と風。仏教で一般に色法、すなわちあらゆる物質的存在を構成する四種の元素として説くもの。地は堅さ、水は湿りけ、火は熱さ、風は動きを本質とする。四大。四大種。四界。
【地水火風空】 (「ぢすいかふうくう」とも)仏語。地と水と火と風と空。密教で四大に、無礙(むげ=さわりないこと)を本質とする空(虚空・空間)を加えて、物質構成の五つの要素とするもの。五大。五輪。

【Eパート 】長調 転調
My power flurries through the air into the ground
My soul is spiraling in frozen fractals all around
And one thought crystallizes like an icy blast
I'm never going back, the past is in the past

(魔力をコントロールして、思うがままに氷の宮殿を作るシーン。エルサが髪留めを外し、巻髪をほどき、氷の女王のドレスに変身するシーンが印象的。次のパートにつながる間奏部のオンビートの伴奏リズムに心をつかまれる)

【Cパート】長調 リフレイン2 (クライマックス)
Let it go, let it go
And I'll rise like the break of dawn
Let it go, let it go
That perfect girl is gone
Here I stand in the light of day
Let the storm rage on
The cold never bothered me anyway

----------

【直訳調対訳】
(歌い手の自分自身との自問自答がベース。自分への命令形、他人からの命令などが混じる。補足や注釈: 若い女性の口調で。オペラ、ミュージカルのアリア/劇中歌)

The snow glows white on the mountain tonight
【今夜、この山で、雪が白く輝く。【この詩では、風は吹き荒れているようだが、映像では月明りがある?】
「雪が白く輝いているわ、今夜この山は。」

【There is】 not a footprint to be seen.
【目に見える一つの足跡もない】
「足跡一つ見えない。」

【This is】A kingdom of isolation,
and it looks like I'm the Queen
【これは孤立した王国。そして私はその女王に見える。】

「ここは孤独という名前の王国ね。私はまるで女王様。」

The wind is howling like this swirling storm inside
【insideがどの語を修飾しているか?で意味が変わる】
①【howlingにかかる場合:この場所で渦巻いている嵐のように、私の心の中では風が唸っている:場所的にこの解釈は不自然】
②【swirlingにかかる場合:(ただしそうだとなぜmyではなくthisになるのだろうか?:私の心の中で渦巻くこの嵐のように
(この山の上では)風が唸っている。】

「風がうなっている。私の中で渦巻いているこの嵐のように。」

cf) 吹き荒ぶ で、 荒ぶを調べていたら、まるで let it go に対応するような古語としての意味が出ていた。
すさぶ【荒ぶ・進ぶ・遊ぶ】
(奈良時代、上二段に活用していたものが、四段にも活用するようになり、のち、四段にだけ活用し、「すさむ」に移行)
Ⅰ 〔自バ上二〕(動詞の連用形の下に付いて補助動詞的に用いる)物事の進行するなりゆきのままになる。動作、程度がはなはだしくなる。いよいよすすむ。*万葉‐二二八一「朝露に咲き酢左乾(スサビ)たるつき草の」
Ⅱ 〔他バ上二〕心のおもむくままに物事をすすめる。慰み興ずる。もてあそぶ。他の動詞と複合して用いられることが多い。*源氏‐絵合「ゑは、猶、ふでのついでにすさびさせ給あだごととこそ、おもひ給へしか」
Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988

【I】 Couldn't keep it in;
【itは何を指すか?ここでは、敢えて「それ」でいいと思う: 私はそれを心の中に留めておくことはできなかった 】
「それを抑えつけておけなかった。」

Heaven knows I've tried 【to keep it in】
【ただ、神様だけは、私がそうしようとしてきたことをご存じだ。神のみぞ知る、つまり、だれも知らない】
「ただ、私の努力は神様だけがご存じ。」

【ここからは、歌い手がこれまで(父王?から)命じられてきた命令を回想している】
Don't let them in,
【themは何を指すか?人々だろう。inの示す場所は?心か?閉じ込められていた部屋か?】
【本心を見せてはいけない、と言う意味かもしれない?】
「誰も中に入れてはだめ。」

don't let them see
「誰にも見せてはだめ。」

Be the good girl you always have to be
【いつもそうあるべきだと義務づけられていた行儀の良い模範的な娘でいなさい】
「いつも良い娘でいなさい。」

Conceal, don't feel,
【seal 封印とは違う。隠せ、感じるな】
「秘密にしなさい。感情を持ってはだめ。」

don't let them know
「誰にも知らせてはだめ。」

Well now they know
「でももう知られてしまった。」

Let it go, let it go
【このitは、 Couldn't keep it in の itに対応する。 そのまま行かせよ。行くがままにせよ。留めるな。】
【魔力を】
「解き放て、解き放て」

【I】 Can't hold it back anymore
【このitも、 Couldn't keep it in の itに対応する hold back のback 控えて,抑えて;保留して;隠して,しまって】
【これ以上しまっておくことはできない。】
「もう、閉じ込めておけない。」

Let it go, let it go
「それを解き放て、解き放て。」

【Let's】Turn away and slam the door
【これまでの世界を拒絶し、そこに通じるドアを閉め切ろう。】
「背を向けて、ドアをピシャッと閉じるの。」

I don't care what they're going to say
【これから人が何を言おうとも気にしない。】
「何て言われても気にしない」

Let the storm rage on.
「嵐よ、吹き荒べ。」
The cold never bothered me anyway
【とにかく、一度も冷淡さが私を悩ませたことはない】
「どんな寒さだってへっちゃらだったし。」

the cold
4 孤立,無視.
come in from [out of] the cold (孤立無援の生活から)みなに迎えられる,新しく仲間になる(ルカレのスパイ小説The Spy Who Came in from the Cold『寒い国から来たスパイ』より);正体を現す.

Progressive English-Japanese Dictionary, Third edition ゥ Shogakukan 1980,1987,1998/プログレッシブ英和中辞典  第3版  ゥ小学館 1980,1987,1998

It's funny how some distance
Makes everything seem small
「少し離れると、なんでも小さく見えるって冗談みたいね。」

And the fears that once controlled me
「それに、私を捕えていた恐怖なんて」

Can't get to me at all
【get to  (4) 《略式》…に感動を与える;…を悩ます,怒らせる:全然私を悩ますことはない】
「もう全然平気よ。」

It's time to see what I can do
「もうなにができるかが分かったわ。」
To test the limits and break through
「限界に挑戦して突破するのよ。」

No right, no wrong, no rules for me,
I'm free!
「私には正解も、誤りも、規則もないわ。
私は自由よ。」

Let it go, let it go
「解き放て、解き放て。」
I am one with the wind and sky
「私は風と空と一つ」

Let it go, let it go
「解き放て、解き放て。」

You'll never see me cry
【誰も二度と私が泣くのを見ることはない】
「もう泣かないわ。」

Here I stand
「ここが私の場所」

And here I'll stay
「ここが私のいる場所」
Let the storm rage on
「嵐よ、吹きすさべ。」

【ここからはアニメーションの動きの描写とシンクロしている】

My power flurries through the air into the ground

(flurry : 名詞では「突風、一陣の風、吹雪、いっせいに起こる動き」)


【私の魔力は、突風のように空中から地中に伝わる】
「私の魔力は空中から地面まで届く」

My soul is spiraling in frozen fractals all around
【私の心は、周囲の雪や霜の結晶【雪や霜の結晶は、フラクタル図形だから洒落て行ったのだと思われる】の中で舞い上がる】
「私の魂は凍り付いた結晶の中をらせんのように舞い上がり、」

(このinは中ではなく、~の状態でという意味とも取れるが、普通に中ででも問題ない)

And one thought crystallizes like an icy blast
【そして一つ一つの思いは、一陣の氷の疾風が樹氷を作るように、具体化する。】
「一つの一つの思いが、氷混じりの突風に吹かれたように結晶化する」

I'm never going back, the past is in the past
【決して戻らない。過去は過去の中にある】
「絶対戻らない。過去は過去でしかないから。」

Let it go, let it go
「解き放て、解き放て」
And 【AndではなくWhenが正しいらしい。】I'll rise like the break of dawn
「そうすれば、日の出のように私は復活する。」
「そのとき、日の出のように私は復活する」

Let it go, let it go
「解き放て、解き放て。」
That perfect girl is gone
【完璧を求められた私はもういない。】
「非の打ちどころの無い子でいるのはもうやめよう。」

Here I stand
「ここが私の場所」
In the light of day
「太陽の光の中で」
Let the storm rage on
「嵐よ、吹き募れ。」
The cold never bothered me anyway!
「どんな寒さだって私を悩ませたことはないんだから。」

お気に入りのカバーバージョン:

アフリカ風の編曲ということで、コンセプトが違い過ぎるのではないかという懸念があったが、聞いてみると違和感はなく、リード・ボーカルのレクシ・ウォーカー(Lexi Walker)という少女歌手の歌唱力に驚かされた。ただし、Whole Song のカバーではないのが惜しい。

関連記事

『Let It Go』が『ありのままで』と訳された理由

http://thepage.jp/detail/20140503-00000010-wordleaf

悪役だったエルサを変えた『Let It Go』 『アナと雪の女王』に隠された真実

http://thepage.jp/detail/20140424-00000008-wordleaf

2013年10月13日 (日)

映画『アラバマ物語』

秋ゆえに陽射しは長し炎熱の部屋

DVD を見終えた。白黒映画ながら、リマスタリングがうまくいったのか、とても見やすい映像で、音声も良好だった。

まずは、少々辛口の批判から。法廷映画としての評価が高いと聞いていたのだが、構成の緊密さや迫真性の点では『12人の怒れる男』の方が優れていると感じた。世界大恐慌時代の合衆国南部のアラバマ州という背景を意識しない場合、つまり予備知識としていない、ストレートの見方では、法廷劇としては緊張感がそれほど感じられなかった。

ただ、しかし、当時の黒人差別を背景に考えると、プアホワイトの問題や彼らによる黒人のリンチ、白人が黒人の肩を持つことにより差別主義者たちからの村八分的な扱い(「黒人びいき」)や暴力までもがきちんと描かれ、それらの不正に、躊躇いも見せながら勇気をもって毅然と対決する誠実な弁護士一家の姿がくっきりと描かれていた。

今の日本からはあまりにも遠い世界の出来事にも思えるが、実際にはこの日本でも貧困問題、民族問題等、不正義が横行しているという現実がある。そういうことを考えさせる作品ではあった。

一方、法廷映画という視点を離れると、「スカウト」というニックネームのお転婆な少女(原作者自身がそのモデル)の目を通した、アラバマという田舎州の田舎町のある時代が、父親である弁護士(その妻であり少女とその兄の母親は死別)、家政婦の黒人女性、少女の4歳年上の兄や、カポーティがモデルの夏にだけ遊びに来る近所の同い年の少年、そして近隣に住む変わり者とのかかわり合いを通じて、一種の郷愁を伴った回顧編という側面も持つ。その変わり者との関係が、ある種サザン・ゴシック的な風味も加える。

先日の記事で書いたが、原作の "To kill a mockingbird" は、大ベストセラーであり、現在も20世紀を代表する小説の一つとしてみなされているそうだ。平易な英語らしいので、原書を読んでみたいものだ。

2013年10月11日 (金)

To Kill a Mockingbird 

蝉吟も絶えて神の祭月

今年も、村上春樹は、ノーベル文学賞を逃した。候補に擬せられるようになってから、これで5回か6回連続の落選と聞く。今年、彼の作品をまとめて読んでみたが、どのように評価すればよいか迷う。ストーリーテラーとしては力があるが、清新なイメージの喚起を受けることがあまりない。無理に未解決問題を投げかけて、そのまま放っておくような印象が残る。

とはいえ、ノーベル文学賞に選出される作家の作品が必ずしも現代文学界の最先端と言えるのかどうかは分からないし、どういう基準で選出されるのかも知らないが、日本の受賞者川端康成にしても、大江健三郎にしても、個人的にはあまり好きではない。むしろ川端よりも谷崎純一郎、大江健三郎よりも安部公房の方が好みだ。むろん私の好みと評価の間には何の関係もない。

今回受賞したカナダ人の女流作家アリス・マンローにしても全く読んだことが無い。

大体が、ノーベル文学賞受賞者と言っても、知っている人は知っているが、全く知らない人も多い。

ところで、この夏休みに帰省したときに古い書棚で目に付いたトルーマン・カポーティ『遠い声 遠い部屋』(Other voices other rooms) 河野一郎訳 を再読し始めた。1984年に購入したと記録のある古い新潮文庫だ。活字が小さく、さらに当時使われていた酸性紙のためか紙面が茶色になり、とても読みにくい。

カポーティをWikipedia で調べたら、ハーパー・リーという小説家と幼馴染であり、その小説 "To Kill a Mockingbird"(邦訳は映画の邦題にちなんで『アラバマ物語』)に、モデルとして脇役で登場すると書かれていた。映画「アラバマ物語」、To Kill a Mockingbird、 そういえば耳にしたことがあるなと、調べてみたところ、とても興味深そうな内容だった。『12人の怒れる男』は、ビデオ時代に購入して、何度も鑑賞した映画だが、『アラバマ物語』には触れる機会がなかった。あまりにも直球で、野暮な題名が、想像力を誘わないためかも知れないと思った。

最寄りのソフトショップを探したら、すでにパブリックドメインだが、DVD 990円で購入できた。じっくり見ようと思う。

不思議な原題、"To kill a mockingbird" は、原作、映画の台詞、"It is a sin to kill a mockingbird." マネツグミを殺すことは罪だ。 に由来するという。

この文を調べたら、引用集が見つかった。

http://www.sparknotes.com/lit/mocking/quotes.html

mockingbird 
〔鳥〕マネシツグミ属数種の総称:他の鳥の嗚き声を巧みにまねる,(特に)マネシツグミ.

Progressive English-Japanese Dictionary, Third edition ゥ Shogakukan 1980,1987,1998/プログレッシブ英和中辞典  第3版  ゥ小学館 1980,1987,1998

mockingbird  noun
Any of several species of New World birds of the family Mimidae, especially Mimus polyglottos, a gray and white bird of the southern and eastern United States, noted for the ability to mimic the sounds of other birds.

[From its skill in mimicking other birdsongs.]

The American Heritageョ Dictionary of the English Language, Third Edition (アメリカン・ヘリテイジ英英辞典 第3版) copyright ゥ 1992 by Houghton Mifflin Company. Electronic version licensed from INSO Corporation. All rights reserved.

mock
1 …をあざける,あざ笑う,ばかにする.
2 〈人・動作などを〉まねてからかう
~ a person's way of speaking  人の話しぶりを(ばかにして)まねる.
3 …をまねる,模倣する(imitate).
4 〈人の(努)力・攻撃・きまりを〉無視[軽視]する,物ともしない.
5 〈人を〉欺く,失望させる;〈希望などを〉くじく
~ one's hopes  人の希望をうちくだく.

Progressive English-Japanese Dictionary, Third edition ゥ Shogakukan 1980,1987,1998/プログレッシブ英和中辞典  第3版  ゥ小学館 1980,1987,1998

mimic
(-icked, -ick・ing)
1 〈人・人の言葉・しぐさなどを〉(からかったり,ふざけて)まねる.⇒IMITATE類語   
~ his voice  彼の声をまねる.
2 〈物が〉〈他の物に〉よく似る
a peak that ~s Mt. Fuji  富士山によく似た山頂
The plastic models were made to ~ real fruit.  そのプラスチック模型は本ものの果物の見本として作ったものだ.
3 〈動物などが〉〈木の葉などの〉(色・形を)まねる,擬態する.

Progressive English-Japanese Dictionary, Third edition ゥ Shogakukan 1980,1987,1998/プログレッシブ英和中辞典  第3版  ゥ小学館 1980,1987,1998

 

より以前の記事一覧

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31